沢木さんの，どこか硬派なエッセイ。高校生のときの東北一人旅の経験は，一つの深夜特急の原点であったことを想像させてくれる。このエッセイはJR東日本の車内誌トランヴェール連載のもののようで，東日本の方々がより楽しめるものかもしれない。それよりも，JR九州の社内誌pleaseの復刊を望めないものかとの思いが芽生えた。

沢木さんの，どこか硬派なエッセイ。高校生のときの東北一人旅の経験は，一つの深夜特急の原点であったことを想像させてくれる。このエッセイはJR東日本の車内誌トランヴェール連載のもののようで，東日本の方々がより楽しめるものかもしれない。それよりも，JR九州の社内誌pleaseの復刊を望めないものかとの思いが芽生えた。

細川護熙氏の作家名で手に取ると，元首相・非自民連立政権・熊本県知事・細川のお殿様等々のイメージが浮かぶ。政界を潔く引退したとは知っていたが，近衛文麿の孫として相続した湯河原で，晴耕雨読の日々とは。知らずして，彼の手になる京都の龍安寺の龍の襖絵を鑑賞していたが，素晴らしい出来であった。文化人は一日にして成らず。

聖女ラ・ピュセルことジャンヌは，身代わりによって火刑を逃れたというハッピーエンドの物語へ。この一点で緊張感が解かれ，あとはひたすらにピエールの冒険物語。全ての人物が登場しての大団円は，逆に物語としては物足りない結末に。でもジャンヌ=ダルクが幸せだったら，フランス人は喜ぶのかな。

20歳差で同僚との恋愛が社内の公然になったら，やはり周囲は動揺するものだろう。もちろん，女性が年上ということもあるだろうけど。２作目で，物語は緩やかに確実に進んでいく。両方の家族との対面やニューヨークへの転勤など，物語りとして定番だけどドラマティック。やはり結末が気になるところ。

ジャンヌ=ダルクの奇跡について，傭兵隊長シェフのピエールの視点から描く。百年戦争でのオルレアンの戦いやランスでのシャルル７世の戴冠は史実として，あとがどうなるのか。乙女ラ・ピュセルとしてのジャンヌが，周囲の期待・夢であるフランス王の即位を終えた後は，もうオーラが無くなった少女に戻ったところは，自分には無い視点だった。下巻には悲劇が待っていることは分かっているが，読むしか無い。ピエールのモテモテぶりや，傭兵と娼婦の生き様が句読点を打つ。