オルタナ旧市街とは架空の文芸クラブであり、記録であり、記憶であり、空間であり、時間である。そこに書かれた文章は本当かフィクションか、そんなことはどうでもよくなるほどクスリと笑えて、時に心を揺さぶり、ハッとした気づきをもたらす。そこで読者は明日への希望を抱けるのだ。冒頭の巣鴨に出没する踊る老婆とのエピソードが強烈な「踊る幽霊」、渋谷での冷房効きすぎ問題に激しく首肯した「(not)lost in translation」、南千住のスーパーのマグロ解体ショーから哲学的思考へと繋がる「がらんどう」が印象深かった。