ネタバレAudibleにて読了。以前ドラマ版を視聴したものだから、聴いているあいだ終始、阿部寛が頭の中を駆け回っている状態だった。規模としては中堅だが世界トップクラスの技術を持つ佃製作所が、大企業との裁判沙汰や特許闘争に四苦八苦しながら、ロケット打ち上げという夢を追い求める物語。佃側の言い分にもやや首を傾げるところもあったが、それ以上に、分かりやすい悪役を分かりやすくぶちのめす、明瞭な爽快感を味わえる作品だった。

ネタバレ作家買い。無分別に他人を傷つけ、こすい犯罪も厭わない「悪い姉」に虐げられてきた主人公・倉石麻友の懊悩と殺意を描いた青春サスペンス。渡辺優先生の描く、殺意が高いキャラクターが好きだ。極端な思考の偏りがありながらも、露悪的ではなくカラッとしている。また何より、その人物の脳内で丁寧に組み立てられた「殺意の脈絡」とでも呼ぶべき思考回路の構造的な美しさに、毎回感心してしまう。本作もその意味で非常に期待通りの作品だった。落とし所も丁度よい。説教臭くない程度に家族からの脱却をうたう、令和らしいヒューマンドラマ。

ネタバレ『犬村ファンタジー戦記の到達点』、その看板に偽りなし。凄まじく肉厚かつ骨太で、読み進めるのに高カロリーを消費する、最高のヘヴィノベルだった。亜人と人間が陸海空で争いを繰り広げる混沌の時代。主人公（？）トトは種族の垣根を越えた、真に平和な世界を志して飛空戦艦に乗り込むが…。ひどい表紙サギ！キャラ紹介サギ！！あまりにも淡々と進みすぎる前半からして、まぁ何かしらどんでん返しは用意されているだろうなと思っていたけれど、まさかここまで残酷な物語が提供されるとは…。歴史は巡り、惨劇は繰り返す。白き帝国の行く末や如何に

ネタバレAudibleにて読了。以前ドラマ版を視聴したものだから、聴いているあいだ終始、阿部寛が頭の中を駆け回っている状態だった。規模としては中堅だが世界トップクラスの技術を持つ佃製作所が、大企業との裁判沙汰や特許闘争に四苦八苦しながら、ロケット打ち上げという夢を追い求める物語。佃側の言い分にもやや首を傾げるところもあったが、それ以上に、分かりやすい悪役を分かりやすくぶちのめす、明瞭な爽快感を味わえる作品だった。

ネタバレAudibleにて再読。「欲しいものがなんでも手に入る」という都市伝説『ウラシマトンネル』を軸に綴られる、<時と四季>シリーズ第1弾。八目迷先生は、青春における「閉塞感」「無力感」の描写に長けている。どこかに行きたいのに、どこにも行けない。何者かになりたいのに、何者にもなれない。そういったネガティブな葛藤を妥協なしに叙述し、その上で、一歩を踏み出す勇気を、成長しようともがく姿の尊さを、泥臭いほど実直に描き出してくれる。暗い、重い部分があるからこそハッピーエンドの輝きがいや増す、デビュー作とは思えぬ傑作だ。

ネタバレ成金の家庭に生まれるも、没落して一家離散。その後、三島由紀夫の切腹に影響を受けてという訳でもなく流されて自衛隊に入営し、満期除隊後、ネズミ講講元・借金取りなどの職を転々としながら40を過ぎて文壇デビュー。末は直木賞やら紫綬褒章やらの栄光三昧。──こんなものは小説家の人生では無い。小説の主人公の人生だ。踏んできた場数が小説の面白さに直結すると仮定すれば、浅田次郎センセイは間違いなく天下無双の文豪である。こんなに面白い人生を送っている人間が他にいてたまるものか。