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2024年10月の読書メーターまとめ

内島菫
読んだ本
3
読んだページ
646ページ
感想・レビュー
3
ナイス
103ナイス

2024年10月に読んだ本
3

2024年10月のお気に入り登録
1

  • maneries

2024年10月のお気に入られ登録
1

  • tyum

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

内島菫
初期作品14篇が収められた短篇集。「ピカデリー」の冒頭、何者かわからない女の身なりや仕草の描写が印象的。彼女、メイジーの話は、1話おいて「メイジー」という短篇でも再度語られる。スノッブで現金なホラウェイ牧師とその取り巻きのような上流階級の女性たちとの間には、互いに酔うことのできるお約束のお気に入りのノリがあって、それらが著者の筆にかかるとなんとも滑稽に見えて面白い。彼の話も6話おいて再び別の短篇で語られる。他、舞台や登場人物は変われど、14篇すべてがどこかで繋がっているようにも思える。
内島菫
2024/10/07 13:00

これらはみな刹那性とブレのなさとのせめぎ合いのドラマではないだろうか。人は出会い、様々な形で交流するもいつかはそこを通り過ぎてゆく。変化は時にあっという間に時にじわじわとだが、そうした変化の繰り返しという点ではみなブレていない。本書は初期短篇集ということで、解説には「若書き」という言葉が見られるが、私は詳しくないので具体的にどこの文章が「若書き」に当たるのかはわからない。栴檀は双葉より芳しという言い回しを引いているから、やはり「若書き」の評価は後の「円熟期」よりも低いことが見て取れる。

内島菫
2024/10/07 13:02

が、具体例を上げてその理由を説明してくれることは本書以外でもあまりないように感じる。説明するまでもないということなのかもしれないが、習慣的に若書き🟰劣る作品、低い評価としているのかとも思えてしまう。「若書き」もまた「B級」と同様、まじめに捉え直されていい概念だと思う。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
3

内島菫
キャラクターがほとんど表情を変えず動きも少ないので、味わい深く穏やかな世界に感じる。嫌なことや落ち込むことも人それぞれにポイントがズレていて、そのズレに焦点が当てられているので、常にじわじわとくるユーモアに包まれている世界。女子高生たちの響くポイントが大人たちとはズレているところもちゃんと描き分けられていてすごい。
が「ナイス!」と言っています。
内島菫
「取るに足らぬものなどなに一つない、と思う心が詩」という著者の言葉に、私は「必ず取り上げなければならない(と決められた)ものなどなに一つない」と思う心も付け加えよう。そして、これらもまた著者の言うように行ったり来たりするような両極ではなく、重ねられた心だ。著者が述べる、詩や真心や真実があるという「間(あわい)」はこの重なりにあるのだろうと私は考える。さらには、本来言葉自体が「間(あわい)」の上に成り立っている。「間(あわい)」の縁を一時的に切り取るように世界をぐるぐる廻り、それ自身の世界をつくるのが
内島菫
2024/10/09 21:27

を思い出す。夢と人間がおなじ材料なら、夢と記憶もまたおなじ材料だろう。ある人物からシェイクスピアの記憶を譲り受けた男(シェイクスピアの研究者)は、予測に反して視覚的イメージではなく、聴覚的なイメージ、つまり、音によって受け継いだ記憶と出会う。はじめは幸福感を得られたシェイクスピアの記憶も次第に地獄と化する。「ものはみなそれ自身であり続けたいと希求する、スピノザはそう書いている」「我にすぎないものこそが、我が身を生かしていくのだ」とボルヘスは書く。

内島菫
2024/10/09 21:27

そして、著者が自分自身であろうとした『詩と散策』の最終章の後には、ボルヘスの言葉が置かれている。

が「ナイス!」と言っています。
内島菫
初期作品14篇が収められた短篇集。「ピカデリー」の冒頭、何者かわからない女の身なりや仕草の描写が印象的。彼女、メイジーの話は、1話おいて「メイジー」という短篇でも再度語られる。スノッブで現金なホラウェイ牧師とその取り巻きのような上流階級の女性たちとの間には、互いに酔うことのできるお約束のお気に入りのノリがあって、それらが著者の筆にかかるとなんとも滑稽に見えて面白い。彼の話も6話おいて再び別の短篇で語られる。他、舞台や登場人物は変われど、14篇すべてがどこかで繋がっているようにも思える。
内島菫
2024/10/07 13:00

これらはみな刹那性とブレのなさとのせめぎ合いのドラマではないだろうか。人は出会い、様々な形で交流するもいつかはそこを通り過ぎてゆく。変化は時にあっという間に時にじわじわとだが、そうした変化の繰り返しという点ではみなブレていない。本書は初期短篇集ということで、解説には「若書き」という言葉が見られるが、私は詳しくないので具体的にどこの文章が「若書き」に当たるのかはわからない。栴檀は双葉より芳しという言い回しを引いているから、やはり「若書き」の評価は後の「円熟期」よりも低いことが見て取れる。

内島菫
2024/10/07 13:02

が、具体例を上げてその理由を説明してくれることは本書以外でもあまりないように感じる。説明するまでもないということなのかもしれないが、習慣的に若書き🟰劣る作品、低い評価としているのかとも思えてしまう。「若書き」もまた「B級」と同様、まじめに捉え直されていい概念だと思う。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/05/01(4224日経過)
記録初日
2013/05/06(4219日経過)
読んだ本
979冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
247090ページ(1日平均58ページ)
感想・レビュー
817件(投稿率83.5%)
本棚
31棚
性別
現住所
東京都
外部サイト
自己紹介

趣味で評論や小説を書いたり別名で漫画を描いたりしています。
http://kounotori0.blog.shinobi.jp/
http://countdown00.hatenablog.com/ 

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