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2024年10月の読書メーターまとめ

Satsuki
読んだ本
12
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感想・レビュー
12
ナイス
250ナイス

2024年10月に読んだ本
12

2024年10月のお気に入られ登録
3

  • 空也
  • 山口透析鉄
  • 横浜中華街2024

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Satsuki
現行の政治資金規制の仕組みとその抜け道、90年代政治改革。本書の三分の一が著者の市民活動とそのノウハウ説明なのは、やや読者を選ぶだろう。政治資金規制制度や抜け道は、日々の報道で断片的に接していたが理解が深まった。ただ本書からは、なぜ裏金含む多額の資金が政治活動に必要なのかや海外との比較といった点は本書からは分からず物足りなかった。本書の対象外ということだろうが。また著者は、90年代政治改革は金権政治を加速させたと全否定、政党交付金制度は違憲とする。しかし昭和期より汚職や選挙違反は減少しているのではないか。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
12

Satsuki
戦後政治史振り返りにはいい。幹事長は「総裁・首相に最も近いポスト」「四役の中で総裁に次ぐ強力な権限を持つポスト」とある。その権力は選挙公認等の人事権、カネ、国会対策、重要政策の与党内調整。「三角大福中」が全員幹事長を経験、逆に宮澤や小泉が幹事長を経験しない総裁、歴代最強の幹事長は田中角栄、といった指摘も。。著者は最後に、幹事長に限らず自民党は人材枯渇、小粒、国会議員の質の低下、と指摘。ただ、著者が肯定的に見る70年代までの政治家とはそもそも時代背景が異なるし、金権政治は現在よりはるかに激しかっただろうに。
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Satsuki
周囲の人々も幅広く扱い、通史としても読める。一個人の効果には留保をつけたくなってしまうが、それでもラジオ演説と41年米議会演説を中心に、米の支持を得るには宋美齢はかなりの役割を果たしたのだろう。宋美齢や中国政府は「外向きの宣伝」、日本政府は国内向け「内向きの宣伝」、と対照的な様子が本書で説明される。宋子文の米国での葬儀も、宋慶齢の大陸での葬儀も政治的に利用されるなど、宋家の存在の大きさが分かる。宋美齢個人はプライドが高く好き嫌いも激しそうな人だと思う。ただ、身近な親族に次々先立たれた晩年の内心を想像する。
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Satsuki
英語版原題の"Beyond Charismatic Politics"と合わせると本書の内容が一層よく分かる。演劇、銃床=パルチザンや金正淑=母の愛というアイコン化、革命烈士陵などの「劇場」により、個人のカリスマを永続化させたという指摘だ。本書出版後の金正恩時代はどうだろうか。著者は結論部で、先軍政治脱却の兆しに経済重視の萌芽を見て肯定的に捉える。しかしその後の現実は、せいぜい並進路線だ。演劇や映画はそれほど目立たないものの、「劇場」という構造自体はどうか。
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Satsuki
予想どおり面白い。中国の現代政治や社会、若者文化にすらもよく歴史や古典が出てくるとは思っていたが、中国では歴史と現代がこれ程密接なのだと実感。政治の正当化に歴史を利用したり自由な歴史研究を制限したり、は習近平時代は特にそうだろう。ただ漢詩好きな点などを見ると、政治とは別にしても、そもそも中国人にとり歴史が身近な存在なのだろうと思う。本書のトピックは、細部はともあれ概略は一般の日本人でもそれなりに馴染みがある。元寇の扱いや、隋唐拓跋国家論など、日本で一般的な内容が中国ではずいぶん異なる点もあるとしても。
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Satsuki
書名が指す最大の「決断」は、対米関係改善の放棄と思われる。同時に「並進路線」は現実化し経済状況はある程度安定、核武装は不可逆的。したがって2020年代の北朝鮮は大きく変わったとの前提で政策を考えるべき、というのが著者の主張。ただ著者は、北朝鮮の南伐は非現実だとも言い、韓国等の現在の対北抑止は過剰だとする。尹錫悦政権の政策は勿論だが、文在寅政権での国防費増額、戦時作戦統制権回収にも批判的だ。そして著者は抑止よりも対話、軍備競争の凍結と平和協定の交渉を唱える。ただその現実性には疑問を持たざるを得なかった。
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Satsuki
正体不明の著者は研究者や記者ではないらしい。面子重視や低い遵法意識や縁故主義といった国民性は他国でもあるかもしれない。一方でスカーフと信仰の関係、ここ10年ほどの「イスラム疲れ」やイスラムの相対化、ペルシア文化への憧れは、単純な不信仰ともやや異なり新鮮だ。イスラムは政教一致で生活全般を規定とよく聞くものの、酒や薬物の蔓延も含めこれほど建前と実際が異なるとは。また、政教一致では政治不信が宗教不信に繋がる、との指摘も面白い。著者の交友関係は都市部の若年層中心ではと思うも、そもそも農村部在住者は少数派とのこと。
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Satsuki
政治社会の記述もあるが、基本は緻密で実証的な経済史。対日開発、総合開発、軍事開発の三時期に区分する。台湾統治の高い開発志向性を認めつつも、内地及び内地人の利害の優先という植民地性も同時に指摘するのが著者の視点。また同時に、農民や商人、中小零細規模の工業生産から地元エリートに至るまで台湾人の主体性を強調。そして原料や資材の輸入や華僑ネットワークといった帝国外地域との経済関係も重視する。個別の政策や産業の分析は自分には消化不良だが、このような著者の視点は納得できた。
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Satsuki
現行の政治資金規制の仕組みとその抜け道、90年代政治改革。本書の三分の一が著者の市民活動とそのノウハウ説明なのは、やや読者を選ぶだろう。政治資金規制制度や抜け道は、日々の報道で断片的に接していたが理解が深まった。ただ本書からは、なぜ裏金含む多額の資金が政治活動に必要なのかや海外との比較といった点は本書からは分からず物足りなかった。本書の対象外ということだろうが。また著者は、90年代政治改革は金権政治を加速させたと全否定、政党交付金制度は違憲とする。しかし昭和期より汚職や選挙違反は減少しているのではないか。
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Satsuki
元々は藤原帰一退職記念論集だそうで、テーマが幅広いのも、基礎概念と言いつつ教科書的でないのも納得。一冊の中でつまみ食い的に読む。特に興味を持ったのは民主主義と権威主義をそれぞれ扱う二つの章で、両者の境界の曖昧さや境界自体をどう考えるかといった点を両面から見る。また国際秩序の章では、筆者は現在の二つの秩序観を紹介。価値観を強く推進する立憲主義的な秩序観と、異なる秩序観との共存による安定を重視するリアリズム的な秩序観だ。筆者自身は前者を上位に、後者を下位に置く重層的アプローチを示唆する。
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Satsuki
小論集。脱稿は2024年5月時点か。イスラエル・パレスチナ情勢自体を扱う第一部と、国際関係を扱う第二部からなる。イスラエル世論の態度硬化と、イスラエル市民を含むガザ外のパレスチナ人の状況。日々の情勢から一歩引いた分析が自分に知識がなかっただけに新鮮だった。また国際関係では、周縁化されかけていたパレスチナ問題が再び中心的な課題となった一方、トルコや湾岸諸国は温度差はあれど現実的な対応、との指摘が腑に落ちた。総じて本紛争に明確な見通しを示す論者はいない。そのこと自体が本紛争の難しさを示しているのだろう。
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Satsuki
地経学、エコノミック・ステイトクラフト、経済安全保障など一般的に話題になる事項を広く扱っており、深過ぎず読みやすい。終章の細谷との対談で鈴木が語る、中露は国際秩序を作り出す覇権を争っているわけではないとの指摘が興味深い。他方、入れたいことを詰め込んだものの内容が飛び、また著者が関わったイラン核制裁は特に大幅に紙幅を割くなど、構成がやや甘いかとも感じた。
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Satsuki
日本各地の14の戦争関連史跡や博物館の訪問記と解説。箱モノと冷めた目で見がちだが、戦争関連の著作が多い著者でも、かつて取り上げた人物が書いた手紙文に胸を打たれたり、ずいぶん調べたはずの焼夷弾の再現模型の重さに驚いたり。また原爆の図の米国での展示で、時間をかけて絵を見ていた退役軍人。戦争の惨禍は散々語り尽くされてきたと思っても、やはり博物館や史跡には価値があるのだろう。なお松代大本営跡は、自分も訪問時にまさに壮大な「無駄」とは感じた。ただ著者も指摘するように、昭和天皇がその言葉を口にするのはどうなのだろう。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/07/03(4526日経過)
記録初日
2007/11/22(6211日経過)
読んだ本
1778冊(1日平均0.29冊)
読んだページ
517061ページ(1日平均83ページ)
感想・レビュー
1778件(投稿率100.0%)
本棚
10棚
自己紹介

東アジアの政治や歴史、国際関係の本が多いです。

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