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2024年10月の読書メーターまとめ

masakazu
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579ページ
感想・レビュー
2
ナイス
22ナイス

2024年10月に読んだ本
2

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

masakazu
危険な作品。部分的には同情できるのだが、さすがに「他人とはもう少し調和しないと…」と呆れ返る。19世紀ロシアにおける上流階級は世俗的な成功に執着するスノッブに溢れ、大衆は文字通りの無知蒙昧なのは事実で、読書だけ大量に積んだインテリである主人公にはその環境が生きづらい。しかし、彼は強い自意識ゆえ社会に馴染めず、ときに他人との関わりを渇望するのに近づく相手は片っ端から傷つける。その上で「愛するものは、真実、誠実、正直」と公然と標榜する姿は絵空事のようであり、あっけらかんとした「やり手」の人々よりもむしろ醜悪。
masakazu
2024/10/19 21:17

物事が自分の思うように進まない場合に衝動的な言動が多く、幼稚な人格を感じざるを得ない。平時において自身が善良でないことや狂気じみている点への自覚は十分に持ちながら、いざとなると感情の制御が付かず大言壮語を吐く(死ぬ覚悟もなしに決闘を示唆するなど)という点で、虚言癖のような一面もある。一人称「俺」による描写は「信頼できない語り手」の側面が強く、内面の欠陥をまだ秘匿しているように映る。旧知であるズウェルコフたち(学生時の同級生)やアポロン(下男)との関係が最悪な形で描写されるのも、ほぼ主人公のせいではないか。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
2

masakazu
危険な作品。部分的には同情できるのだが、さすがに「他人とはもう少し調和しないと…」と呆れ返る。19世紀ロシアにおける上流階級は世俗的な成功に執着するスノッブに溢れ、大衆は文字通りの無知蒙昧なのは事実で、読書だけ大量に積んだインテリである主人公にはその環境が生きづらい。しかし、彼は強い自意識ゆえ社会に馴染めず、ときに他人との関わりを渇望するのに近づく相手は片っ端から傷つける。その上で「愛するものは、真実、誠実、正直」と公然と標榜する姿は絵空事のようであり、あっけらかんとした「やり手」の人々よりもむしろ醜悪。
masakazu
2024/10/19 21:17

物事が自分の思うように進まない場合に衝動的な言動が多く、幼稚な人格を感じざるを得ない。平時において自身が善良でないことや狂気じみている点への自覚は十分に持ちながら、いざとなると感情の制御が付かず大言壮語を吐く(死ぬ覚悟もなしに決闘を示唆するなど)という点で、虚言癖のような一面もある。一人称「俺」による描写は「信頼できない語り手」の側面が強く、内面の欠陥をまだ秘匿しているように映る。旧知であるズウェルコフたち(学生時の同級生)やアポロン(下男)との関係が最悪な形で描写されるのも、ほぼ主人公のせいではないか。

が「ナイス!」と言っています。
masakazu
名作。人物造形やその書き分けの水準には感嘆する。クレオパトラの存在は何より強烈で、シェイクスピアの時代における外国人および女性の両面に対する公然たる差別意識が織り込まれている(が、部分的に真実も含む)。具体的には、気まぐれ(言行不一致)を軸に、ヒステリー、他責的な言動、戦場における覚悟のなさなどを露悪的に描写し、いわば男とは全く異なる生物として説明される。イノバーバスが好き。忠誠心と皮肉とを中心に主人への愛憎が誰よりも強く、彼を通してアントニーの多面性(英雄であり愚将であり、一貫して実直)も浮かび上がる。
masakazu
2024/10/02 12:27

本作のハイライトは、アントニー・クレオパトラ対シーザー(ジュリアス・シーザーではなく、後のアウグストゥス)によるアクティウム海戦だと考えた。クレオパトラは事前に出陣しないよう侍女たちから諌められるも、無視して最前線で指揮を執る。アントニー・クレオパトラ連合がシーザーを負かしつつあったが、クレオパトラは戦場への恐怖から船ごと戦線離脱。アントニーも(軍人としてあるまじき姿勢だが)それを追い撤退することで敗北。クレオパトラの覚悟のなさ、アントニーの軍人としての職務を放棄する姿は本作において何よりも醜悪に映った。

masakazu
2024/10/02 12:31

アントニーの「腕っぷしは随一で、陸戦での戦略や戦術にも優れた将軍。ただし色恋が原因で破滅する」というキャラクターは、一見すると歴史物語における豪傑のステレオタイプではあるが、クレオパトラとの辟易させられる絡みや彼女への甘やかし、逆に古参兵による支持の厚さや部下への情など細部まで描かれており、容易に形容できない人物像になっている。クレオパトラについても、女性リーダーとしての処世術や生存戦略は一貫してうかがえる。ただし、それらは色仕掛けの傾向が強く、何人ものローマの権力者に愛人としておもねる姿は下劣にも映る。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/03/03(5751日経過)
記録初日
2007/10/29(6242日経過)
読んだ本
514冊(1日平均0.08冊)
読んだページ
146371ページ(1日平均23ページ)
感想・レビュー
412件(投稿率80.2%)
本棚
5棚
性別
年齢
33歳
血液型
B型
職業
IT関係
現住所
東京都
URL/ブログ
https://note.mu/synnousk
自己紹介

福岡出身。文系。防衛大学校に12ヶ月所属して中退。大阪大学卒。中小企業→インド勤務→大手のIT子会社→大手IT。純文学と海外のビジネス書が好き。海外25カ国行った。

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