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2024年5月の読書メーターまとめ

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読んだ本
6
読んだページ
1458ページ
感想・レビュー
6
ナイス
79ナイス

2024年5月に読んだ本
6

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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ナチス強制収容所でこの世の地獄を体験した精神医学者の体験記。外的環境から自己の尊厳を完全に奪われ、身体的苦痛に耐えながらただ死を待つのみと想われる極限状態において、人の心はどうなるのか。想像を絶する環境のなかで、他者への愛と未来への希望だけが人間らしさを保つ唯一の糧であった、と著者はいう。そして、人生の意義を幸福に求めるのではなく、苦痛と死をも含めた生の営み全体に対して意義を求めることこそが、絶望への対抗手段なのだ、と。人類が神を見出した理由、ときにその信仰が苦痛と結びつく理由を、ここに垣間見た気がした。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
6

owlsoul
平山氏の作品のなかでは比較的おとなしい内容の短編集。しかし、そこは平山夢明。眉をひそめてしまうようなセリフが連呼され、目を背けたくなるような光景が露悪的に描写される。彼の小説の登場人物は、社会から逸脱し、当人たちが人間という肩書からも「降りた」と自覚しているような極端なキャラクターが多い。本書の言葉を借りれば「猿より下」の「陽気な蠅」を自称する、または他称されるような者たち。しかし、だからこそ、タガが外れた世界の中で、それでも残る、残らざるを得ない人間性の欠片のようなものを、浮かび上がらせる力を持っている
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ドイツの哲学者が日本の弓道から学んだ禅の思想。的を狙ってはいけない。当てようと思ってはいけない。弓を引いたら、ただその時が来るのを待つ。時がくれば、矢は自ずと放たれ的に当たる。スポーツ選手が語る「フロー体験」のようなものだろうか。意思に頼らず、身体的直観のみで結果を導き出す。それは小手先の技術ではないため、マニュアル化はおろか、言語化すら困難だ。その境地に至るには身体性の鍛錬、つまり「修行」が必要となる。スティーブ・ジョブズをはじめ海外で読み継がれている本書だが、禅の真髄を忘れた現代日本人にも有用な一冊。
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幽霊とは個人が特定の人物に対して抱く想いの化身であり、ドメスティックな存在である。一方、妖怪とはある特定の場所に繰り返し出没し、不特定多数の人々を脅かすという点で公共的・社会的な存在だ。妖怪の目的は人々に危害を加えることにはなく、自分の存在を承認させること、そしてその意図(戒め)を承諾させることにある。妖怪の被害にあうのは大抵、その存在を信じず戒めを破る者たちだ。つまり、妖怪の本質とは、利己的な人々が顧みなくなった法や掟を、畏怖によって強制的に守らせることにあるのかもしれない。その存在は、どこか神に近しい
が「ナイス!」と言っています。
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人智を超えた存在を本気で信じられた時代、しげる少年は山の奥から聞こえる物音に想いを馳せ、便所の暗がりに潜む何かに怯えていた。そんな牧歌的な日常にも、やがて戦争の足音が迫りくる。徴兵され南方へ赴いたしげる青年は、片腕を失うほどの過酷な戦場体験をしているが、彼の回想には悲壮感がまったくない。水木しげるが描き出すユーモラスなキャラクターたちの、どこかひょうひょうとした印象は、作者である彼自身の投影であることがよく分かった。呉智英による解説のタイトル「ほがらかなニヒリズム」は、水木の世界観を的確に表したフレーズだ
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ナチスのプロパガンダ映画を製作し批判された映像作家リーフェンシュタール。彼女が人生後半のライフワークとしたのは、未開の民族ヌバとの交流だった。文明から隔絶された彼らの暮らしに美を見いだし、その光景を写真に収め続けた彼女の仕事は、写真集として出版され反響を得た。一方、批評家のスーザン・ソンタグは、『ファシズムの魅力』という文章において、彼女が撮るヌバの写真には「ファシストの修辞法」が感じられる、と批判したらしい。実物を見たくて古本を購入したが、この作品からファシズムを嗅ぎ取ったソンタグの鋭さには恐れ入る。
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ナチス強制収容所でこの世の地獄を体験した精神医学者の体験記。外的環境から自己の尊厳を完全に奪われ、身体的苦痛に耐えながらただ死を待つのみと想われる極限状態において、人の心はどうなるのか。想像を絶する環境のなかで、他者への愛と未来への希望だけが人間らしさを保つ唯一の糧であった、と著者はいう。そして、人生の意義を幸福に求めるのではなく、苦痛と死をも含めた生の営み全体に対して意義を求めることこそが、絶望への対抗手段なのだ、と。人類が神を見出した理由、ときにその信仰が苦痛と結びつく理由を、ここに垣間見た気がした。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/10/26(3897日経過)
記録初日
2012/01/15(4547日経過)
読んだ本
492冊(1日平均0.11冊)
読んだページ
147178ページ(1日平均32ページ)
感想・レビュー
244件(投稿率49.6%)
本棚
0棚
性別
年齢
42歳
血液型
O型
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