アイドルにはまって推し活をしたいけどお金がない中学生が、古書店の店主（作者が投影されてる）から行動経済学を教わって、貯金をしたりお小遣いを稼いだりする方向へ行動を変えていく。ストーリー仕立てで行動経済学の基礎の基礎を教えてくれる。13歳に教えるくらいのレベルがちょうどいいであります。行動経済学、学んでも自分の行動に反映できなければ意味がないことを中学生が教えてくれる。サボっていた家計簿を復活させたところなので無駄遣いが減ると良いな。

「フューチャーマート」で新しく導入された「おしゃべりレジ」。パートの北川さんと、彼女とおしゃべりをした4人のお客さんの物語。小学生のときに「ぶた」とあだ名されて摂食障害になった女の子、彼女にふられてマッチングアプリで女漁りするサラリーマン、時分を子供ができないことで役立たずだと思い込む女性、IT化についていけなくてリストラされた高年齢男性。そして北川さんにも抱えている悩みが……。どの話も現状を変えていく一日を踏み出す物語なので読後感はいい。楽観的になりすぎないあたりもちょっとシビアでよいかも。

昔ながらの迷信や風習を「そんなものは現実的でない」と言いながら、現実にあるとして迫害の対象にしたり、政治的に相手を追い落とす手段かと思えば、実はみんな魔女を本気で恐れていたり。魔女狩りは一筋縄ではいかない。「これが魔女の生態だ！」と書いた本に作者のド変態性癖が溢れてるのが後世に伝わってるのちょっとかわいそう。恐ろしい魔女の悪行とされるものが、いま「ディープステートはこんな恐ろしいことをやってる」と上げられてるものに似ていて、因果めぐりすぎだなとため息が出る。