ネタバレ太平洋戦争から終戦まで最前線を戦ってきた元兵士達による戦争の総括を読んでいるようだった。日本がどのようにして敗戦まで辿ったのか、過酷な戦いを支えた兵士達はどのように生き延びたのか。あるいは散って行ったのか。その家族の想いや終戦後における周囲からの迫害は生々しい。宮部久蔵の人物像を探る過程で戦争そのものや戦争に対する価値観を突きつけられる。特攻がテロリストだと糾弾する高山のシーンは色んな考え方があるとはいえ心が痛かった。クーデターや新聞社の役割、世論の高まりなど勉強不足を痛感してる。

ネタバレ太平洋戦争から終戦まで最前線を戦ってきた元兵士達による戦争の総括を読んでいるようだった。日本がどのようにして敗戦まで辿ったのか、過酷な戦いを支えた兵士達はどのように生き延びたのか。あるいは散って行ったのか。その家族の想いや終戦後における周囲からの迫害は生々しい。宮部久蔵の人物像を探る過程で戦争そのものや戦争に対する価値観を突きつけられる。特攻がテロリストだと糾弾する高山のシーンは色んな考え方があるとはいえ心が痛かった。クーデターや新聞社の役割、世論の高まりなど勉強不足を痛感してる。

ネタバレ読者皆さんがどのシーンが好きか知りたくなった。私はユキが早朝の準備を始めるときから、走が走ってるときに感じる世界を垣間見たとき。走ってる最中に疎遠になってた家族が応援にみえたとき。そして、ジョージのセリフ「もちろん、充分だよ。ユキ先輩はかっこよかった。」冷静沈着なユキが駅伝という競技や家族関係を俯瞰しながら淡々と語っていく。それでもタイムは競技会でも上位で足は血で滲んでいる。巻末の解説にもあったがこの作品の要はメンバーの内面や心の機微、目標を達成できなかったけどその先にあるものではないか。是非再読したい。

ネタバレ読んでみたいと思いながらも敷居が高く、なかなか手が出せずにいた小説だった。砂丘の穴底に建つ家に見知らぬ女性と軟禁されるという常軌を逸した設定である。それでも現実的な考え方や五感に働きかけるようなリアルな描写で実社会との絶妙なバランスを保っている。主人公は少し偏屈なところもあるが、教師であり思考や行動が常識的な点は現実社会との乖離を埋めようとしてくれる。また、その主人公が脱出に失敗し劣悪な住環境かつその日を何とかしのぐような生活に妥協していく様はまるで今の自分や現代社会における幸福とは何かを考えさせられる。