性行為が動物的な交尾とみなされ、子づくりは科学的な人工授精による世界。恋愛と結婚は切り離され、夫婦感の性行為は近親相姦として嫌悪される一方、恋人を家庭の外でつくることは容認される。インパクトある世界観で驚かされる。その世界で、さらに先を行く『楽園（エデン）システム』は、かなり不気味に感じる。当初、そのシステムに違和感を感じていた主人公・雨音がすっかり染まっていく様も不気味。進化ではなく退化、ユートピアではなくディストピアだと思う。

松永久秀という人物のことは、あまりよく知らなかったが、なんとなく大悪人だという印象があった。この本を読んでその印象が大きく変わった。あまり知られていない松永久秀を主人公にしなから、エンターテイメント性の高いストーリーになっていて、楽しく読めた。九兵衛と日夏が最後に何処で出会うとは思って読み進めたが、こんな悲哀に満ちた形になるとは想像できなかった。

『能代工業、3年連続3冠』、この言葉を思うと今でも心が沸き立つ。華やかな表舞台だけでなく、その裏側や無冠に終わった翌年度の苦悶、その後の能代工業の衰退まで描かれて、とても興味深かった。当時のコーチの指導の仕方などは、全面的に肯定されるものではないが、マネージャーを重視するところなどが、プレイヤーや次の指導者を育て、今の日本のバスケットを支えている面はあると思った。

性行為が動物的な交尾とみなされ、子づくりは科学的な人工授精による世界。恋愛と結婚は切り離され、夫婦感の性行為は近親相姦として嫌悪される一方、恋人を家庭の外でつくることは容認される。インパクトある世界観で驚かされる。その世界で、さらに先を行く『楽園（エデン）システム』は、かなり不気味に感じる。当初、そのシステムに違和感を感じていた主人公・雨音がすっかり染まっていく様も不気味。進化ではなく退化、ユートピアではなくディストピアだと思う。

訳あり物件に住み込む主人公が、前の入居者の失踪、自殺などの謎を解明し、心理的瑕疵を抑制していく『賃貸ミステリ』が新しいジャンルで面白い。4つの短編は、主人公・藤崎の視点ではなく、前の入居者の関係者の視点で進む。『社会派』的要素もあり。藤崎の素性はわからないまま。次作以降で、徐々に明らかになることを期待。新刊では探せず中古本を購入。

姫川玲子シリーズ第8弾。相変わらず凄惨な暴力シーンに驚かされる。一方で、多視点で展開されるストーリーはテンポ良く読める。玲子さんも落ち着きが見られるようになったと思ったけど、最後の容疑者に対する怒りは激しい。悲しみも深い。玲子さんの未来は明るくあって欲しい。それにしても、ガンテツの捜査は謎すぎる。今後、伏線回収があるのかな。それから、『ジウ』シリーズが絡んできたけど、そちらまで手を伸ばすか非常に悩む。