シリーズ2作目と知らず手に取る。職業倫理に忠実な不破俊太郎検事と可愛い事務官惣領見晴で織りなす事件とは・・・。話題の森友学園問題をモチーフに実に面白い構成だった。あらためてシリーズ最初の「能面検事」を読んでみよう。

労働基準法に守られた労働者とは思えない過酷な環境の看護師の世界。作品の中で主役の看護師堤素野子はどんどん疲弊してゆくのがだ、それにつれて読者も疲弊する。まさしくペンの力である。さぁどうなるかと心配の局地でなんと！「働き方改革」が出てきた。とりあえずは良かっただが、ヒエラルキー問題はそのままスルーされた感じだ。医療の世界では命を扱うだけに難しい問題をたくさん抱えている。若き医学生と話をしていると皆使命に燃える良き青年たちである。願わくは、物心両面で彼らにまっとうな評価がされる時代の来たらんことを。

後書きによると実話に基づく小説だそうだ。合唱曲「あしたはどこから」はyoutubeで色々と視聴できる。もちろん平成１５年Ｎコン高等学校の部、全国大会、神奈川県立多摩高等学校の演奏もある。はるか昔の青春時代を回想しながら読み終えた。

2022年1月15日NHK BSPで放映された「チャリダー」はヤビツ峠の72時間だった。この間600人ものライダーが登ったのだとか。当地では筑波山の「不動峠」が有名で、麓にある「ヒルクライム」という食堂のオーナーは、峠道の掃除を良くしてくれている。私はよたよたと乗るだけなので50万円の機材を大切に使っているが、上級者の乗る自転車は高価で、ホイール一つで10万円もして完成車で100万円はごく普通のようだ。それにつけても「坂バカ」はやっぱり異常だと思う。

テイストは「ぼったくり」である。悪い人が出てこない。温泉旅館が軒並み不調な世の中だが、本作品はその風潮をベースに旅館経営の夫婦と、その旅館で食堂を経営する友人の物語である。日本酒から洋酒、ビールと様々なジャンルに関する豊富な知見と、美味しそうな料理とあいまった楽しい物語だった。

日本の歴史には、私のまだまだ知らないことがたくさんあるのだと改めて思った。初代筑後国国主田中吉政。百姓出身であったこともあり、住民の立場でよく政をした人物だったようだ。八女の米、和紙、櫨蝋、い草、お茶などの産業基盤を築いたのも彼であったようだ。老臣としてみていた秀次の最期からもかろうじて免れ、嘗て盟友であった石田三成を捕らえて家康の差し出したことなど、ひやひや物の生き様だが、それが彼の人間性をうまく表してる。久しぶりに楽しく一気にページを繰った。

読み終えてから昔のサラリーマン小説を思い出した。源氏鶏太著「三等重役」である。本書の下の題名は「不惑になれば」だったようだが、その題名のほうが受け入れやすい気がした。広告代理店を舞台にアラフォーの管理職たちの活躍が描かれている。同期の絆や、部門ごとのカラーの違いや競争など、それぞれの出来事を通してとても良く共感できる場面が作られていた。働く環境は終身雇用から大きく変わろうとしている中、労働力の流動化、情実人事やジェンダー問題などにも触れられていた。それにしても入社したい会社とは何なのだろうか。

「トリアージ・タッグ」を調べてみた。日本救急医療財団のサイトから購入可。１部１２８円（税込）で、１部からご注文できる。このタグをキーにしたミステリーなので、警察官を差し置いて救急隊員が大活躍。言ってみれば救急病院、救急隊、トリアージ・タッグ、トレーラー運送業などの役割を幅広く解説している小説である。