ネタバレ読む前のイメージでもっと変態的な小説だと思っていたがそうでもなかった。そう思わなかったのは谷崎の文章と読者の私がある程度歳をとったからだろう。若い頃ならその雰囲気に嫌悪感を抱いて途中で読むのをやめてしまったと思う。自分が見染めた女が成長していくにつれ、手に負えないほどの魔性の女となっていく物語。主人公の心理描写がとても上手いので、自分が翻弄されているような気分になってしまった。終盤出て行ったナオミが何度も訪ねてくる所は可愛らしくもあり、怖さも感じる。こんな女の人と付き合ったら大変な人生になるだろうな。