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2024年4月の読書メーターまとめ

バーニング
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34
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感想・レビュー
30
ナイス
72ナイス

2024年4月に読んだ本
34

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

バーニング
ラストのために書かれた小説なんだろうなと思いつつ、一方でそうは思わせないほどの自然描写の濃密さが目立つ小説。ある事件が起きるまでの前半がやや長すぎるとか、他の人も指摘しているようにミステリーとしては穴がいくつもあるしいささか予定調和な裁判の展開ではあるが、そこを割り引いても現代アメリカ文学としての本書の価値が大きく下がるものではないと思させる一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
30

バーニング
2019年7月15日発行。水嶋晴菜の連作が好きで読んでいたら巻末のあとがきで短歌をいったん終わりにする、と書いてあって切なさも感じられた。学生短歌会はサークル活動であるからそういうものでもあるんだろうな、と言う気持ちと、学生時代の瞬間瞬間が短歌という短い形式に収まっているとも言えるのかな、と考えた。そう思いながら読むと学生時代を題にした大壺こみちの連作も味わいが深い。 あのときはごめんと言われ思い出す好意が消えてゆく失墜を 抱き合えば鎖骨があたる幸せもすべてを受けとめるとき痛い (水嶋晴菜)
バーニング
2024/04/30 22:35

体臭を知り得ないこと狭義では詩を書いては破るということ(大壺こみち)

バーニング
2017年6月10日発行。設立5周年となるタイミングで同年3月に東京で開催された第3回学生短歌バトルでおかたんは優勝しており、その時に提出された歌や出場者のコメントなども併せて掲載されている。その意味でも記念碑的な一冊となっている。
バーニング
つまずきがどのように発生するか、そしてそのパターンはどのようなものかについて心理学の知見や先行研究を参照しつつ、平易に整理されているのが良い。そしてつまずいたとしても何も人生の終わりではないこと、バウンスバックの方法もあることも提示されているのが良心的だ。
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バーニング
「消えた天才」たち6人がある館に集まり、AIと対話をするこの小説が伝えたかったのは、「輝かしい10代(あるいは青春時代)」という幻想を破壊することかもしれない。それも、AIレミントンという外側からの圧力を使う一方で、参加者同士のコミュニケーションの中から生まれる感情も重視している。こうすべきだ、あるいはこうしたほうが良いという外発的動機と、こうしたい、こうしてもいいのではないかという内発的動機のいずれをも尊重しようとする。その上で、最後に決めるのは自分だという覚悟も求めている。
バーニング
2024/04/27 01:25

でも、自分一人で決めるのと、周囲とのコミュニケーションを通じて自己決定するのとは違う。文庫版解説の桜庭一樹は斜線堂のキャラクター描写について「誠実に注意深く」(p.364)と評しているが、未成熟な自覚がありながらも変化しようとすること、同時に他者とのコミュニケーションの中でちゃんと悩むということ、そうしたキャラクターの心の動きを丁寧に書く作家だなというのは改めて実感することができた。

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バーニング
離婚して会わなくなった父と十数年ぶりに再会する、というシンプルな短編小説。そこまで凝った内容ではないが長編小説の冒頭のような、今後の予感が漂ったまま終わるのがちょっとさみしくもあり、その予感の心地良さも同時に感じられる小説だったと思う。
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バーニング
朝永ミルチ名義の頃から名前は存じていたが本を読むのは今回が初めて。タイトルは自己啓発っぽいけどプラグマティズムを専門とする著者らしく、アンチ自己啓発の態度が一貫しているのも気持ちいい(とは言え適宜自己啓発本を応用しているのも上手い)。漫画や小説、アニメなど様々なコンテンツやビジネス、エッセイ、哲学、批評なそ様々なジャンルの本を縦横無尽に探索しながら「衝動」とは何か、そしていかにして「衝動」を自分の人生で発見し、接続するかを考察。後半にかけてじわじわドライブしてゆく文章も非常にエキサイティングで楽しかった。
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バーニング
2019年8月11日発行(コミックマーケット96)。『悪友』シリーズ6冊目で、現行では最後の発行になっている一冊。
バーニング
少し前にライターの青柳美帆子がTwitterで薦めており、それが理由かどうかはわからないがAmazonでも品切していた程度には需要のある一冊なのだろうなと思った。本書の主なターゲットは30代~40代の共働きカップルだと思うが、いくつかアメリカナイズされている話(たとえば人生で転職する回数がアメリカ基準で書かれている箇所があった)もあるが、そういった要素を除く部分、とりわけカップルの間でどのようなコミュニケーションが必要か、重要な転換期はいつ訪れるのか、といった風に一般化できる話題も多い。
バーニング
2024/04/25 10:30

一般書であるため詳しい学術的な調査手法は省かれているが、各国のカップルにインタビューを重ねた上でグラウンデッド・セオリーによる分析を行い、「うまくいくカップル」の共通点を探索している。各国のカップルのコミュニケーションを通じた研究なので、国によるバイアスはいったん除去されているのも良い。いずれにせよ著者が探し出したロールモデル及びコミュニケーションモデルは、話し合いを重視するカップルには強く響くだろうし、話し合いが苦手なカップルには関係性の再構築を促せるかもしれない。

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バーニング
2017年10月発行。面白い話はいくつもあるし、障害者福祉のように制度による均一化が奪った営みの重要性を強調することも理解はできるが、他方で制度や行政に対する反発ゆえの反医療主義(特に子どもに湧くワクチン接種をしてないこと)には共感できない。自分の身体ならば自由だが、子どものワクチン接種を拒否することは結果的に子どもの身体を傷つける行為になりうるし、子どもの成長や人生に悪影響を及ぼす可能性があることの認識が必要ではないか。
バーニング
2022年11月20日発行(文学フリマ東京35)。「女と女」のタイトルで2回続いてきたアンソロジーの新刊で、「女と母」を題材にしている。実在の母である場合もあれば、祖母(母の母)や概念としての母などもあるようだが、多くのエッセイは実在の母との記憶について語ったものが多い。 「私の話を聞いてくれたあなたへ」という題の宗岡未樹、「慧牢と名付けられたあなたへ」という題のHelenのエッセイ(原文は英語)が個人的には面白かった。Helen含め編者ひらりさのイギリス留学時代の人脈があるのも本書の醍醐味だろう。
女と母
バーニング
2017年12月29日発行。さまざまな一人遊びを経験的に紹介した上で同人イベント出展で締めるというオチ。カラオケやマッサージや工場見学など脈絡なく一人遊び体験記が続いていくが、個人的には公営ギャンブルと裁判傍聴のパートが面白かった。
バーニング
2022年9月26日発行(文学フリマ大阪10)。
バーニング
Chapters2024年3月配本。起業家である著者による自伝的小説、といったところ。資金調達の難しさは以前ガイアの夜明けで密着されていたがその時のリアリティが小説にもふんだんに応用されている。ウェブで読んだインタビューによると小学館からオファーがあり、エッセイではなくて小説と言うところの興味を持って執筆したらしい。少し前にはリアル店舗もオープンしている著者だが合間に小説も書いていたとは、本書の主人公加藤スミレばりにバイタリティあふれる人だなと改めて思った。
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バーニング
2021年1月17日発行。後半の3つの企画がいずれも面白く、会員同士の人間関係が垣間見える歌の読み合いは大学サークルっぽさがにじみ出ていてとても良いなと思った。
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バーニング
2023年5月21日発行。創刊号から前作まではかなり間があったが、2号と3号の間は半年程度であり(そして現在では4号も刊行されている)、会の活動が勢力的になっていることがわかる。今回も鈴木晴香と野口あや子を面白く読み、さらに詩人の文月悠光と植物園勤務の宮内元子もよかった。 海の絵を見たあとで海を見ることは裏切りといえば裏切りだった(鈴木晴香) 短歌イズショート、バットロングと答える春の英会話教室(文月悠光) 亡き人を想えば何処かで花降るならば その花に花は降るのか(宮内元子)
バーニング
2018年11月25日発行。2018年の各賞受賞作に対して著者二人がそれぞれ批評を寄せるコンテンツがメイン。その後には岩倉の小説と熱海の批評がそれぞれ1本収録されている。私自身が2018年に参加していた読書会の主宰と参加者による共作ということで個人的には面白く読んだが他の人がどう思うかはわからない。読書会とも関連させるところだと高橋弘希の『送り火』評を特に面白く読んだ。
バーニング
2022年11月20日発行。 前回から約5年開いたが新型コロナによってリアルイベントが難しくなったことも2号の刊行と関係がある様子。内容はシンプルに短歌連作のみで、その中でも鈴木晴香が素晴らしい。他だと野口あや子、初谷むいが良かった。この二人の言葉のセンスはさすが。 灰皿に線香花火を捨ててゆく正しくないような気がしつつ(鈴木晴香) She needs a man 世界中で繰り返されるあなたの不可思議な思い込み(野口あや子) カーテンの穴から光の欠片 どこにでも行けると言ったのは嘘だった けど(初谷むい)
バーニング
アメリカの野球記者3人が大谷を「どう見てきたか」を鼎談形式で語り合った一冊。前回単著を出した志村は今回司会役に回っているため、ジ・アスレチックのサム・ブラムとLAタイムズのディラン・ヘルナンデスの2人の記者の語りがメイン。2021年以降の大谷の活躍を見ていると社会現象になるのは当然だしもっと評価されるべきと語る一方で、アメリカにおけるMLBの地位(あくまで地域スポーツにとどまっている)や日本における報道の違和感(大谷を褒め称えることが目的化している)については記者らしい目線だなと思いながら面白く読んだ。
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バーニング
2017年8月31日発行。 北村早紀、牛尾今日子、田島千捺、松尾唯花、永田紅の連作を特に面白く読んだ。後半は京大短歌の歴史を振り返る評論(著者は牛尾今日子)あり、OBOG交えての30周年歌会の記録が収録されていたりと、メモリアルな一冊となっている。 ちょうど帰りでバレエの子たちが降りてくる階段はすぐ走り去られて(田島千捺) 青春の残像ばかり棲む街でここから先も本気の暮らし(北村早紀) 女子校のチャイムは長く伸びてゆく 遠く花野を吹き抜ける風(松尾唯花)
バーニング
最相葉月によるウェブでの無料公開分を読了。能登も神戸のように年明け1月の被災だったが、春になって良くなっている部分とそうでない部分がきっとあるのだろうと思いつつ、ここ最近はめっきり報道が減ってしまったがすぐに忘れてしまわないように努力したい。
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バーニング
NHKの「未解決事件」を補完するために読んだ一冊。取材にあたる人々の証言の事実妥当性は完全に証明されないだろうが、「亜細亜産業」を軸として取材を進める流れとそこから生まれる仮説や推論は面白い。
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バーニング
大きな人口動態の変化が予想される21世紀においていかにして福祉国家を経済学的に擁護するかをまとめた一冊。原著が大著のため、コストの関係で抄訳になっているのはやや残念だが、民間保険に対する社会保険の優位性や、公的年金において賦課方式と積立方式のいずれかが良いとは限らない(どちらも利点と弱点がある)という話、制度変更には政治家の統治能力が重要、という話などは2024年の現在においても十分通用するし、社会保障制度改革に興味のある人は本書の議論をまず下敷きにしても良いくらいだろう。
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バーニング
近代文学として、そして世界文学として漱石を読み直すという一冊。漱石がそれぞれの小説を通じて人間の「何を、どのように」書こうとしたのかをじっくり掘り下げるので大学の講義を受けているような知的な面白さもあった。
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バーニング
ラストのために書かれた小説なんだろうなと思いつつ、一方でそうは思わせないほどの自然描写の濃密さが目立つ小説。ある事件が起きるまでの前半がやや長すぎるとか、他の人も指摘しているようにミステリーとしては穴がいくつもあるしいささか予定調和な裁判の展開ではあるが、そこを割り引いても現代アメリカ文学としての本書の価値が大きく下がるものではないと思させる一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。
バーニング
2023年4月1日発行。気づけば新型コロナ初期の2020年以外は毎年4月に発行を続けているんだなと思いながら読んだ。例によってエッセイと小説のごった煮本。
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バーニング
2017年11月23日発行。2023年の第4版を購入して読んだのだが、2017年はまだ初谷むいの第一歌集が出てなかったのか!とプロフィール欄を見て思う。その初谷むいと、野口あやこ、浅葉爽香の連作が良かった。
バーニング
2021年5月1日発行。2019年12月に発表された『女と女』の第2弾。ひらりさによるあとがきに詳しいが、前作のねらいと評価を踏まえた上で2作目となる本書が作られたようだ。なんとなくだがそれぞれの著者が対象とする「女」の射程が広くとられている印象はある。そういった意味では元恋人の母親とのエピソードをつづった高帆「別れられなかったあなたへ」が白眉と言える。短い文章の中には従来型の生き方を選択せざるをえなかった女たちの悲しい(しかしそれでも生きた)歴史が積み重なっており、フェミニズム的な視座も持っている。
女と女2
バーニング
2021年5月30日発行。たった3年前の記述なのに、世界が今とは全く違うのだなという感慨にさせられる。そしてミツという年若いパートナー氏の、つかみどころのなさが憎い。
バーニング
「書かれたなかった経験=”秘密”が、書き手と読み手の双方に自由をもたらすという。その自由は”わからなさ”という感覚として捉えられることがある」(p.48)という瀬尾夏美の解釈がとてもいいなと思った。 本書では多くの人から公募して手記を集めているが、全員が全員3月11日の14時46分から書き始めてないのも面白くて、日記やエッセイのような私的な文章というのは常に書く自由と書かない自由があるのだろうと思うし、そこが読む面白さだよなと思う。収録手記の中で一番好きなのは西條成美の「スタート」。
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バーニング
ヨンジュというアラフォー女性が主人公で、彼女が開いた「ヒュナム洞書店」が舞台になっている。彼女がなぜどのような経緯で独立系書店を立ち上げて営むようになったかは最初のうちは明かされず、常連のお客さんや店員、関係者(例えば店内で出すコーヒー豆の焙煎を依頼している女性など)が登場し、彼ら彼女らとの会話を読者が覗き見するような構成になっている。日本でもここしばらくの間独立系書店は一つのトレンドになっているが韓国でも同様の動きがあるようで、本書を読んでこういう本屋があってほしいという本国の読者も一定数いたようだ。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/09/12(5595日経過)
記録初日
2007/11/25(6252日経過)
読んだ本
3179冊(1日平均0.51冊)
読んだページ
913850ページ(1日平均146ページ)
感想・レビュー
1485件(投稿率46.7%)
本棚
167棚
性別
職業
大学生
現住所
東京都
外部サイト
URL/ブログ
https://dailyfeeling2003.blogspot.com/2019/06/index.html
自己紹介

現在は東京での大学生活を終えて高松でおしごと中。最近ガイブンとSFが熱いです。

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