合理的な官僚制組織の代表として軍に目を向け、不確実性の高い戦争の中ではなぜ失敗したのか、組織論的アプローチで分析しています。軍は官僚制に基づき統合された意思決定や明確な指揮命令系統に特徴づけられそうなところ、日本軍は「空気」や「人情」を重視し、下剋上的突出をも許容する特異性も併せ持っていました。ひいては目的が曖昧で、意思疎通に錯誤が多く、短期志向で現場の神通力頼りの組織を生む土壌にもなりました。自己革新に結び付くダブルループ学習ができなかった構造的な問題は、未だに日本の組織にもつながる眼差しがあります。

当たり前に見えることが書かれているようでいて、大変に深いことが書かれている一冊だと感じました。失敗の原因が10に大別できること。「未知との遭遇」以外の失敗は本来避け得る失敗であること。大失敗を誘発する、組織のツリー構造図では見えないリンクの影響などの指摘は白眉に思います。伝わりにくさなど７つ指摘される失敗情報の特性、ではどうやって知識化していくのか？成功話より失敗談の方が学びになるのに、組織では途端に前者の話ばかり聞かされることになるのはなぜなのか。ではどうすればいいのか？省察の糧にもなる本でした。

ナレッジマネジメントを代表する一冊とのことです。コアケイパビリティにナレッジを置き、支える要素として①従業員のスキル・知識、②物理的・技術的システム、③マネジメントシステム、④価値観・規範を挙げています。そして、コアケイパビリティがコアリジリティの転換してしまうリスクが説明されます。ここがハイライトの一つ。そして、４要素に対応する考え方・事例が紹介されていきます。各要素が結合し、知識を組織の中で動かす力を埋めないと上手くいきません。ツールだけ導入しても成功しない理由は、この時から既に解説されていました。

合理的な官僚制組織の代表として軍に目を向け、不確実性の高い戦争の中ではなぜ失敗したのか、組織論的アプローチで分析しています。軍は官僚制に基づき統合された意思決定や明確な指揮命令系統に特徴づけられそうなところ、日本軍は「空気」や「人情」を重視し、下剋上的突出をも許容する特異性も併せ持っていました。ひいては目的が曖昧で、意思疎通に錯誤が多く、短期志向で現場の神通力頼りの組織を生む土壌にもなりました。自己革新に結び付くダブルループ学習ができなかった構造的な問題は、未だに日本の組織にもつながる眼差しがあります。

栄光のウェルチ時代の裏で組織には傲慢さが生まれ、膨大なM&Aで幹部にも把握困難なほどに肥大しました。強烈な成果主義で会計数字を”作る”風土が跋扈します。そこに金融危機が火を噴き、魔法の種だった金融部門が一気に爆弾に。エネルギー事業も失敗、一発逆転を狙うようなイメルトのデジタル構想や大型買収も裏目に。経営資源は削られ凋落は加速します。アクティビスト登場。フラナリーは経営課題を正しく整理しましたが、株価低迷は止まらず短期で追われました。企業の衰退の法則や株主偏重主義、トップダウンの功罪など考えさせられました。

「成長型マインドセット」に関する本です。多くの人が切迫感や自尊心にとらわれてしまうのはなぜなのか？それは「硬直型マインドセット」に特有の有能さの罠ともいうべき心理の仕組みでした。逆に、「成長型マインドセット」をもつ人は、失敗にもめげず、いきいきと自由にしています。この心理－いわば生き方の秘訣にもつながりそうなこのメカニズムは、＜学習と成長＞に目が向いているからでした。焦点を当てているのが『変えられない性格』ではなく、『変えられる信念』であるため、マインドセットを学んで生き方を切り開けそうな一冊です。