彼は海浜に添って、車に揺られながら荷物のように帰って来た。晴れ渡った明るい海が、彼の顔の前で死をかくまっている単調な幕のように、だらりとしていた。

彼は海浜に添って、車に揺られながら荷物のように帰って来た。晴れ渡った明るい海が、彼の顔の前で死をかくまっている単調な幕のように、だらりとしていた。

求めてた1冊完結マンガの理想。主人公が見てる風景だけの描写が余白を生んでて好きだ。柴崎友香の小説の描写に似てる雰囲気。黒地のコマで淡々と書いてある胸の内もいい。せいちゃんもハギオも「おまえ」呼びな感じ、そういう人を選ぶんかなとも思った。何もしてない、せいちゃんに苛立ちそうになったり、働き始めたのに”私“がハギオを見つけちゃったり。2人の間で揺れ動く葛藤。分からない私に核心を突く言葉をかけるリカやショップの店主の言葉が刺さった。魚喃キリコさん非常に良かったです。映画見てるみたいでした。