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2024年9月の読書メーターまとめ

zeitra
読んだ本
13
読んだページ
4383ページ
感想・レビュー
13
ナイス
456ナイス

2024年9月に読んだ本
13

2024年9月のお気に入り登録
6

  • かざぐるま
  • ぼぶ
  • ジョンノレン
  • ぽつねん
  • ひろ
  • 青木です。

2024年9月のお気に入られ登録
6

  • かざぐるま
  • ぼぶ
  • ジョンノレン
  • ぽつねん
  • ひろ
  • 青木です。

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

zeitra
ネタバレ小説と私小説の中間のような作品。その小説的立ち位置が曖昧な中で、著者の自問自答を通して読者の思考を揺さぶってくる、何とも不思議な感覚に浸れる作品でした。どの短編も抽象的に構造化してみると似たような流れがあるように見えます。特に占い師〜投資詐欺〜偽デイトナ漫画家と進む中盤の話は詐欺師を分析し、結果的に自省をするという話で、痛快さがありつつもどこか笑えない雰囲気あり、虚構の中でも承認欲求を糧に必死に生きたいと抗う者を単に馬鹿にすることに若干の疑問を呈しているようで興味深かったです。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
13

zeitra
「爆弾」は基本的に取調室でスズキタゴサクとの一騎打ちというシンプルで閉鎖的な構造が主軸でした。続編となる本書では取調室が法廷に、テロ犯柴崎は何をしでかすかわからず。空間的広がりに加え程よい緊張感が織り交ぜられ、更にスパイスとしてスズキタゴサクという不気味な存在が小出しにちょっかいを出すものですから、否応なく読者のこちら側も惹きつけられていきます。スズキタゴサクの哲学的問いかけが好きなのでその点では少し物足りなかったもの、群像劇として視点が切り替わる事で緊張感の角度が変わり、スリリングで飽きずに読めました。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
ネタバレZ世代である事にむしろ固執するかのように「Z世代」の上辺だけをなぞる世間では優秀とされる若者達の薄さ。そんな彼らを冷ややかに眺める沼田。それらを俯瞰しているつもりがその実自身も当事者である事から目を逸らしている各編の主人公達。多彩な軸が存在しますが、やはり沼田の変遷が興味深い。優秀だけど何をしたいのか見失っている沼田が「人生の脇道に逸れた」と自己防衛する中で、明かされないエピソードで「潰された」挙げ句に杉乃湯で謎の立ち位置として活躍(?)する姿。この話の余白を文学的と取るか放り投げと捉えるか難しい所です。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
ネタバレ「紗幕」という単語が出てくるのですが、町田さんの小説はまさにその雰囲気です。物悲しさが漂っている点がそう感じさせるのでしょうか。ただ、「52ヘルツのクジラたち」を先に読んでしまった為かどうも彼女の小説にパターンのようなものを感じてしまい、それが足枷となり上手く入り込みきれませんでした。何かしらの被害者がいて土地を離れ、そこに救世主的な人が居て、結末は割と強引に展開され…とは言え短編の中には好きな話もあり、特に波間に浮かぶイエローは秀逸で重文さんの真実が明かされた時は驚き、芙美さんの優しさに心打たれました。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
ネタバレ人は物事を一つの原色に定義し解った気になりがちです。ただし、実際はグラデーションで成り立ち、状況に応じ様々なパステルカラーが浮かび上がります。多感期にいじめを経験した主人公は真っ黒な生活の中で唯一キャンバス上に明るい希望を見出したはずが、ふとした弾みで自殺してしまう。借物として、黒色だった自身が無色となった結果、様々な色の存在に気付き、自身もそのカラフルの中でいきる活力を取り戻す。一連の流れがスムーズで、軽く笑える描写も多いので辛気臭くもならず、それでいて自身の視点に反省を促され。大満足の一冊でした。
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zeitra
ネタバレ三男三女全員に焦点を当て各章一人ずつ進行。全員が亡くなった父親の影を引きずり悩みながらも今を生きる話。良く言えば綺麗に、悪く言えば無難にまとまった話だと感じました。比較的初期の朝井作品ですが他作品と異なり「学生のノリ」が多いせいか文体の癖に若干クドさを感じてしまいました。例えば地の文中に会話文を余韻のように織り混ぜる手法。効果的だとは思うのですが、終始このパターンが続くのは演出味を感じてしまいます。とは言え、終盤の父が姉妹に話しかけるエピソード等感情的に揺さぶられるシーンも多々あり、読後感は良かったです。
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zeitra
ネタバレ抜群の面白さ。少年死刑囚鏑木が脱獄し、各所で潜伏生活をする話です。各エピソードでは鏑木と共にその場で働く人々の仕事ぶりや生活が丁寧に描かれています。そしてどの話も最後は鏑木の優しさだけが余韻となり終わる、それが故の結末の一連は切なすぎました。正直、細かい突っ込みを上げればキリがない(特に警察側が悪に描かれすぎている)のですが、話の大筋が面白すぎるので野暮かなと思います。鏑木の一人称視点が無く、だからこそ彼の発言からその緊迫した想いを読み取れる余白の持たせ方が巧みに感じました。
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zeitra
ネタバレ連続幼女殺人事件に関わる警察と、新興宗教にのめり込む松本なる人物の話が交互に展開されていく。トリックの驚きもさることながら、人間ドラマとしての濃密さがあります。それ故に単なるミステリ作品に留まらない重厚さがあります。しかし、前述の通り小気味よく視点が交互に入れ変わるため、読み苦しさはありません。佐伯は親から満足な愛情を受ける事ができず、一方で自身も親としての子供の接し方に迷いがあり、結果として慟哭に繋がってしまう一連の流れは物悲しく、切ない。真相を知った上で二度目を読むと、その切なさに拍車がかかりますね。
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zeitra
華やかながらも混沌としたバブル期。そんな浮ついた時代のさなか、高級寿司屋を心の拠り所にし、酸いも甘いも糧にしながら駆け抜けた女性の話。柚木さんの料理に対する描写が好きで、本書でも健在。見事にカウンターで寿司を食べたくなりました。また、札束が飛び交う景気の良い時代だからこその危うさや、他人を踏み台にしてまで仕事を推し進めることの苦悩、そして何より主人公と寿司の握り手である一ノ瀬さんの絶妙な空気感。長い本ではないですが、まさに握りのようにふわっと包みこまれるように話が織り交ぜられており、読み応えがありました。
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zeitra
「鏡のない夢」。鏡がないので、自分の姿を見る事が出来ません。つまり、「自分自身に向き合う胆力を持たずに夢だけを見る人」の事を指すのかなと考えました。どの短編にも、傲慢さが垣間見える登場人物が存在します。本書ではその傲慢さを「傲慢だ」と突きつけるのではなく、読む人に「なんかこの人おかしいな」と、違和感として見せる手法が巧妙で、リアリティを感じさせる為の一助となっているように感じました。また、「君本家の誘拐」は子育ての過酷さを言語化されていて、その一端でも自身の想像力を広げることが出来た気がし、良かったです。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
本気を出すと切れ味鋭い言葉が積み重ねられる朝井リョウさん。力を抜いても(別の意味で)キレ味が強かったなという衝撃。彼の小説を読んで、精神的に少し疲れたなと感じるのなら、エッセイを読んでその緩さに何故か元気が戻るという、「冷え」と「熱い」を交互に感じるかのような、二段構えの塩梅がやめられない止まらない状態を生み出していて、とても良いですね。次作も読んでみたいと思います。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
ネタバレ小説と私小説の中間のような作品。その小説的立ち位置が曖昧な中で、著者の自問自答を通して読者の思考を揺さぶってくる、何とも不思議な感覚に浸れる作品でした。どの短編も抽象的に構造化してみると似たような流れがあるように見えます。特に占い師〜投資詐欺〜偽デイトナ漫画家と進む中盤の話は詐欺師を分析し、結果的に自省をするという話で、痛快さがありつつもどこか笑えない雰囲気あり、虚構の中でも承認欲求を糧に必死に生きたいと抗う者を単に馬鹿にすることに若干の疑問を呈しているようで興味深かったです。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
まさに「案件」として企業からの依頼に応えた小説。題材もキャラメルやウイスキー等の飲食物から香水、漫画とのコラボなど様々で楽しめました。制約があるからこそ、その制約を逆手にとって遊ぶ、しかし作品としては一定のクオリティを保てているのはまさに手練れです。一読し「蜜柑ひとつぶん外れて」が特に印象に残りました。典型的な「知ったか」を尻目に、ちょっと正道から外して楽しむ遊び心。そんな洒脱な感覚を持って過ごしたいなと、年甲斐もなく改めて思えたからです。ついでにチア男子も読みたくなったのは何か踊らされている気がします。
が「ナイス!」と言っています。
zeitra
現代日本の暗い部分を否応なく詰め込んだ作品。貧困のさなか、それでも序盤は主人公もアキも夢を追い求めていたはず。「何がそうさせているのか」と叫びたくなるほど理不尽な人間関係や、過酷なマチズモ文化や善意の押し付けに託けた立場の悪用など、読んでいて胃がキリキリするような出来事が続きました。テーマが重すぎるので、安易な感想は当事者性もなく、迂闊なことは言えません。ただ2024年の今、時代は少しでも進んでいるのでしょうか。コロナ禍と人手不足から人を大事にせねばならないと。その声は真の弱者にも届いているのでしょうか。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2023/07/28(451日経過)
記録初日
2024/05/10(164日経過)
読んだ本
85冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
30979ページ(1日平均188ページ)
感想・レビュー
79件(投稿率92.9%)
本棚
5棚
現住所
静岡県
自己紹介

小説をジャンル問わず読み漁っています。

文章が面白く、表現で魅せてくれたり、心を抉ってくるような小説が好きです。たまにエッセイも読みます。エッセイは日常や旅、食事など些細なことをテーマにしたものが好きで、説教くさいのは苦手です。

===

以下のような本は苦手です。
・自己啓発本や中身の薄いビジネス書
・「どんでん返し」だけに特化したミステリ

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