最終5章で、太平洋戦争が受け身の「被害者」意識で日本人に語られてしまう理由として①1944年から終戦までの1年半の間の戦死者が戦死者全体の9割を占め、死に場所すら伝えられず遺族に十分な弔いの機会が与えられなかったこと、②敗戦時の人口の8.7%が関東軍に見捨てられた満州からの引揚者であること、③食糧供給の軽視により前線兵士や一般国民が飢えに苦しんだことにより日本人の記憶が上書きされてしまったと著者は指摘している。その後の戦後史と絡めた戦争観の変遷については吉田裕『日本人の戦争観』(岩波文庫)が詳しい。
駅弁国立大文系院卒。専攻は社会学。今はただの給与生活者。地域政策/ナショナリズム/資本主義/公共性 に興味あり。趣味は城郭めぐりと乗り鉄、写真撮影。
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