初めて読んだ方なのに、馴染み深い世界観と簡素で無駄のない文章にアッと絡め取られて異界へ攫われました。まるで夜市へ紛れたような、まるで古道へ踏み入れたような、そのすべてを自身が体験したかの如く鮮明な情景が見えました。そして別世界を惜しみながら共に現実へと還ってくる…物語の運びが巧妙であるため現実との境が朧になり、地続きにどこまでもどこまでも世界が広がっているように感じます。この広い世界を隅々まで知りたくてたまりません。夜市も古道もベッタリ惚れ込んでしまい、これは他の作品も読まねばと気合いを入れました。

谷崎潤一郎の静かで艶やかな文面とねこ助さんの妖艶なイラストが組み合わさると、こうも強くなるのかと感動しました。美しいものを見ました。

人の証言だけで進む和風ミステリーを和の大胆な作風で彩っていて、とても痺れましたね。乙女の本棚シリーズは私の好きな作家さんと私の好きな絵描きさんが組んでいるものばかりなので大変栄養に良いです。 芥川龍之介も好きですし、作画担当であるおくさんの画集なども複数所持しているので、手に取る前から笑顔になってしまいます。 このシリーズの企画を発案した人を賞賛したい。実行に移した人に賛辞を送りたい。組み合わせを考えている人を誉めそやしたい。立東舎さんありがとうございます。

絵本が好きなので、こちらの内容はとても共感と好感が持てました。内容が読みやすいために、多くの本の中から絵本が子供に選ばれるのは必須と言えますが、だからと言って大人が読んでいたら恥ずかしい、なんてことは微塵もありません。広く描かれた絵と洗礼された短い文章で成り立つ物語は、ときに子供に夢を与え、ときに大人の心を揺さぶります。なので成長して読むからこそ子供目線では気づかなかったメッセージ性に気づいたりすることも多いです。 本書では多くの絵本が登場するので、知ってる本も知らない本も、これを機に読みたいと思います。

ぬいぐるみが動く物語というのは、いつの時代でも、どの国のお話でも魅力的な力があります。 なくしたボタンを探しに、夜のお店を動き回るコールテンくんが大変可愛らしく、また、初めて見る世界を自分の知識と照らし合わせて、ここはきっとアレだ、と自分の中で納得しながら進む姿はとても愛おしいです。最後はニッコリしてしまう結末なので、コールテンくんには幸せに過ごして欲しいですね。

絵と物語を通して様々な動物から放り出された[分身](題名からお察し)がコミカルに、かつ分かりやすく説明されていて面白かったです。楽しみながら知識もつきます。ただ［分身］を説明する際に毎回繰り出される例えが例えなので食事中は勿論、食事前後にも読むことは推奨できません…。 モグラさんの不思議ファッションが可愛いので、読む機会があれば是非そこにも注目してみてください。

初めて読んだ方なのに、馴染み深い世界観と簡素で無駄のない文章にアッと絡め取られて異界へ攫われました。まるで夜市へ紛れたような、まるで古道へ踏み入れたような、そのすべてを自身が体験したかの如く鮮明な情景が見えました。そして別世界を惜しみながら共に現実へと還ってくる…物語の運びが巧妙であるため現実との境が朧になり、地続きにどこまでもどこまでも世界が広がっているように感じます。この広い世界を隅々まで知りたくてたまりません。夜市も古道もベッタリ惚れ込んでしまい、これは他の作品も読まねばと気合いを入れました。