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2024年10月の読書メーターまとめ

lily
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感想・レビュー
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231ナイス

2024年10月に読んだ本
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2024年10月のお気に入られ登録
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  • toshi

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

lily
「その地へ嫁ぐときは棺桶を背負っていけ」と恐れられた日本住血吸虫症に立ち向かう医師や自治体の奮闘を綴ったノンフィクション。「門脈に住み、栄養に富む血液を吸い取り、雄と雌が交尾しあって暮らし、卵を産み続ける」という記述に身震いする。この恐ろしい奇病に対し医学的見地から様々な調査を進めていく中で、原因や中間宿主、予防や対策まで時間をかけて解明していく流れは圧巻の一言。「Wikipedia三大文学」の一つとされるのも頷ける。流行地の山梨県がミヤイリガイの発生を抑えるため水田から果樹園に転作したというのも納得。
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2024年10月の感想・レビュー一覧
12

lily
「超常現象というのは、まず人間の信念が先行する。現象があるから信じるんじゃなく、みんなが信じるから現象が起こるんです。」幼い頃の悲劇をきっかけに神に疑問を持った優歌と、徹底的に理詰めで研究することにした兄の良輔が、神の実在に迫るSFミステリー。異常な情報量の古今東西の超常現象(著者はトンデモ本を品評する「と学会」元会長。納得!)をズバズバ両断していく、強烈な一冊。ベクトルは違うけど、池上永一『シャングリラ』を読んでいるようなゾクゾクする興奮を味わえた。今年ベスト10に入ることは間違いなく、下巻も楽しみ。
lily
2024/10/30 10:16

どこからどこまでが事実かフィクションかが判然としないが、グイグイ読ませる筆致が見事。偽りのピーク問題、パイオニア減速問題、FMS(偽記憶症候群)などわけわからん(誉め言葉)知識で折り目だらけになったが、印象的な一節。「コンピュータやインターネットが進歩したおかげで、人間同士の信頼というものがかえって重視されるようになった。これからは機械を信用しない時代、心を大切にする時代になりますよ…いや、なるべきなんです」この本を一気読みできない仕事や家庭の事情が何とも。

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lily
「決して世界は一つではなく、宗教と国家はきわめて多様だ。異なる氏族との交流がお互いの信頼を深める。他者への想像力が求められている。」日本の様々な宗教施設をフォトジャーナリストが写真とともに紹介する。唯一行ったことがある代々木上原の東京ジャーミィが冒頭に取り上げられていて嬉しかった。ジャイナ教や道教など馴染みのないと思われている宗教においても、祈る人々の顔つきはいたって真剣。宗教に優劣はないのだ。ここまで多様性に富んだ日本が移民を受け入れるかどうかの議論をしてるなんて何だか不気味。見えてないんだろうな。
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lily
年収数千万のゴルフ場経営者から東日本大震災の復興事業に関わったのち、「住居不定無職小説家」に転落するまでの半生を洗いざらい綴っていく。とくに除染作業に従事するときの同僚の無学さ(興味の対象はパチンコと風俗とスマホゲームだけ)に辟易する場面は、非正規雇用者の苦悩に満ちていてめちゃくちゃリアル。ただここで辛酸舐めてきた経験が、のちに切れ味抜群の小説を生み出すのだから、無駄な経験などないのだろう…と思う。エッセイも含め、赤松利市にハズレなし。
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lily
「教科書が高校生の興味を引くためによかれと思って載せた珍しい事象を、ゴミクズみたいな入試問題の種にする行為に良心は痛まないのだろうか。」「林則徐閣下にあたっては本問をアヘンと一緒に焼却してしまってほしい。」早慶を中心とした世界史重箱の隅つつきクイズ大会における悪問や出題ミスをぶった切る稲田節は健在。センター試験の小ネタや歴史総合導入の経緯など時流もわかって面白い。1~3巻に比べコラムが多くページ数が減っているのは、この本で悪問が晒され続けることで大学側が作りこむようになった説が濃厚。著者の存在意義は深い。
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lily
スーパーゼネコン社員であった青木が隠遁生活を送るバリ島で立ち上がる巨大カジノプロジェクトに、裏社会を含め多くの人間の欲望が絡み合っていく。バリ島は新婚旅行で訪れたところ。ダイビングや観光地をまわった記憶があるが、赤松利市にかかればエグくて過剰にダークなバリ島を思いっきり堪能できる。「どんな発想したらこの物語書けんねん(もちろん良い意味で)」と思ったが、史実に加え著者自身がバリ島との往復生活をしていたとか。バッドエンドが多い著者の作品の中では落ち着いたラストも良く、一気読み。
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lily
京大教授がこれまでのフィールドワークなどで得た経験を通じて人文地理学の観点から考察する。最近地理を勉強し始めた身とすれば既知事項が多かったが、何と言っても体験に基づく記載には説得力があった。愛知県犬山市のリトルワールドに行ってみたくなった。苦手な自然地理学のほうも読みたい。①工業化の第一歩は綿織物産業だが、善意の古着輸出が発展途上国の工業化を阻害している。②ダイズの原産地は日本。③ヨーロッパでテラスカフェやバカンスが多いのは高緯度地域において太陽を欲するから。
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lily
「本気で組織を守りたいなら、尻尾を守らなければならない。」生命の値段編継続。白栖委員長のクソっぷり全開で、壬生や宇治に加え相楽弁護士や事件屋の有馬などハイエナがうじゃうじゃたかる状態に。「開業医の既得権益を他人に譲る馬鹿ぎどこにいる」と医院長は宣うが、もう火の車の極地なのでは…病院の行く末がどうなるのか、次巻も楽しみ。
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lily
2013年に施行された生活困窮者自立支援法。この法律の理念を忠実に則る神奈川県座間市生活援護課の日常を綴ったノンフィクション。いわゆる「お役所仕事」とはっきり異なる点は、課をまたぐ包摂的支援やアウトリーチに加え、NPO法人など外部との連携を活発化させている点にある。「断らない相談支援」の看板を掲げるためには地方自治体だけでは限界があることを認める謙虚さに頭が下がる。「できないことを強いるのでなく、できることに注目する」という目線こそ福祉に携わる人が持ち合わせるべき資質なのだろう。やりがいのある仕事だな。
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lily
妹の結婚を契機にマッチングアプリを始めた田島琴美と、多種多様な男性とのつながりが描かれる。出会いのきっかけNo. 1がマッチングアプリとなった令和の時代。もちろん良い出会いもあるのだろうが、それと同じくらい(というかそれ以上に)嫌な出会いもある。エッチ目的ならまだマシで、相手にマウントを取るために罵倒の限りを尽くすハラスメント満開の相手もいて、まさに社会の縮図である。会話の節々にリアルさは感じられたが、ヒロインが美人だから光明が差すラストだったわけで、現実はもう少し厳しいような気がする…
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lily
アリの生態、宇宙の中心からトロッコ問題に至るまで様々なトピックを千夜一夜物語風に聞かせてくれる短編集。文科省推薦の子供に見せたい本とのことだが、装丁や挿絵がキレイなのは読みやすくて良いけど理系のトピックが多くド文系の自分にとっては読み下すのに理解力が必要。ただトロッコ問題を地域ごとのデータ分析に活用したり銀河の中心についての解説は参考になった。学校の課題本として読了。
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lily
「その地へ嫁ぐときは棺桶を背負っていけ」と恐れられた日本住血吸虫症に立ち向かう医師や自治体の奮闘を綴ったノンフィクション。「門脈に住み、栄養に富む血液を吸い取り、雄と雌が交尾しあって暮らし、卵を産み続ける」という記述に身震いする。この恐ろしい奇病に対し医学的見地から様々な調査を進めていく中で、原因や中間宿主、予防や対策まで時間をかけて解明していく流れは圧巻の一言。「Wikipedia三大文学」の一つとされるのも頷ける。流行地の山梨県がミヤイリガイの発生を抑えるため水田から果樹園に転作したというのも納得。
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lily
寂れた病院の事務で働くリキが、裕福な草桶夫婦から相談されたことをきっかけに代理母出産を行う中で、さまざまな人間模様が描かれていく。日本では禁止されているサロゲートマザーとしての出産は、多額の金銭が動くにしてもビジネスライクには到底語りえない生殖医療独特の難しさがある。妊娠して葛藤するリキと形式的離婚を選択した草桶夫婦の緻密な心理的描写(特に夫婦喧嘩の場面)がむちゃくちゃリアル。最後のリキの行動には驚いたが、双子を出産した当事者として苦悩した結果でもあり、どこか清々しさを感じるラストだった。ドラマ化も納得。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/10/29(4046日経過)
記録初日
2013/10/29(4046日経過)
読んだ本
1526冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
412429ページ(1日平均101ページ)
感想・レビュー
1526件(投稿率100.0%)
本棚
8棚
性別
年齢
40歳
血液型
O型
職業
教員
現住所
大阪府
自己紹介

社会科の教員をしてます。仕事関連の本がメインですが、最近は小説にもハマりだしました。キリスト教を中心とした宗教、貧困問題、心の葛藤を描いた作品などに惹かれます。新書をたくさん読みたい!

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