1頭で6人も殺すなんてことはないとしても、今年（2025年）の熊害でこれだけの死傷者が出ているのを見ると、住民の恐怖も生々しく感じられる。カミュの『ペスト』がコロナ禍に読まれたように、今この本が読まれるんだろうか。時を経て世相を活写する本として、リアルタイムで読めたのは貴重な読書体験だったと思う。

1頭で6人も殺すなんてことはないとしても、今年（2025年）の熊害でこれだけの死傷者が出ているのを見ると、住民の恐怖も生々しく感じられる。カミュの『ペスト』がコロナ禍に読まれたように、今この本が読まれるんだろうか。時を経て世相を活写する本として、リアルタイムで読めたのは貴重な読書体験だったと思う。

語り手（私）のなんとなく一歩引いた感じというか、どの登場人物にも取り込まれない感じが好ましい。だからこんな破天荒なオヤジの話がこんな淡々とライトに読めるんだなー。このタイトルでこんなトンデモ野郎の半生を読まされると思ってなかったから、このくらいフィルターでろ過してもらわないと、とても読めなかったかもしれない。これがストリックランドの一人称視点だったらどんなエグい話になってたんだろうか…