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2024年5月の読書メーターまとめ

檸檬の木
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感想・レビュー
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891ナイス

2024年5月に読んだ本
20

2024年5月のお気に入られ登録
1

  • 旗本多忙

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

檸檬の木
今までに読んだ事のない犯罪だった。スズキタゴサクと名乗る男が仄めかす、動機も目的もわからない警察官を手玉にとり全貌が見えてこない東京を丸ごとターゲットにした爆弾テロ。SNSの動画を意のままに操り、何の罪もない一般市民を爆弾の恐怖に追い込む劇場型の愉快犯。四年前に起きた不祥事で自殺した警察官の家族に辿り着き、事件の真相に近づいたあたりからクライマックスを迎えた。冷酷で身勝手なスズキタゴサクの歪んだ思考が薄気味悪かった。不祥事を起こした警察官の遺族の思考が複雑に絡み合い難解なストーリーになっていた。⭐︎3・5
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
20

檸檬の木
過去に出版されたアンソロジーから8作品。学園祭の催し物がまさかのイヤミスだった「降霊会」。パリ留学で始めたマラソンを通して自己を見つめ直していった「金色の風」。傷心のモロッコ一人旅と祖母との思い出「迷宮の松露」。他人の持ち物が欲しくなる悪癖のホラーの様な結末「甘い生活」。初めての一人暮らし、空き家から聞こえる洗濯機の音にゾゾゾ「未事故物件」。シェークスピアの作品名がついた部屋がある「ホテルカイザリン」。風土病を恐れ一家が離散する「孤独の谷」。妻に捨てられ立ち直れない惨めで哀れな作家「老いた犬のように」。
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檸檬の木
【第170回 芥川賞候補作品】ドレスコードは全裸、地下にある男だけの快楽が蠢く別世界。暴行を受け血まみれになって発見された日本人と黒人のミックスの「いぶき」。「迷彩色の男」の影が見え隠れする。漆黒の世界に放たれる赤、青、黄色の光と影が織りなすコントラスト。悪夢、裏切り、復讐、恐怖、性差別、カミングアウト、ヘイトクライム。濃厚なゲイの世界を描いたクライム・ノベルだった。⭐︎3・5
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檸檬の木
2018〜2023に執筆された当時の時事的な話題を織り込んだ作家で映画監督である西川美和さんのエッセイは、文章が上手く面白い。パンデミックでスポーツ界が制限を余儀なくされ、そんな中で開催された二度目の東京オリンピック。一方、著者は映画撮影を一年後に控え、体力作りのために始めた朝のランニング。仕事場が戦いの場となり撮影中は一つも大好きなスポーツを観る事なく映画を撮り終えた。日本の映画界の厳しい現状を憂いつつも、情熱を燃やし邁進する凛とした姿に好感を持ちました。映画制作中での役所広司さんの話題に興味を引いた。
竹園和明
2024/05/30 18:56

自分は西川美和の本も映画も全て制覇しています!。彼女のイズムが大好きです。

檸檬の木
2024/05/30 19:02

竹園さん、コメントありがとうございます。何年も前に読んだ「永い言い訳」また読み返したくなりました。映画は、「ゆれる」を観ました。吊り橋の上での演技はとても印象に残っています。

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檸檬の木
青森県の「小田せんぺい」一家が展開するホームドラマ。主人公は孫で小学四年生の弘毅。祖父母と両親と姉に見守られのびのび育っていった。子どもの目線で語られる家族や友人や学校行事を通して、弘毅が感じた事が上手く伝わってきた。祖父のよっしー、祖母のなぎばあ、「小田せんべい」の課外授業を契機に仲良くなった潤、皆んな良いキャラの持ち主だ。中盤にきて東日本大震災が絡んだ重い内容もあり、読者も一瞬緊張したが、人を思いやる優しさや温かさが詰まったハートフルな一冊でした。美味しく焼き上がった南部せんべいが食へたくなった。
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檸檬の木
今までに読んだ事のない犯罪だった。スズキタゴサクと名乗る男が仄めかす、動機も目的もわからない警察官を手玉にとり全貌が見えてこない東京を丸ごとターゲットにした爆弾テロ。SNSの動画を意のままに操り、何の罪もない一般市民を爆弾の恐怖に追い込む劇場型の愉快犯。四年前に起きた不祥事で自殺した警察官の家族に辿り着き、事件の真相に近づいたあたりからクライマックスを迎えた。冷酷で身勝手なスズキタゴサクの歪んだ思考が薄気味悪かった。不祥事を起こした警察官の遺族の思考が複雑に絡み合い難解なストーリーになっていた。⭐︎3・5
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檸檬の木
既読した『ガザに地下鉄が走る日』の著者である岡真理さんがセミナーでの講演を纏めたものでとても分かりやすい内容でした。パレスチナ問題の根源にある、イスラエルによる占領、封鎖、アパルトヘイト、難民の帰還それら全ては「政治的問題」であって「人道的問題」にすり替えていけない。現在のガザの惨状を「天井のない世界最大の野外監獄」ではなく囚人が無差別に殺される絶滅収容所に喩えていました。是非、皆さんにも読んで欲しい一冊でした。
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檸檬の木
アンティーク着物のネットショップを営む美佐は、妊活がうまくいかず、母親離れのできない夫とは別居中だった。箪笥の中から偶然見つけた亡き祖母・咲子の三冊のノート。出生の出来事、引き取られた先家の義理の姉・龍子と謳歌した女学生時代、そして、戦争に翻弄された咲子と龍子。二人だけの秘密とそれを最後まで守り通した咲子。すべて読み終え、自分にも関係がある事を知ることとなった美佐が下した決断。強く逞しく生きていく女性たちの姿を描いた著者渾身の作品だった。⭐︎4・5
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檸檬の木
田んぼの雑草も泥に埋め込めば、イネの肥やしになる。田の草取りは、イネに肥料をやる作業でもあった。雑草は厄介な邪魔者という概念は、明治の近代化により日本にもたらされたのであり、鎖国時代であっても豊富な植物で衣食住を賄っていた。豊かな自然と生き物に恵まれ雨が多く高温多湿で農作物がよく育つ一方で、草取りに励み、自然災害の脅威と向き合いながら知恵を振り絞り古代から生き延びてきた控えめながらも逞しさを持った先人たち。同じ日本人として誇りに感じた一冊であった。
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檸檬の木
大学を辞め、遊園地で最低賃金の仕事をし仲間とマリファナをやり気ままな生活を送っていたハードリー。偶然出会った虐待を受けている幼い姉弟を助け出そうと調査を開始し、奔走する事となった。危険を顧みない勇気のある行動と彼に力を貸すユニークな女性たち。弁護士の父親に見え隠れする巨大な悪の手から幼い命を守るために命懸けで立ち向かう無鉄砲な彼の行動は西部劇を彷彿する。結末に哀しさが漂うちょっぴり甘酸っぱいハードボイルドストーリーを堪能しました。⭐︎3・5
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檸檬の木
これって小説じゃあないんだよね?自問自答の繰り返しだった。幼い頃から数々の母親から受けていた罵声と残酷極まる虐待。母親の願望である我が子を医者にしたいという動機が不順で、その傲慢さに辟易した。モンスターと見なされた母親がこの世から消えて欲しいという追い詰められた娘の気持ちも理解できたが、父親が仕事の都合で小学校の頃から単身赴任となった事が悔やまれる。娘は殺人を頑なに自白しなかったが、その気持ちが変化していったのは父からの「家族だから」という一言だった。とまり木となる存在がいたら結果は違っていただろうに。
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檸檬の木
小学校から高校まで付き合いのあった「丸田」姓の二人の男子。小学生の時に見たUFOに始まり高校生の時に事故に遭遇した。彼等と付き合いのあった人物から語られる過去は、曖昧な記憶の断片が入り乱れ混乱し、読者も掴みどころのない話に惑わされ、出口のみえない暗闇の中を浮遊し続けた。二人は、予測のつかない出来事に出会い、思い描いていた未来が狂っていく。年月を経て、登場人物の答え合わせでバラバラだったパズルが徐々に完成していった。最後までヴェールに包まれたまま引き込まれていく、ミステリアスで神秘的な一冊だった。⭐︎4・5
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檸檬の木
京都の外国語大学でドイツ語を学ぶミカコ。スピーチのリーダー格の女学生は、教授との間に悪い噂が流れコンテストの出場を断念する事となる。懸命に取り組んだスピーチコンテストの課題「アンネの日記」の密告されたアンネの心情に迫る事で、自分が密告者になりうる危険性に気づいていく。深い内容だが、ユーモラスな文体でテンボよく面白かった。「じゃむパンの日」からこちらを手に取りまし。赤染晶子さん、芥川賞受賞作品。⭐︎4
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檸檬の木
自分自身を舞台で思い切り表現し、演じる人たちを描いたアンソロジー。近藤史恵「ここにいるぼくら」2・5次元舞台に飛び込んで行った34歳の劇団員が本番の舞台で観客の心を掴み取っていく。笹原千波「宝石さがし」バレエダンサーの再出発を支える衣装デザイナー。白尾悠「おかえり牛魔王」同僚の派遣社員はアマチュア劇団に情熱を注ぐ劇団員。雛倉さりえ「ダンス・デッサン」大手の劇団で活躍するミュージカル俳優の中学生時代の苦い思い出。乾ルカ「モコさんというひと」舞台を観劇する人たちの交流。白尾さん、雛倉さんが好み。⭐︎3・5
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檸檬の木
団塊世代ジュニアの男性が30歳になった。中学生時代の虐めに始まり、努力し生きてきたのに、生きづらい世の中になっていくがその変化に対応できず、引き篭もりに至る軌跡が痛々しかった。生きているのがつらい死刑になりたい、自暴自棄になり48歳になった彼が最悪の決断を下してしまう。もう一方、引き篭もりの娘を持った母親。親と子双方が苦しむ事となる「8050問題」の根深さを痛感した。緊迫した事態が次から次へと押し寄せ、最後の最後まで予断を許さない展開に固唾を飲んだ。⭐︎4・5
檸檬の木
2024/05/12 09:23

林真理子さんの作品でこの言葉を知りました。生々しいないようでしたが、お勧めの一冊です。

Vanc
2024/05/12 11:05

おすすめありがとうございます、。新刊ですね、図書館本見ると既に8ヶ月ほど先になるようです。気長に待ちます。

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檸檬の木
和やかな高校一年生の男女四人の面々が所属するのは、好きなおやつを食べるだけでもOKというゆる〜い「おやつ部」。うまい棒の噂を探りに街中へ、祖母が無くしたプローチ探し、お菓子当てクイズに参加と結構一緒に仲良く行動を共にし、毎回誰もが慣れ親しんだお菓子が登場するから嬉しくなってくる。二年生に進級し、後輩が入ってきた。皆んなとっても性格良さげで読んでいて気持ちがいい。ロッテの生チョコパイで指をべったべたにしながら「あとがき」を書いている坂本司さんに思わず笑った。⭐︎3
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檸檬の木
明るく前向きな江戸時代の婆様たちに元気をもらった一冊。三者三様の事情を抱えた仲良し老女と、お萩と名付けた母親に死なれ身寄りのない女の子を孫の様に可愛がり四人での長屋共同生活が始まった。毎日の生活は、泣いて、笑って、喧嘩してと慌ただしい。そして、事件に巻き込まれていくが、長屋の住民たちと協力し、お萩を悪の手から守りきった三人は実に勇敢だった。抱えていた家庭の問題も気持ちよく決着できて本当によかった。スカッと爽快な時代小説でした。⭐︎4
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檸檬の木
「じゃむパン」という懐かしい言葉とノート仕立ての装丁がずっと気になっていた一冊。芥川賞作家の赤染晶子さんの幼い頃や少女時代の想い出と日常の何気ない出来事を切り取った55の小話。豊かな発想と想像力と鋭い観察眼でユーモア溢れる文体が絶妙で魅力的。短い御伽話が詰まぅた玉手箱の様なエッセイ集。ほっこりし、温かい気持ちになった。きっと大好きだったのだろう、祖父母がよく登場する。学生時代過ごした北海道の話。40代で亡くなられが、闘病されていたのでしょうか。小児病棟の話が幾つかありましたが、とても気になりました。
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檸檬の木
警察官の考え方や仕事の裏側が見える人気シリーズの10スピンオフ。立場や物の見方を変えれば、違った景色が見える。/ 人に疑われるような事はするな、李下に冠を正さず。/有望な巡査長に注がれる熱視線。/芸能人に協力してもらい、半グレを逮捕。/強盗犯の制圧と身柄運びを二つの課で分担。/あおり運転に遭遇した空手五段。/警察官を挑発し動画撮影するユーチューバー。/世代によって異なる捉え方。/人質立てこもりか?通報からその顛末まで。/外国人犯罪者。現代の世相を反映した中身の濃い内容だった。「志望」「成敗」「略奪」好み。
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檸檬の木
舞台は、盛岡市の南部鉄器工房。一番近い家族なのに、上手く言葉に出して言うことができずギクシャクしている不器用な父親と息子。勇気を出して一歩ずつお互いに近づいていくという家族のドラマでした。補導委託で仕事と生活を共にし一つ屋根の下で暮らす事となった罪を犯した少年の親子の確執の話も同時に進行する。いずれも親子関係がテーマの小説。事件も起きず、良い人ばかりで悪人がいない。多くの法廷、任侠、探偵物の名作を描かれている柚木裕子さんに期待してしまったが、故郷を舞台とするとなかなか難しいのかも知れませんね。⭐︎3
が「ナイス!」と言っています。
檸檬の木
「華ひらく」という包装紙のブックカバーに惚れ込み購入。三越百貨店を舞台に豪華な作家陣が紡ぐアンソロジー。辻村深月さん、日本橋本店には何度か行った事があるが、吹き抜けに佇む巨大で豪華な天女にパイプオルガン、レトロなエレベーター、三越劇場、その描写が魅力的で辻村さんの思い入れの深さを感じた。伊坂さんは仙台の三越でした。ライオン像に跨り必勝祈願の言い伝え、その姿を誰にも見られてはいけないというから、中々難しそう。阿川さん、買い物に付き合い、ひょんな事から継母の若い頃を知る話しが素敵。東野さんではガリレオが登場。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/07/07(723日経過)
記録初日
2022/01/03(908日経過)
読んだ本
602冊(1日平均0.66冊)
読んだページ
194205ページ(1日平均213ページ)
感想・レビュー
579件(投稿率96.2%)
本棚
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自己紹介

図書館の本を読んでいます。生来、怠け者のため、まとめ読み、まとめ感想入力をする事があります。

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