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2024年2月の読書メーターまとめ

Satsuki
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感想・レビュー
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ナイス
281ナイス

2024年2月に読んだ本
14

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Satsuki
著者は冒頭で「したたかな中国」イメージを否定する。対沖縄・宗教工作あたりは多少「したたか」かとも思ったが大体は粗雑で、著者の言葉を借りれば「農村土豪ムーブ」。国家レベルというより地方公安局レベルだったり、難民はじめ世間知らずの一般人にやらせたり。慣れない仕事に緊張している雰囲気の黒シャツ男襲来やセッちゃんの言動には笑ってもしまった。ただ、農村土豪だとしても勢いがあるのは確か。「カネと人海戦術という単純な武器だけで、無為無策のまま正面突撃を繰り返すような、粗雑で直線的な動き」という著者の表現がしっくり来た。
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2024年2月の感想・レビュー一覧
14

Satsuki
この戦争が欧州に与えた変化を論じる小論集。序で細谷は、冷戦終結時のユーフォリアという「光」の一方で既に現在に繋がる「影」が内包されていたと指摘。東野はEU拡大の再活性化を、鶴岡はNATOの「前方展開」への転換と対中抑止をそれぞれ指摘。難民受け入れは人道や倫理以前に本来は外交問題、という岡部の指摘は、冷徹なようだが現実的だ。他は、英仏独露宇と波・バルト三国という個別国についての各専門家による論。
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Satsuki
2020年初〜23年末の雑誌連載の書籍化。あまり本来の意味での地政学でもない気がする。今読むとコロナ禍もペロシ訪台も過去となり、一方でウクライナ戦争や米中対立、経済安全保障はすっかり常態化したのが分かる。「コロナ危機後の国際秩序崩壊」と題する章があるが、実はそれほど崩壊も変容もしていないのではないか。本書は基本的にはリアリズム視座だと思うが、中国に対しては声高ではない「静かな抑止力」、また同時に対話の必要性を各所で説く。国内的にもナショナリズムを上手に「抑え込む力」を岸田外交に期待する。
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Satsuki
90年代以降の仏を事例とする。移民問題が「安全保障化」=安全保障問題として扱われ、9.11後に加速。主に統治エリートの働きにより通常の政治的手続きの中でも安全保障化は進むと著者は指摘する。著者は、移民を脅威として排除するとして安全保障化には批判的。それは理解できる。ただ、本書にはポピュリズムというか民主主義というか、そういった視点が希薄にも思える。民主主義国家においては、統治エリートと言えど国民が支持しない政策は実施できないだろう。つまり、国民の多数が望んだ結果ではないかとも思えるのだ。
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Satsuki
社会事業、軍事援護という活動自体は基本的に内地の愛国婦人会と共通でも、朝鮮では植民地支配強化、日鮮融和という違う意味合いを持っていた。日本人家庭の需要に応える女中養成所。朝鮮が通り道だったシベリア出兵、更に三・一運動対処への支援は、朝鮮では内地より大きな位置づけだったろう。1935年末に朝鮮人会員数が内地人を上回り、その後も会員拡大に拍車。最末期の41年には朝鮮人32万人強に対し内地人14万人弱。著者はこれを38年の朝鮮人志願兵制度開始と関連づけると共に、日本女性との対等化を望む朝鮮女性の心情にも触れる。
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Satsuki
清末の雑誌連載の挿絵入り小話集。神々もきっちり官僚制だとか、狐や蛇はともかくただの板切れや爆竹も妖怪になるとか、本書著者の一言コメントで各妖怪の「ステージ」を論評するとか面白い。また、各小話で年代が明記されているもの以外でも、挿絵の人物は清朝の容姿なので、清末同時代の話であることが前提。読者はどれだけ本気にしていたのか、それとも娯楽目的で話半分だったのか。術者のインチキが見破られる話や、神・妖怪の実在はともかく迷信を信じる話なら同時代でもありそうだが。
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Satsuki
実務者出身、それも元高官が中心の小論集。そのため手前味噌にも見える主張も散見される一方、門外漢にも割と読みやすい。本書で言及される他国の政策は圧倒的に米国で、他は欧州総体と中国がわずか。むしろ欧州の個別国や豪、韓のような類似規模の国の方が参考になるのではないか。提言の中には、セキュリティー・クリアランスのように既に実現に動いているものがある一方、国策防衛会社や外国人研究者へのインテリジェンス機関の接触のように、現在は非現実的なものもある。ただ、現在は非現実的でも将来は前進するかもしれない。
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Satsuki
自分には未知か、名前しか知らなかった神が大半。逆にある程度馴染みのある神は、サブカルも含む日常の文化との接触で知ったのであり、古代の神話と言えど各文化圏で現代に溶け込んでいるのを改めて実感。日本の神はともかく、ギリシャの神を割とよく知っているのは、西洋文化で普遍的なためか。また、今の日本でゲーム好きなら北欧の神も分かるだろうか。また、明確なところではインドのヴァルナやヤマが水天や閻魔に転じる。他は著者の推測も混じるが、類似する神話もある。伝播によるのか、死や季節など共通の自然現象を表すのか、想像する。
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Satsuki
小論集。文化の中でも映像作品を中心に扱う。全般的な感想として、党派性の強い作品ほど問題の複雑さを捨象し、和解にはマイナスになりかねないのではないか。一定の問題提起や自陣営内部の啓蒙には有益かもしれないが。一方、和解という点からは、現代中国で「正しい歴史認識」という主旋律ではないドキュメンタリーや、欧州歴史認識に関する一定のユーモアの作用を本書では肯定的に示唆している。同時に、多くの観衆を想定した一般向け作品であるほど、メッセージ性を込めようとすれば何らかの反発も買うことも分かる。
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Satsuki
中国人など外国人も含め、民間から募集された軍属の宣撫官。個々の生涯やその「苦悩と葛藤」を描く。戦時中の報告や当事者の戦後の語りには宣伝や自己陶酔、また中国住民への上から目線も感じる。一方、その活動を完全には白黒つけられないとの著者の指摘も分かるし、民衆に近い分、軍とは異なる心情もあったろうとは想像できる。宣撫官の活動には、現在のPRTや、しばしば美談として語られる海外派遣時の自衛隊の現地活動との共通性も感じる。現地の子供に菓子を配る様はGHQそのものだ。ならば軍の海外活動の中では一般的なものなのだろう。
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Satsuki
旧版新書は既読なので、追加の補説を中心に読む。台湾総統選の意義を、内部的には「国民形成イベント」、国際環境の中では米中の狭間で「人民主権をパフォーマンスするイベント」と指摘。そして、七二年体制に矛盾するベクトルを育む一方で、現状維持を望む民意に沿い、で同体制に順応するベクトルもビルトインしていると指摘。既読部分でも新たな気づきがある。戴笠の顕彰碑も含め歴史の各時代を表す碑。台湾を「海のアジア」と「陸のアジア」の境界と見る視点。二・二八事件で犠牲となった外省人の存在や、学校教育を通じた本省人・外省人の同化。
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Satsuki
章ごとに内容があちこち飛ぶものの、題材が題材だけに柔らかく読める。著者の推定では、中国での出現は漢代、宋代には一般化日本には12世紀末に伝来、中世には食されるが、一般庶民まで広まるのは近世の江戸期。黄表紙はじめ庶民文化に現れる豆腐の記述は読んで楽しい。また、生呉豆腐をはじめ日本各地の特徴的な豆腐は知らないものが大半で、バリエーション豊富だ。近代では、戦時体制下で軍用機用ジュラルミン製造のあおりでニガリ入手が困難に。こんなところにも影響があったとは。琉球には中国から伝来するが、日本からの影響も。
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Satsuki
著者は冒頭で「したたかな中国」イメージを否定する。対沖縄・宗教工作あたりは多少「したたか」かとも思ったが大体は粗雑で、著者の言葉を借りれば「農村土豪ムーブ」。国家レベルというより地方公安局レベルだったり、難民はじめ世間知らずの一般人にやらせたり。慣れない仕事に緊張している雰囲気の黒シャツ男襲来やセッちゃんの言動には笑ってもしまった。ただ、農村土豪だとしても勢いがあるのは確か。「カネと人海戦術という単純な武器だけで、無為無策のまま正面突撃を繰り返すような、粗雑で直線的な動き」という著者の表現がしっくり来た。
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Satsuki
ベトナム戦争から冷戦集結まで。上巻の時期以上に「米ソ両陣営の対立」の枠に収まらない事象が目立つ。第三世界の中でも格差が生まれ、分裂が始まる。「新冷戦」は、著者は緊張と緊張緩和が混在していた時期だとする。そして終章で著者は、冷戦とは「米ソ超大国間のグローバルな対立構図をその中核的要素とする国際システム」だったと端的に述べ、イデオロギーが重要な役割を果たしたとする。ただ同時に、米ソ以外の様々な国家や政治勢力に各国社会の動き、米ソに加え欧州、東アジア、第三世界の政治力学や事態の展開の重要性も指摘する。
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Satsuki
冷戦の起こりとキューバ危機までの時期。大戦中の米英ソ協調をはじめ、冷戦は当初から所与の構造であったわけではないが、欧州でもアジアでも次第に形成される。ただその後は、両陣営の対立が前提でありつつ、その枠に収まらない要素も目につく。東欧諸国の揺らぎや西欧宗主国と米の立場の違い等、各陣営内の綻び。非同盟主義。米ソが介入した第三世界諸国も、単なる米ソの駒でもない。また、冷戦を作った要素もイデオロギーに加え地政学、また特にこの時期には脱植民地化の過程がある。英仏蘭が旧勢力圏の権益維持に汲々としていた様子が分かる。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/07/03(4408日経過)
記録初日
2007/11/22(6093日経過)
読んだ本
1716冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
498427ページ(1日平均81ページ)
感想・レビュー
1716件(投稿率100.0%)
本棚
10棚
自己紹介

東アジアの政治や歴史、国際関係の本が多いです。

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