再読。小道具や時代背景などが古びても、魂の部分は古びていない。だから古くならない。そんな作品ではないだろうか。

再読。小道具や時代背景などが古びても、魂の部分は古びていない。だから古くならない。そんな作品ではないだろうか。

心霊写真の本である。もはやこういう題材はコンビニの売り逃げムックですら出ない時代になってしまった。全枚カラーなのはありがたいが、ほとんどが味のしない／味の薄い心霊写真で、黒田みのる先生による限りなくあいまいな解説に懐かしさと渋味を感じる。発売元は大百科モノや『超怖い話』で有名だった勁文社で、発売は2000年。この2年後に倒産。

ナイトスクープのビニール紐の回を見終わったら突如おとなりに出現し、「これ、怖いね」と話しかけてくる男のオバケ。理不尽ながら平和で心暖まったが、紐の主はもう亡くなっていて、映像を観る人に「どうだい」と言うために来てるとだとしたら、イヤですね。

確か『鈍感力』あたりに乗っかって、書名に「力」と入った新書がポコポコと生み出された頃の本である。しかし本書の著者は春日武彦。「とにかく待てばヨシ」なんていう生易しいことは書かない。待つことの重要さは押さえつつ、待つことの厳しさ、待つことの難しさ、さらには間違って待つことの恐ろしさまで語る。