そうして階段を登り切り、「大人」にさせられた少年の目の前には一度落とされたら二度と戻れないような崖があり、突き落とされて「自由」となったのです。 ヘッセの小説は少年の心の機微や移ろいを余りにも正確に捉えていて、自分の人生と多くを重ねてしまい、私を引っ張り上げた大人たちへの怒りや、少年の頃の私への哀れみを感じずにはいられません。
私ももう世間的には「大人」と呼ばれるようになってしまいました。日常使われるもので一番定義が曖昧な言葉です。 私は小さき希望たちを、上に引っ張り上げるのでなく、横に立ち、共に階段を登っていく大人でありたい、と思いました。
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