第一〇章 インカとスペインの訣別 一七七七の予言。スペイン本国の王朝交代。ブルボン朝へ。財務改革で税額増額。レパルティミエント。アレキッパ騒乱。トマス・カタリ台頭。インディオ自治。コンドルカンキ(トゥパク・アマル)の蜂起。クスコで敗北。三つのインカ分裂。ペルー独立。
スペイン人とインディオらの関係や、ユダヤ人に対する意識は、北アメリカの人種間関係にも影響を及ぼしていると思った。例えば、フォークナーのヨクナパトーファ・サーガに出てくる潔癖なまでの血の純潔に関する意識などは奥底で関連性を持っていると思う。
オレーシャ「恋」シュヴァーロフは恋人のリョーシャを待ちながら、シュールである種哲学的世界を妄想する。ゾズーニャ「スクリーンの前で」「私」は映画館で隣り合った若い女性に魅せられ、口説いたが…。個人的にここに収録されている中でベストと思った小説。イリフ、ペトロフ「コロンブス上陸す」コロンブスがアメリカに上陸すると、20世紀初頭相当の文明を持つアメリカ土人が出迎える。ボンダレフ「河」石油調査で密林に入り込む男女に自然は猛威を振るう。女医アーニャと地質調査班のケドリン、スヴィリドフの微妙な関係。
私はこの土人が異教徒であるということは確かめました。(中略) 一番崇拝されているのは、どうも、コカ・コーラの女神、(中略)、それに石油の香気の大神-フォードのようです。このフォードというのは、ここのゼウスといったところです。 イリフ、ペトロフ「コロンブス上陸す」
「東路のつと」 連歌師・宗長が、永正六(1510)年駿河の丸子から、白河の関に行こうと試みるも、戦乱で果たせず、宇都宮、足利、草津、江戸、小弓(千葉)、鎌倉などを紀行する。各地で連歌の発句を詠み、私情を表すところで和歌を詠む。室町時代後期の関東武士の動向がわかる。「吉野詣記」 三条西公条(きんえだ)が連歌師・里村紹巴に誘われ、京から奈良の多くの社寺を詣で、高野山と吉野山にも参詣し、河内・摂津を経て帰京する紀行文。和歌が多く、漢詩、連歌もある。
「九州道の記」 細川幽斎が豊臣秀吉の九州出兵に呼応して、丹後の田辺から博多に向かい、九州平定後秀吉に会い、瀬戸内海経由で難波まで向かった吟詠遊山の記。幽斎の発句で秀吉が脇句を詠んでいる。「九州の道の記」 木下勝俊(長嘯子)が義理の叔父である秀吉の朝鮮出兵に従って、京から肥前名護屋まで従軍した時の紀行文。残してきた家族のことやホームシック的内容が多くを占める。
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