著者らしい湿り気もあるし、既視感は承知の上？でのネタを和風に上手く料理しているとは思うが、決して腐すつもりはなく、ごく素朴に、本作が直木賞ならば、ホルモーは、プリンセストヨトミは、とっぴんぱらりは、鹿男は、しゅららぼんは、いったい何賞？と感じてしまう。ひょっとして、選考者に嫉まれると、もらえない賞なのかしら。作品の好みはむしろ女子駅伝モノのほうだが、なぜ新選組なのか、今ひとつよくわからん。

ジュニアの読者が対象と思われるが、博物館の少女同様、誠に生真面目で、パネルを組み合わせたプラモデルみたいなのではなく、しっかり柱を立てて堅実に組み上げた建築物のような作品。博物館の少女のときも感じたが、文体のせいなのか、題材はコテコテの和風ながら、全体の印象はどこかバタ臭い。同じ童話作家？でも柏葉さんとは作風が対照的。このあたり三島由紀夫に似ているが、そういえば本作にでてくる石笛など、三島の「英霊の聲」を想わせる。どのように最後を収拾するのか興味深く読み進めたが、やや既視感あれどなるほどね、という結末。

著者らしい湿り気もあるし、既視感は承知の上？でのネタを和風に上手く料理しているとは思うが、決して腐すつもりはなく、ごく素朴に、本作が直木賞ならば、ホルモーは、プリンセストヨトミは、とっぴんぱらりは、鹿男は、しゅららぼんは、いったい何賞？と感じてしまう。ひょっとして、選考者に嫉まれると、もらえない賞なのかしら。作品の好みはむしろ女子駅伝モノのほうだが、なぜ新選組なのか、今ひとつよくわからん。

一巻こそかなり粗削りだったが、巻が進むほど整理され、本書は構成的にも優れ読後感も良し。過去の巻にも個別の話では魅力的なものはもちろんあるものの、本書はどの話もレベルが高く、全体として四巻中ではたぶん最上の出来…と思う。同出版社の「利き蜜師」シリーズもそうだったが、（もちろん著者の才能ありが前提だが）この出版社（編集の福永さん？）は作家を育てるのが上手い。次巻も期待！

戦いの記録…かな。相手は邦人のイスラム研究家（のほぼ全員？）。もっとも、彼らがそういう姿勢でいるのもわかる。なぜなら、仮にイスラム教が著者のいう性格をもつ宗教であるなら、危険思想とは言わぬまでも、少なくとも（特に国公立）大学から給料をもらって研究し若者を教育する、学者としての社会的地位、既得権を維持することは困難となろうから。昔マルクス今イスラムで、現状イスラム研究は学問の対象と同時に、マルクス主義に代わる反米反体制のイデオロギーとしての性格を帯びているようだ。著者は選挙に出るようだが、流れとしては自然。