傷をめぐる10の短編集。どの章もサラッとではなく読ませるストーリーで満足感あるのは千早さんならではかな。「指の記憶」のお父さんと娘のやりとりにはホロッとさせられた。

大学生の梨木君は自分には何の個性もなく、取り柄もないと自己肯定感が低め。しかし梨木君には他人の心が読めてしまうという特殊な能力がある。その能力でこれまで友達を救ってきたが、同じバイト先の常盤さんは頑なに心を閉ざしたまま。このお話に出てくる人等が優しい。バイト先店長のクセの強い大竹さんがいいキャラクター。大竹さんの作るオムライスが後々常盤さんの悲しい過去に繋がっていくのが読みどころかな。秀でた個性や技術はないし期待もされてない、自分て一体何？と私も過去考えた。梨木君、あなたは充分ステキな人だよ。

吉本ばななさんらしい温かくも深い言葉のエッセイ本。小説同様語りが哲学的なので所々、どういう意味なんだろう？と考えてしまう事はあったが。「自分を受け入れるとは、誰もいない空間で、たったひとりで静かにやること」ここは響きました。snsに呟いたり人に話したり、日記に書いたりしないで一人で静かに思うこと。発酵させるために。

傷をめぐる10の短編集。どの章もサラッとではなく読ませるストーリーで満足感あるのは千早さんならではかな。「指の記憶」のお父さんと娘のやりとりにはホロッとさせられた。

宮内ヨシオさんの透明水彩絵の具を使用した絵に谷川俊太郎さんの「生きてる」をテーマにした深い詩集絵本。生きてるってどういうことなのか、じっくり考えたい時に静かに読みたい本です。大人の為の絵本という感じかな。心に留めておきたい言葉がたくさんありました。