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2024年6月の読書メーターまとめ

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感想・レビュー
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156ナイス

2024年6月に読んだ本
15

2024年6月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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ネタバレ守り人作品集。中篇二篇。「炎路の旅人」 タルシュ帝国の密偵だが、チャグムに協力的だったヒュウゴの少年時代を描く。母国ヨゴ皇国はタルシュに滅ぼされ、かろうじて生き残り、不良少年の頭として台頭。バルサと同じくらい苦難の道を歩む。「十五の夜には」バルサは養父ジグロと共に酒場の用心棒や商人の護衛士を年少の頃からやっていて、幾度も修羅場を潜る。二篇共に過酷な環境の中、若さの暴走と自己制御を行き来しながら成長していく苦味を帯びた話。二人の生命力の強さに惹き込まれる。
が「ナイス!」と言っています。

2024年6月の感想・レビュー一覧
15

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ネタバレ日本・海外の短篇17篇。幸田文「類人猿(抄)」「しこまれた動物(抄)」(『動物覗き』より)。動物園を逃げたゴリラの話と係員と一緒にストーブに当たるサルの話。江國香織「デューク」愛犬が死に、電車中で泣く「私」に一人の少年が手を差し伸べる。山本周五郎「その木戸を通って」事務方の正四郎の家に謎の娘が現れて、進んでいた正四郎の縁組が危うくなってくる。しかし、娘は正四郎の家に馴染んでくる。田中小実昌「からっぽ」女子大生の「わたし」は米軍でタイピストとして働くことになる。男社会の中での緊張。
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ネタバレ山間の花園町は、町長ら有力な家に牛耳られた寂れた街だが、疎外されている花井らは革命を起こすべく秘密結社”飢餓同盟”を結成し、街に流れ着いた男・織木を軸とした地熱発電開発をしようと企てる。50年前の作品なのに、今も地方の社会構図がこの小説とほとんど変わっていないことに驚かされる。花井の行動は稚拙で狂気じみているが、それに運がついてまわれば、実際の行動の先に打開できる要素はあるのかもしれない。
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はじめに クスコ大広場(ハウカイパタ)。インカの石壁。サンタ・アナ連作。十二のインカ王家「パナカ」。交錯・共生・乖離。アンデス世界とスペインの歴史。第一章 インカ王国の生成 王朝史の確立。通説の成り立ち。末裔にとっての都合の良い解釈。帝国の始原とアンデス社会。インカ道。パチャクティの偉業。各ホライズン(初期・チャビン、中期・ワリ、後期・インカ)。アンデスの生態系と垂直統御。互酬の力学。神聖王インカ。遺骸崇拝。
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2024/06/23 14:42

第一〇章 インカとスペインの訣別 一七七七の予言。スペイン本国の王朝交代。ブルボン朝へ。財務改革で税額増額。レパルティミエント。アレキッパ騒乱。トマス・カタリ台頭。インディオ自治。コンドルカンキ(トゥパク・アマル)の蜂起。クスコで敗北。三つのインカ分裂。ペルー独立。

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2024/06/23 14:46

スペイン人とインディオらの関係や、ユダヤ人に対する意識は、北アメリカの人種間関係にも影響を及ぼしていると思った。例えば、フォークナーのヨクナパトーファ・サーガに出てくる潔癖なまでの血の純潔に関する意識などは奥底で関連性を持っていると思う。

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短篇25篇。生々しく凄惨な戦争描写が多い。ソログープ「死の刺 -二少年の物語-」ワ”ーニャとコーリャという少年が出てくる。おっとりしたコーリャは不良じみたワ”ーニャの影響を受けて恐ろしい世界へ足を踏み入れる。メレジコフスキイ「恋の学問」ボローニャ大学の教授ファブリツィオ氏は、はからずも自分の妻ジョワンナを通して、教え子ブッチオロに恋愛を教える羽目に陥る。
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2024/06/22 16:28

オレーシャ「恋」シュヴァーロフは恋人のリョーシャを待ちながら、シュールである種哲学的世界を妄想する。ゾズーニャ「スクリーンの前で」「私」は映画館で隣り合った若い女性に魅せられ、口説いたが…。個人的にここに収録されている中でベストと思った小説。イリフ、ペトロフ「コロンブス上陸す」コロンブスがアメリカに上陸すると、20世紀初頭相当の文明を持つアメリカ土人が出迎える。ボンダレフ「河」石油調査で密林に入り込む男女に自然は猛威を振るう。女医アーニャと地質調査班のケドリン、スヴィリドフの微妙な関係。

cyuyo
2024/06/22 16:32

私はこの土人が異教徒であるということは確かめました。(中略) 一番崇拝されているのは、どうも、コカ・コーラの女神、(中略)、それに石油の香気の大神-フォードのようです。このフォードというのは、ここのゼウスといったところです。 イリフ、ペトロフ「コロンブス上陸す」

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ネタバレ守り人作品集。中篇二篇。「炎路の旅人」 タルシュ帝国の密偵だが、チャグムに協力的だったヒュウゴの少年時代を描く。母国ヨゴ皇国はタルシュに滅ぼされ、かろうじて生き残り、不良少年の頭として台頭。バルサと同じくらい苦難の道を歩む。「十五の夜には」バルサは養父ジグロと共に酒場の用心棒や商人の護衛士を年少の頃からやっていて、幾度も修羅場を潜る。二篇共に過酷な環境の中、若さの暴走と自己制御を行き来しながら成長していく苦味を帯びた話。二人の生命力の強さに惹き込まれる。
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ネタバレ守り人短編集。4編。最初の「浮き籾」は中編くらいの長さ。「浮き籾」タンダが主人公。タンダの少年時代が描かれる。稲作で生活がまわっていくタンダの家族と、その中で少し浮いた存在のタンダはトロガイとバルサのところで心が安らぐ。親戚の風来坊のオンザを巡る騒動。「ラフラ(賭事師)」居酒屋の用心棒をしているバルサと賭事師の老婆の交流。「流れ行く者」ジグロとバルサの護衛士渡世。盗賊との駆け引き。護衛士スマルの判断。「寒のふるまい」タンダが主人公。冬の山の獣に食べ物を分けるふるまい。
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ネタバレ守り人外伝。タルシュ帝国との戦いの後。ロタ王国が話の舞台。話の中で、バルサの養父ジグロと若い頃のバルサが出てくる。旅芸人サダン・タラムの旅の行程と過去の戦争の記憶。ロタ氏族のマグア家とターサ氏族のアール家とのロタ王国創設まで遡る複雑な関係。シリーズを通して故人としての登場だったジグロが主役級の存在感を示し、満足感を持った。
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安定の面白さ。
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共に戯曲。プーランクのオペラ「(人間の)声」に興味があったので読んでみた。「アガタ」「声」共に台本だけでも圧倒的な迫力に満ちている。どちらも沈黙・間が非常に重要な意味を持っている点で共通している。「アガタ」は男と女の別れを描いているが、自分はどうしても男側に厳しい目で見てしまいがち。ムージルの『特性のない男』がこの戯曲を作る上で大きな影響を与えていることに驚く。「声」は電話を通して女が男から別れを告げられ、激しく葛藤する。ラストシーンは心が痛む。
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鎌倉時代から室町時代にかけて書かれた13篇の日記紀行。「海道記」「信生法師日記」「東関紀行」「弁内侍日記」「十六夜日記」「春の深山路」「道行きぶり」「なぐさみ草」「覧富士記」「東路のつと」「吉野詣記」「九州道の記」「九州の道の記」
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2024/06/09 16:56

「東路のつと」 連歌師・宗長が、永正六(1510)年駿河の丸子から、白河の関に行こうと試みるも、戦乱で果たせず、宇都宮、足利、草津、江戸、小弓(千葉)、鎌倉などを紀行する。各地で連歌の発句を詠み、私情を表すところで和歌を詠む。室町時代後期の関東武士の動向がわかる。「吉野詣記」 三条西公条(きんえだ)が連歌師・里村紹巴に誘われ、京から奈良の多くの社寺を詣で、高野山と吉野山にも参詣し、河内・摂津を経て帰京する紀行文。和歌が多く、漢詩、連歌もある。

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2024/06/09 16:56

「九州道の記」 細川幽斎が豊臣秀吉の九州出兵に呼応して、丹後の田辺から博多に向かい、九州平定後秀吉に会い、瀬戸内海経由で難波まで向かった吟詠遊山の記。幽斎の発句で秀吉が脇句を詠んでいる。「九州の道の記」 木下勝俊(長嘯子)が義理の叔父である秀吉の朝鮮出兵に従って、京から肥前名護屋まで従軍した時の紀行文。残してきた家族のことやホームシック的内容が多くを占める。

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ネタバレシリーズ第7作。最終章三部作第3部。瀕死の故国に帰還するチャグムと父王との対決の時が迫る。タルシュ帝国に対しての新ヨゴ皇国・ロタ王国・カンバル王国の動き。バルサはタルシュとの戦で行方不明となったタンダを探し求める。ナユグの春による天変地異に対して、大呪術師トロガイが動く。第6作・第7作は長編映画を観るように一気に読んでしまう。『風の谷のナウシカ』に匹敵するファンタジー長編だと思った。ファンタジーの中にも日本が持つ様々な伝統・因習・偏見に対する問題が織り交ぜられていると感じた。
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ネタバレシリーズ第7作。最終章三部作第2部。タルシュ帝国の弱点を知るバルサとチャグムはタルシュ帝国の追手に追われながら、カンバル王国とロタ王国の連合を進めるためにカンバルへ旅する。チャグムの人間的成長が描かれる。バルサの幼馴染タンダは、新ヨゴ皇国の草兵としてタルシュ帝国との戦に赴く。タンダも異界ナユグの異変に気づき、トロガイと連絡を試みる。タルシュ帝国の皇帝や二人の皇子、宰相たちについても描かれる。
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ネタバレシリーズ第7作。最終章三部作第1部。第6作との連続性が高い。タルシュから解き放たれた後行方不明となったチャグムを案じて、バルサは捜索の旅に出る。ロタ王国が舞台のことが多いものの、他の国々も出てくる。どの国にもタルシュ帝国の工作員が入り込み、内紛が激しくなる。バルサとチャグムは一種の擬似親子的なものであるけれど、それを超えた人間的な信頼関係がある。異界ナユグの春が物語の展開に大きく関係してくる予感。
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ネタバレシリーズ第6作。南方から迫りくる強大なタルシュ帝国に対して、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは大きな困難に直面する。前作からタルシュ帝国の脅威は語られていたが、その全貌が明らかとなる。チャグムの感情的葛藤と自己抑制の描き方は人間のもつ底力と成長を示してくれるもので、心打たれるものがある。最後にチャグムが選んだ決断は次作でどうなるのかとても楽しみとなった。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ当時68歳の作者が98歳の自分を想像してみた小説。東京大震災が起こって、作者は栃木に避難している。物忘れは激しくなったが、いろいろ過去のしょうもない思い出にふけっている。避難所の近くにはなぜかプテラノドンが飛んでいる。とぼけた内容の独白が延々と続く。災害や死の恐怖をある程度スルーして、ここまでとぼけられる姿勢は羨みを感じる。自分には無理だ。一方で、作者は2年後に亡くなっており、この作品は作者なりの終活だったのかもしれないと思った。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/09/01(687日経過)
記録初日
2023/01/02(564日経過)
読んだ本
277冊(1日平均0.49冊)
読んだページ
103261ページ(1日平均183ページ)
感想・レビュー
275件(投稿率99.3%)
本棚
20棚
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