危うく若い時分で暗澹たる日々を送る彼の成長を期待しながら読んでしまうところだった。普通に生きる人々は選ばない捻くれ道中の徹底を、彼は選んだのだ。一見楽な方に流れただけのようにも思えるが、文面の中からそのような安易さだけではない熱い想いが感じられる。彼の著作たちはそうした背景を少しずつ裏付けてゆくピースなのだろう。全作を読んだ際には、彼の選択の由縁が少しはわかるのかもしれない。他作や彼の自ら編集したという藤澤清造を、いつか気の向いた折にでも読んでみることにしよう。
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