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2024年3月の読書メーターまとめ

バーニング
読んだ本
28
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感想・レビュー
25
ナイス
82ナイス

2024年3月に読んだ本
28

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

バーニング
河出文庫から出ている百合小説コレクションの冒頭を飾った作家が斜線堂でそこで初めて彼女の小説を読んだが、本一冊を読むのは本書が初めて。本書に百合の要素はなくてわりとオーソドックスな本格ミステリーであり、しかしそこに「天使」という異形であり人外のアイコンを用意することで物語が駆動する。非常に力のある作家だということはこれを読めばよくわかる。純粋に面白く、もっと多くのものを読んでみたいと思わせる一冊だ。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
25

バーニング
2023年1月15日発行。日記とエッセイの中間のような一冊。構成は短いがキックボクシング、おせち、山本文緒の死と言った形でバリエーションに富んでいて、それぞれに現在の著者の関心がありありと現れていて読み応えがある。最後の一本は友人の子どもの話というこれまでとは少し変わったタイプのトピックになっているのもアクセントになっていて良かった。
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バーニング
2021年5月16日発行。 小説2本はいずれもこれまでの本にはなかった雰囲気で新鮮だった。長い文章の合間に挟まれているコラムが雑誌ぽくて好き。 一ノ瀬の婚活カレンダー、連載をずっと追っていたのでこういう形で終わるんだという意外性とともに最後まで読めたのは一読者として嬉しかった。婚活が一区切りしてもきっと著者の人生は続いていくだろうなという予感も良かった。
バーニング
2023年9月10日発行。 以下に引用するpp.15-16の「自己肯定感ブーム」批判が面白かった。著者が自己肯定感ブームに対しての批判違和感を通じて見えたものが本書の核心なのではないかと思う。 「自分を愛することができ、自己肯定感が高まるのはその結果にすぎないのではなかろうか。自己肯定感はたまたま得られる結果のようなものであって、別にそれが高かろうが低かろうが、まずは自分はこうと受け入れられていたらそれでいいのではないだろうか」(p.15)
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バーニング
2022年11月30日刊行。やや雑ながら要約すると「自分の納得する形で、変に背伸びや強がりをせず書く職業を続けるにはどのようにすればいいか」についてのノートだと思った。商業出版の世界を離れて10年フリーランスでライターや編集を経験してきた著者の中にある葛藤を一つずつ丁寧に言語化し、それらをすべて解決しようとせずまずは「言語化されたものを受け止めること」に注力しているのも印象的だった。またp.53に小松原織香への言及もあるが、本書で行っている著者の作業はセルフナラティブセラピーとも言えるのかもしれない。
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バーニング
2020年5月4日発行。やや読みづらい文章だが本書の「続いていく人生を取り戻すために、私たちが正しい努力をする」(p.5)べきという主張は理解できる。現代のアイドルはただでさえ感情労働的だが、こちらも感情をすべて投げ出すのではなく、アイドルの人生と自分の人生は別ものだと認識した上でアイドルを応援することはできるはずだし、すべきだと主張を著者はしている。「あまりにも個人的で、熱を帯び過ぎている。つまり、尊すぎる」(p.23)ファンは実際に多いしそれも含めてファン活動だが、その副作用も当然あるよねという話だ。
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バーニング
2020年5月6日発行。 同日開催予定だった文学フリマ東京が新型コロナによる緊急事態宣言の影響で中止になったものの、刊行には至ったという一冊。 もうすぐ4年前なのでそういう時期かと思いつつ、収録されている旅行が3月末の行程なので緊急事態宣言の発令にギリギリ間に合ったタイミングでもあったんだなと今振り返って思う。当時の生々しさが紙でちゃんと残っている(ゆえにこれ以上編集はされないし、捨てない限り内容が消えることはない)のも貴重かもしれない
バーニング
2019年11月24日刊行(文学フリマ東京29)。「L'azur」という店名の美容室を舞台にした二人の小説競作が特に面白かった。
バーニング
2019年5月6日発行(文学フリマ東京28)。最後に収録されている早乙女ぐりこ「花占い」が良い。世代を超えて響く百合って感じで、ひとひらの花を通してもう会えない人のことを思う感情が丁寧に書かれている。
バーニング
2023年11月11日刊行(文学フリマ東京35)。6月25日に静岡で行われた日本選手権の観戦レポートを職業ライターや編集の経験もあるhinakamo?が文章を担当、本書を発行しているヘラジカ書房主宰のLotta@herajica_が写真(+少量のフォトエッセイ)を担当している一冊。写真の迫力はさることながらhinakamo?の観戦記もただのレポートにならず同人誌にふさわしい私的な文章(エッセイ)になっているのもポイントで、そこが本書の成功している要素だと感じた。
バーニング
2024/03/26 03:43

hinakamo?の文章の中で私的さが出ていて秀逸だなと思った箇所を引用しておく。「プロという道とは別に彼らもまた、限られた環境で可能な限り自らを鍛え自転車競技に挑む人々。まあカッコよく書いたけど単なる自転車莫迦の集まりなのかも知れない。でも私はそういう人たちが好きだ」(p.38)。この文章があるからこそこの本も成り立っているんだろうと感じる。

バーニング
2018年11月25日発行(文フリ東京27)。 早乙女ぐりこと一ノ瀬迷子のユニット的サークル「ChambreBlanche」のおそらく第1弾の本。エッセイ2本と小説2本が入っており、小説2本はいずれも不倫をテーマにしながら対になっている構成。いずれの小説の主人公も30歳だが片方は不倫を「しない」、もう片方は不倫「しかしない」というタイプで、短いながらも現代の30歳女性をビビッドに表現しているのは好きだった。内容的には一ノ瀬の短編(不倫しない方)の後半の展開が良かったし、期待の裏返しが小説的だと思った。
バーニング
2016年12月31日発行。 「最終話」という設定の短編から始まり、そのすぐあとに表紙にもなっている速水奏が主人公の小説が始まる、というユニークな構成。現段階では新刊の販売が終了しているのでこのシリーズの続きを入手するのは難しいが、どこかで機会があれば続きを読んでみたいと思わせるほど世界観の作り込みと、ハードボイルドな設定がとても気に入っている。
Ordinary346 (1)
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バーニング
ノージックの「最小国家」のアイデアとロールズの政治的リベラリズムを援用しつつ、「最小の結婚」という新しい制度を打ち出す思想を展開する一冊。本書の思想の背景として、異性愛であれ同性愛であれ、「なぜ献身や性行為を結婚の前提にしなければならないのか?」という批判が根底にある(pp.166-175.)。その上で、異性愛や同性愛カップルに限らず、また性的な関係やの有無や献身の程度にかかわらず、多くのカップリングやケアネットワークを包摂するための理論として「最小の結婚」が期待されているとブレイクは主張している。
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バーニング
シーズン開幕に合わせたタイミングの刊行なので相当準備したのだろうと思ったら版元のオファーから約半年での刊行にこぎつけており、オフシーズンを挟んだとは言えその仕事の早さにまず。驚く。日本ハム時代から10年に渡って大谷翔平を取材してきた記者独特の間合いや観察眼が散りばめられており、最近になって大谷ファンになった人には未知の情報が多くて楽しい一冊になっていると思うし、既知のファンは昔のことを懐かしく思い返せる一冊でもあると思う。
バーニング
河出文庫から出ている百合小説コレクションの冒頭を飾った作家が斜線堂でそこで初めて彼女の小説を読んだが、本一冊を読むのは本書が初めて。本書に百合の要素はなくてわりとオーソドックスな本格ミステリーであり、しかしそこに「天使」という異形であり人外のアイコンを用意することで物語が駆動する。非常に力のある作家だということはこれを読めばよくわかる。純粋に面白く、もっと多くのものを読んでみたいと思わせる一冊だ。
が「ナイス!」と言っています。
バーニング
Chapters書店2024年2月配本。A〜Dまでは柚木麻子だなと思って読んでいたが最後のEだけは朝井リョウが乗り移ってるような展開でしたね。最後にどんでん返しを含む「対決」を用意するのは朝井リョウお得意の展開だ。
酔拳2
2024/04/12 22:14

そうなんだー

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バーニング
3月20日なので読んだ。来年でもう30年か、となると知らない世代もどんどん増えていきますよね、と思いながら読んだ。ちなみに本書で重要な役割と果たす石松伸一医師は現院長だということをさっき検索して知った。死者数は抑えられたがサリン被害者の数は数千人規模、後遺症が残るある人も多いだろうことを考えると石松医師は聖路加での職務を今も背負い続けているんでしょうね。
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バーニング
教科書に出るのは本当に冒頭で、全体はそれなりのボリュームがあるが文章のテンポが良くて一日足らずのうちに読み終わった。宮さまこと定子中宮が本当に生き生きと書かれており、定子が清少納言に「私のこと、好き?」って聞く場面なんか完全に百合じゃんよしかも相思相愛タイプのやつ!!!と思いました。直筆は残ってないけど1000年近く日本人が書き写して読んできた理由がよくわかる。あと本書自体が政治的な理由で書かれたのではとする解説も面白い。源氏も政治的な理由があって書かれたわけだし、政治と文学の結託があった時代の象徴。
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バーニング
主人公のアンと海軍軍人のウェントワース大佐が最終的にはくっつく、というオチはあらすじからわかっているが、そこに至るまでのプロセスが長い長い。ただこの長さと遠回りこそがオースティンの醍醐味だよなあということ、なぜこれだけの遠回りが必要だったのか、が最後に二人の口から明かされるのはミステリーの謎解きを聴いているようでもある。その意味では、入り組んだ人間関係と人間の心理こそがミステリー、という現代小説の王道を行くようでもある小説だと思った。これまでの長編に比べると派手さや華やかさは薄いけども、読む価値はある。
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バーニング
この前読んだ『源氏物語の時代 一条天皇と后たち』では道長も登場人物のワンオブゼムに過ぎなかったが、道長視点でこの時代(一条の時代もその後も含め)を振り返るとどうなるか? というのが本書の狙いになっている。2007年の本と当然重複する箇所が多いものの、より道長視点で読むことができるので道長が定子や彰子の二人の中宮をどのように扱っていたか、紫式部との恋のアバンチュールはどこまでが史実でどこまでが作られた噂なのか、そして病死するまでの晩年の道長はどのような人生だったのか。改めて意欲的な一冊である。
バーニング
2024/03/12 12:31

先行研究を踏まえた上で「我が世の望月」の和歌の解釈も行っており、道長の性格や和歌の特性をふまえると著者の解釈はなるほど、と唸ることができた。もちろん一案であり、絶対の解釈ではないと思いつつ。

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バーニング
最近円地文子の『源氏物語私見』を再読したが、本書味方毬矢・森山姉妹による非常に情熱的な「源氏物語私見」だと言ってよい。もっと厳密に言うならば「ウェイリー訳源氏物語私見」と言ったところか。訳出を終えてのあとがきのように始まったエッセイが古今の多くの小説や研究を登場させながら本書は進んでゆく。まさに本書の構成こそらせん構造を持った魅力的な構成。またレディ・ムラサキが1000年後に蘇って世界中の翻訳や文学関係者一同を集めたお茶会を開いているかのように、当然読者もそこに招かれているかのように読める本でもあるのだ。
バーニング
2024/03/11 18:17

物語って小説って本当に面白いよなあ、ということと1000年前の古語と出会った100年前の英語話者を通して現代日本語を操る姉妹が語り下ろすという構図を見ていると、人間の自然言語っていうものも本当にすごい。言語が時代を超えていく力を持つからこそ、物語がこうやって継承されていくんだ、と思うのである。

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バーニング
前半はやや流して後半を中心に読んだが、他の人が書いているようにこのレベルの議論を新書でやるむずかしさがありますね。ミルは功利主義じゃなかった? という議論や終盤にはシンガーの「効果的利他主義(EA)」の話題もあるなど、短い中でもできることをやった本ではあると思うけど哲学や倫理学の初学者には相当こたえる一冊だったと思います。
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バーニング
堂島米市場の話は以前別の新書で読んだがそれ以上は知らない話ばかりでへー、へーと唸りながら読んだ一冊。最後に著者が書いているが、この時代を生きた人々の「合理性」をさまざまな資料に潜って解き明かそうとする試みは歴史研究というよりも社会学的な印象も持った。第3章はほぼ遊女通いの話になっているが、公認と非公認の「遊び場」の話や別に遊んでもいいけど変な遊びをするなという話はまだわかるけどそのための費用が「遊興補助」として出費されていたというのはなかなかユニークですね。そうやって成り立つものがあったという事。
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バーニング
著者のこれまでの主張を凝縮した一冊。面白い知見は第三章で紹介される自治体間の格差で、東北や北海道から人口が流出し続ける一方で西日本は九州や沖縄などで違った傾向があり、愛知県など製造業に支えられた人口動態はまだまだ根強い。他方で第3次産業が主流になっている現在に製造業回帰は現実的ではなく、賃金は高くないが共働き社会を構築できれば子どもを産み育てる未来は想像出来そう。そのためには仕事と住居が鍵であるが、メディアの注目する子育て支援は出生率や財源などに偏っていることも痛烈に批判しているのが良かった。
が「ナイス!」と言っています。
バーニング
大河ドラマの予習としていくつか関連本を読んできたが、さすがサントリー学芸賞受賞作品ですね。読みやすいしめちゃくちゃ面白いし、ドラマでも記録魔として活躍している藤原実資が本当に日記をいっぱい遺してくれているおかげで当時の出来事や会話がリアリティを保ったものとして読めるのは本当に素晴らしい。
が「ナイス!」と言っています。
バーニング
前作が日本時代から最初のMVPを獲得する2021年までを追ったもので、本書はその後の2年というわずかな時期を書いたものという点では良くも悪くもコンパクトに収まった一冊と言える。ただドジャースに入団し、先日は結婚も発表して野球選手としても一人の人間としても大きな分岐点に立つ30歳のシーズン直前に出版したのは見事だろう。著者と大谷は付き合いの長い番記者だけにまさかこのタイミングを狙って結婚発表をしたのか?(まあ多分それはないだろうが)と思うくらいだし、このボリュームなら誰にとっても読みやすいと言えるだろう。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/09/12(5340日経過)
記録初日
2007/11/25(5997日経過)
読んだ本
2945冊(1日平均0.49冊)
読んだページ
856579ページ(1日平均142ページ)
感想・レビュー
1338件(投稿率45.4%)
本棚
157棚
性別
職業
大学生
現住所
東京都
外部サイト
URL/ブログ
https://dailyfeeling2003.blogspot.com/2019/06/index.html
自己紹介

現在は東京での大学生活を終えて高松でおしごと中。最近ガイブンとSFが熱いです。

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