いろんな作品を知りたい、いろんな作品を紹介してほしいという博識的な興味がある人にはいい本だが、全体の流れをしっかり示してほしいという人、全体図をしっかりつたみたい人にとっては、無駄に長いだけの無駄な分量の上下巻。最初に編集者から提示された通り新書としてまとめていた方が、全体の流れはしっかり示されて、よいクオリティになっていただろう。名著『英国メイドの世界』の著者として久我氏のことは尊敬申し上げているが、だからこそ、悪いものは悪いと申し上げたい。
メイドカルチャー史を謳うのならば、「こんなふうに淵源があり、これを機に広がり、そしてこんなふうに発展しました」という内容でなければならない。「こんなふうに淵源があり、これを機に広がり」まではできているが「こんなふうに発展しました」がお粗末。メイドカルチャーガイド(メイド作品のガイド)ならば、「こんな作品もありました、こんなのもありました」で充分だが、メイドカルチャー史が同じことをやってどうするのか。発展の一例として作品を取り上げて見取り図を示すのが書き手の責務なのに、メイド作品ガイドと勘違いしている。
前半は「メイドカルチャー史」。後半は「メイドカルチャー作品ガイド」。途中で書き手が道を間違えて血迷ったような感じになっている。名著ではなく、迷著。メイドカルチャー史は作品ガイドではない。作品ガイドは別の著作でやればいいもの。本書はあくまでもメイドカルチャー史。通史の心構え、歴史を書く心構えが必要になる。だが、歴史を書くという素養、書き手的な心構えが充分にあったように感じられない。作品ガイド、カルチャー紹介のレベルに止まっている。宮本直毅氏の『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』を見習っていただきたいと思う。
http://bustycomic.saiin.net/
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いろんな作品を知りたい、いろんな作品を紹介してほしいという博識的な興味がある人にはいい本だが、全体の流れをしっかり示してほしいという人、全体図をしっかりつたみたい人にとっては、無駄に長いだけの無駄な分量の上下巻。最初に編集者から提示された通り新書としてまとめていた方が、全体の流れはしっかり示されて、よいクオリティになっていただろう。名著『英国メイドの世界』の著者として久我氏のことは尊敬申し上げているが、だからこそ、悪いものは悪いと申し上げたい。