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2024年6月の読書メーターまとめ

Viola
読んだ本
14
読んだページ
4188ページ
感想・レビュー
14
ナイス
43ナイス

2024年6月に読んだ本
14

2024年6月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Viola
極めて優秀だった司法修習生時代の岬洋介。後の謎解きはここに原点があった。細部にまで目が届き教官を唸らせる取り調べと、ある事件がきっかけでピアニストへ復帰する、ふたつの舞台とひとつの事件がうまくバランスを取って繰り広げられる。双方を繋ぐ役目となるのが語り手の天生。意気込んだ法曹界へのデビューも挫折して趣味となったクラシックの世界も自分を遥かに凌駕する岬の存在、ジェラシーで苦々しく思うのではなく受け入れて尊重し、最後は硬い絆を感じさせる。岬シリーズ久々だが面白かった
が「ナイス!」と言っています。

2024年6月の感想・レビュー一覧
14

Viola
癌で闘病中のバーニーズ、マージとの生活の記録。本当に記録なのだ。食べない焦り、排泄できた喜び、検査結果での一喜一憂、歩けなくなる犬の介護、私自身、犬の闘病と共に生活したので、その体験を準えたような記録には、追体験しているようで辛いような、共感するような感覚。この記録が作品になるとはさすが作家。
Viola
第一弾より泣かされた。巻頭詞からうるうる。今回は安楽死までテーマに入れ、向き合うべき最期を真正面から捉えている。この章は切なかった。フレンチブルの章は直木賞の「少年と犬」の叩き台になるような犬により変えられる男の話。しみじみと心に染みる。最後の、著者の想いが溢れたバーニーズの書き下ろしも、犬を愛していながらなんとなく健康を信じてしまう、ありがちな後悔に共感してしまい、ソウルメイトという絆を確信させてくれる愛犬家感涙の短編。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
ちょっとこの手の本を続けて読みすぎたせいか、食傷気味ではあった。妻子を失い自暴自棄の主人公の元に現れた犬は、飼い主の妻から虐待を受けていた。物言わぬ犬の物悲しさと愛情に応える姿が愛おしい。どんでん返しのように挟まれる病気、そうきたか、と悲観に暮れるが、彼女が繋いだ縁により、主人公は新たな未来を歩むことができる。家政婦さん、飼い主主人、ラーメン屋の店主、いい人が周りを囲みホッとする。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
犬をテーマにした短編集だけど、どれも深くて犬への愛に溢れている。どの角度から扱った物語も、愛犬家には自分の子を当てはめてうなづくだろう。生態や病気にも詳しく、知らなかった知識が所々に出てきてへ〜と思う。「柴」「バーニーズ」の章が特に心に響く。カータの病変の発見からその結果に打ちひしがれ、治療方針への悩みと葛藤が手に取るようにわかる。そしてこの瞬間、同じように愛犬の病気と死の恐怖に震える飼い主がたくさんいる、と見えない戦友たちにまで配慮の及ぶ優しさに感動した。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
極めて優秀だった司法修習生時代の岬洋介。後の謎解きはここに原点があった。細部にまで目が届き教官を唸らせる取り調べと、ある事件がきっかけでピアニストへ復帰する、ふたつの舞台とひとつの事件がうまくバランスを取って繰り広げられる。双方を繋ぐ役目となるのが語り手の天生。意気込んだ法曹界へのデビューも挫折して趣味となったクラシックの世界も自分を遥かに凌駕する岬の存在、ジェラシーで苦々しく思うのではなく受け入れて尊重し、最後は硬い絆を感じさせる。岬シリーズ久々だが面白かった
が「ナイス!」と言っています。
Viola
新堂冬樹ファミリーと呼ばれる、著者とSNSで繋がっている愛犬家たちの投稿からできたエッセイ集。たぶん選ばれた投稿を犬たちの目線に置き換えて飼い主への手紙の形式にしている。著者はスピリチュアルにも理解があり愛犬の言葉をヒーラーという人に取り次いでもらったりしているので、ペットロスに陥る人に向けて、愛犬は満足しているという手紙は慰めになるだろう。間に挟まれた対談や短編もいい。現役組という犬の手紙の章は個人的には不要だが、まだ元気な子の飼い主の覚悟のためにはいいのかも知れない。
Viola
誰も聴いてくれないビリヤードバーでのライブで、大音量で全力の演奏には賛否が。そんな状況を「自分に向いている」と確信する大のエネルギー。いくら演奏が素晴らしくても立ち向かっていくメンタルがなければステージに立つ演奏者として成功しないのはジャズだけではない。有力者のありがたい支援も断るがネット時代の拡散力が彼らに味方しそうで、まさに今を感じる。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
冒頭で、これはもしかして胸糞悪い小説かと離脱しようとしたが、実際の事件に即した物語と知って読み進めると一気読みでした。幼い頃のペットへの思いと死に対する歪んだ思い込みが、涼子を残虐なモンスターにした。成績優秀なため母の涼子への思い入れは強く、母とその他の家族とのつながりは希薄であり重篤な症状の母に対しても淡白なやりとりに薄寒さを感じる。編集者とテレビ局のドラマ化での行き違いは最近実際にあったドラマ化での悲劇と同じ。こんなことが繰り返されているんだと実感する。
Viola
「黒新堂」は未読だが、犬以外に音楽がテーマの作品もあるとは。蒼がほのかにそこまで惹かれる理由がわからなかったり、いくら才能があっても(たぶん私立)音大への進学に無理があると思えたり、舞香のあまりに闘志むき出しの言動にはリアルさを感じなかったりするが、ピアニスト同志のライバル心や演奏の表現は既読のピアノ小説に負けてない。曲を思い浮かべながら楽しく読んだ。ショパンコンクールで日本人が上位入賞した今だから、ラストは希望に溢れる旅立ちで終わり良かった。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
犬と暮らすようなって、ペット産業の闇を知れば知るほど絶望感が増す。もう十数年前から言われていたことだが、その他の議案が優先され、ペットの問題が法整備され悪徳ブリーダーや生体販売がなくなることはない。この作品はエンタメ要素、ミステリー感もありながらペット産業の暗部を晒す衝撃的な内容で多くの人に読んで欲しい。ペットブームで我が子のように可愛がられ高度医療を受け長生きする子が増える一方、商品としてしか扱われず残虐な短い生の先に処分される命があることに胸が押し潰されそうになる
が「ナイス!」と言っています。
Viola
米国ジャズのトップグループとのセッションでさえ物怖じせず、自分を貫いてパワーソロを奏る大。ニューオリンズでの成功を糧に乗り込んだフロリダではそのパワーがハマらない。敏感に空気を読むアントニオ、無骨に悩む大。乗り越えるべきは何か。新しいメンバーは癖のあるベーシスト、楽器と一体化して奏でる音とは一体どんな音なのか、体験してみたい。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
王道の恋愛ものにスイスの自殺幇助団体を絡めて生きることの意味を問う。テーマは素晴らしいが、2人が惹かれ合う過程が少々短絡的で、拒否されても一生の介護を超えるだけの強い絆ができるようなエピソードには思えない。海斗がスイスに向かう意思も、強固な意志を覆すほどのインパクトのある出来事も弱い感じがする。もう少し各章細部を膨らませても十分面白かったと思う。スイスで出会う末期がんの女性の存在がいい。彼女の説得力ある体験と言葉により、私たちも生きることの喜びと苦難を知ることができる。
が「ナイス!」と言っています。
Viola
インスタで著者の投稿を知り手に取った。制作会社とテレビ局との諸々は少々細かくてついていけなくなりそうだった。冷血な仕事至上主義の主人公がパステルの純粋であけっぴろげな愛情表現に心開かれていく過程は、里親探しを経て自然に描かれていた。パステルと同じ病気の犬にほぼ同じ過程の治療を強いてきた自分には第2章の病院でのやり取りや弱っていく犬の症状がリアルすぎた。病院での蘇生は先代犬の最期がフラッシュバック、本当に体験した人にしか書けない。臨場感がビンビン伝わり最後は号泣した。
Viola
2024/06/05 09:08

同じ瞳を見つけ、魂の甦りを感じて新たな子犬を迎えることになる主人公。このエンディングはほっこりするのだが、この子が4年後に同じ病気で早逝することを、未来に住む私たちはもう知っている。残酷な運命を経てまた良い作品が生み出されることを待っています

が「ナイス!」と言っています。
Viola
老犬が病気になり、残された時間を目の当たりにして介護の合間に見つけ、すぐ読みたくてkindle版で読了。「後悔してその場に帰っても、きっと違う後悔をする」という言葉が腑に落ちた。昨日同じことを思っていたところ。「命を数値化してしまう」のも然り。あの子は17歳まで生きたから羨ましい、と思ってしまう自分の愚かさを見透かされた。「虹の橋」の寓話も使い尽くされて軽いワードに思えていたがここで引用されると嗚咽して泣いた。著者の、僧侶になるまでのエピソードで導かれていることを感じた。少し気持ちが楽になった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/05/06(4446日経過)
記録初日
2012/07/08(4383日経過)
読んだ本
840冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
243744ページ(1日平均55ページ)
感想・レビュー
751件(投稿率89.4%)
本棚
13棚
外部サイト
自己紹介

読書記録のために始めました。
同じ本を読んでもいろんな感じ方があるのだなぁ、と
みなさんのレビューも楽しんでます。

最近やっと、自分の心に響く作品とそうでないものがはっきりしてきました。そろそろ、人生で読んでおきたいものを優先させていきたいです。


好きな本ベスト10

「豊饒の海」  三島由紀夫、
「日の名残り」  カズオ・イシグロ、
「沈黙」
「深い河」
「死海のほとり」  遠藤周作
「エデンの東」
「怒りの葡萄」  ジョン・スタインベック
「レ・ミゼラブル」 ヴィクトル・ユゴー
「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ
「罪と罰」     ドストエフスキー

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