『堕ちる』『潰える』に続くアンソロジー企画の最終段としての本書だが、3冊の中では本書が一番好みだった。どの話も良かったが、恩田陸の『車窓』は短くシンプルながらも面白かったのと、有栖川有栖の『アイソレーテッド・サークル』は登場人物達の緊迫感が伝わってくるようで読んでいて楽しかった。

無駄に複雑な考察要素があるわけでもなく、ただただ良質な怖いはなしを供給された。そんな感じの良書。

『堕ちる』『潰える』に続くアンソロジー企画の最終段としての本書だが、3冊の中では本書が一番好みだった。どの話も良かったが、恩田陸の『車窓』は短くシンプルながらも面白かったのと、有栖川有栖の『アイソレーテッド・サークル』は登場人物達の緊迫感が伝わってくるようで読んでいて楽しかった。

『わたしと一緒にくらしましょう』を読みながら、登場人物の一部が妙にキャラ立ちしているので、もしかしてこれはシリーズ物なのかと思っていたら、果たしてその通りだった。そのシリーズ物の一作目が本作。怪異、本シリーズでは『きょう』と称されているが、それが影響を及ぼす範囲が広く、スケールが大きい。怪異を生み出した森宮歌枝の復讐譚であるが、やってることがかなりえげつないのと、次作『わたしと……』を読んでいる時も同じ感想を抱いたが、人が容赦なく死んでいくので、本シリーズの怪異には巻き込まれたくないなと思った。

2025年最初の読了。シンプルに怖い話だった。兄嫁の綾子の言動が、すごく直接的に怪異を体現しているわけではないのに、常にじっとりと不穏な感じを醸し出していて本当に嫌だった。現代組の描写がライトノベルを彷彿とさせるようなノリだったことが少し気になったけれど、全体的に読みやすくて良かったと思う。