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2024年12月の読書メーターまとめ

ワタ
読んだ本
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感想・レビュー
13
ナイス
166ナイス

2024年12月に読んだ本
21

2024年12月のお気に入られ登録
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2024年12月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ワタ
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる人物が気になって仕方のない主人公が、その女をホテルの客室清掃という同じ職場で働くように誘導する。存在感がなく信頼のできない語り手が、むらさきのスカートの女というこれまた怪しげな人物を追いかける。作品全体を貫く不気味さ、読み終わった後に浮かぶ疑問、これらを共有したいという衝動が『コンビニ人間』と似ている。おもしろい。
が「ナイス!」と言っています。

2024年12月の感想・レビュー一覧
13

ワタ
PMSで感情を抑えられない美沙とパニック障害ですべての気力を失った山添。新卒で就職した職場を1年も経たないうちに辞めざるを得なかったふたりは、再就職先の中小企業で出会う。病気に理解ある社長、穏やかな先輩社員に囲まれて一旦人生を降りたような形で日々を過ごすなかで、友人・恋人とも異なる同志のような気持ちで支え合うようになる。内面を晒し合う男女バティものというと大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を思い浮かべたが、よりオープンな関係なので見ていて清々しい。夜明けのすべてってタイトルもいい。
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ワタ
「生活の中で起こったぎょっとすること、どこにも繋がっていない二階のドアのような中途半端な“トマソン”めいた出来事を、表現するとしたらどのような形になるか。直接言ってしまうより、物語や芸術にした方が伝わることがある。」巻末の深緑野分による作品解説。ある場所の過去と今、誰かの記憶と経験、こうした時の経過を精密に描写する掴みどころのないこの短編集に、現代美術館のチーフキューレーターのような的確な解説、すごい本だった。
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ワタ
ネタバレ読み手を意識して書かれている日記なので、うつ闘病記とあるものの不安を吐露するような描写はほとんどなく、むしろ作家生活を垣間見ることができて、割と楽しく一気に読めた。入院の間の期間には、出版社の担当者たちと誕生会して、二次会は六本木のクラブで朝までとか、再入院しても仲の良い患者さんたちと一緒に外出し、カラオケ行ってピアスの穴を開けたり。また、仕事場を複数持ってたり、個人的な秘書がいたり。
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ワタ
閉ざされた雪山、サナトリウムを改装したスイスの山岳リゾートホテルで連続殺人事件が起きる。イギリスから訪れていた休職中の警察官であるエリンが捜査にあたる…悲しい過去があり自分自身を信用していない刑事を主人公に据えている点はシャルロット・リンクの『裏切り』と似ている。閉ざされた雪山は『シャイニング』を彷彿させる。一気に読めたけど、エピローグの意味がよくわからなかった。
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ワタ
「この世界のいたるところに転がっている無意味な断片について、あるいは、そうした断片が集まってこの世界ができあがっていることについて、そしてさらに、そうした世界で他の誰かとつながることについて、思いつくままに書いていこう。」自分にとって意味があるのか無いのか分からないけれど、記憶から消えることのない、なにかの拍子にふと浮かび上がってくる記憶の断片は誰しも持っているだろう。そうした光景が点描されたスケッチに、キャプションを付けたような作品だった。
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ワタ
「あさひは失敗しない」、それは子どもの頃に繰り返し母から言われた言葉。母の祈りであり、主人公のあさひにとっては呪いであった…可愛らしい表紙のイメージを覆す悪意ある友人の存在とホラーな展開、メフィスト賞作家らしい作品だった。
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ワタ
純粋無垢な少年たちとその指導者を乗せた空を飛ぶ方舟、そこからひとりの少年が墜落するシーンから始まる。炎上した戦闘艦から、炎におわれた少年従者たちが抱き合いながら空中に飛び降りる『風の谷のナウシカ』を想起する。地上のディストピア的な世界から逃れた花の名を持つ美しい少年たちは、舟の中の閉じられた世界でもひどい目に遭う。
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ワタ
読んでいる間は、何を伝えたいのかよくわからなかったけれど、読み終わった後、自分の中に自然と浮かび上がってきたいくつかのシーンがあった。特に主人公とゼミの友人が『ノルウェイの森』について語るところはいいなと思う。「ワタナベ君って、自分のことを訊かれたら相手のことを答えて、相手のことを訊かれたら自分の話すんねんな。…あの小説、女の子たちが風変りみたいに書かれてるけど、そんなことはなくて、女の子たちの言ってることが通じてないのはワタナベ君が一番誰よりも自分のことを見ないようにしてるからだと思う。」
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ワタ
「ため息も、心臓の鼓動も、オーガズムも、隣り合わせた時計の振り子がじきに同調するように、同じ長さに収斂する。」ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を翻訳した岸本佐知子のエッセイ集。ここではないどこかを書いた旅行記のようなもの。行き先は、バリ島から近所の普段使わない道を通って高速道路へ至る道程まで幅広く、見聞きしたそのものが書かれているというより、旅を通して岸本さんの記憶と思考を辿る、幻想的でスリップストリームを読んでいるようだった。
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ワタ
「カメルーンの青い魚」「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」「波間に浮かぶイエロー」「溺れるスイミー」「海になる」、各話のタイトルを見て、ロックバンドのアルバムみたい、と思う。すり鉢状のちいさな街が舞台で、登場人物たちは丘の上から街を眺める。彼らはそこに棲む魚であり、孤独な魂がもう一つの孤独な魂と出会い、手探りの関係を育む。前半2作品は色彩豊かで強烈にセンチメンタルな情景が描かれる、新海誠のアニメーションを観ているようだった。
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ワタ
ドイツのベストセラー作家によるイングランド北部が舞台のミステリー。主な登場人物は何らかの困難を抱えて、とにかく生きづらい。季節は夏にも関わらず、曇り空、雨のシーンが多く、これが冬になったら、登場人物たちのメンタルヘルスはどうなってしまうのだろうか…と心配になる。主人公がときに空回りしながらも、少しずつ前に進み始めるところが本作の魅力。シリーズ化されているようなので年末年始に読みたい。
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ワタ
『ドラゴン・タトゥーの女』『特捜部Q』の世界観が嫌いではないのならば、『裏切り』もきっと気に入る。主な登場人物は、孤独、トラウマ、経済的困難、家族のトラブル、依存症等のいくつか又は全てを抱えている。主人公は、ロンドン在住、スコットランドヤード(警視庁)の女性刑事。チームプレイが苦手で出世も遅く、同僚からの評価は低い。人付き合いが苦手で自分に自信がなく、友人・恋人はいない。そんなぼっちな状況で唯一心を通わせていたのが、名刑事であった実父であるが、その父が彼女の生家で惨殺されるシーンから物語が始まる。
が「ナイス!」と言っています。
ワタ
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる人物が気になって仕方のない主人公が、その女をホテルの客室清掃という同じ職場で働くように誘導する。存在感がなく信頼のできない語り手が、むらさきのスカートの女というこれまた怪しげな人物を追いかける。作品全体を貫く不気味さ、読み終わった後に浮かぶ疑問、これらを共有したいという衝動が『コンビニ人間』と似ている。おもしろい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/11/13(803日経過)
記録初日
2022/12/24(762日経過)
読んだ本
314冊(1日平均0.41冊)
読んだページ
97320ページ(1日平均127ページ)
感想・レビュー
128件(投稿率40.8%)
本棚
0棚
自己紹介

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