前半と後半で別ジャンルのような構成。圧巻なのは前半、正直であけすけな内面の吐露、ハンバートの欲情を100％共感できない男性は嘘つきだろう。キューブリックの映画ではロリータが16〜18歳にしか見えないが、これだとハンバートはどこにでもいるただのスケベオヤジになってしまう。男が12歳の少女にイカれてしまう様子を並々ならぬ精密さで描くことこそが、この作品を文芸たらしめている。

令和4年の新訳。10代の頃に1章だけでやめて以降なんとなく敬遠してたけど、この新訳が良いのか読みやすかった。不具者になった男の末路。ダークな含みが隠されていそうな話に読めるけど、印象として残るのは妙なコミカルさ。そこが良い。訳者解説によるとカフカのパブリックイメージは造られたもので、職場や社交の場では優秀で快活な人物だったようだ。厭世観を纏った変わり者が世紀の傑作をモノにするという逸話に惹かれる気持ちは良く分かる。

強欲な人間ほど自分の快楽を優先するものだけど、スクルージは人一倍禁欲的で最初から全く悪い人間に見えない。言うことも筋が通ってる。ただ度を越してケチなだけ。そんな男に優しい幽霊が、周りに親切なほうが得するよ。と教えてあげるお話。

ホントの魂が子供の頃のままずっと置き去りにされてる感覚、すごくわかる

前半と後半で別ジャンルのような構成。圧巻なのは前半、正直であけすけな内面の吐露、ハンバートの欲情を100％共感できない男性は嘘つきだろう。キューブリックの映画ではロリータが16〜18歳にしか見えないが、これだとハンバートはどこにでもいるただのスケベオヤジになってしまう。男が12歳の少女にイカれてしまう様子を並々ならぬ精密さで描くことこそが、この作品を文芸たらしめている。

試みは面白そうと手に取ったが、期待ほどって感じ。でも昔観たペキンパーの映画をもう一度観たくなった。

スコットランドの寂れた灯台が引き寄せる喪失を抱えた人たちの物語。エモい。

イギリスのノーベル賞作家の代表作。あちらでは教科書に載るほどの国民的な小説らしいけど、一本調子で退屈な物語に感じた。12歳の子供が数時間で全景を把握できるサイズの島に豊富な水や果物が溢れてるのも嘘くさい。

少し前のSFマガジンでオールタイムベストの国内一位にランクされていた。昔からよく聞くタイトルでディアスポラや三体のあとがきでも触れられていた気がする。当時としては目新しいであろうマルチバースの概念や”階梯”という設定の妙、分割したエピローグの配置も気が利いてると思う。ただ、今読んで本気でワクワクする作品かと問われたら正直微妙。