家族、友情、恋愛、夢、仕事、罪と償い…いろんな要素が星のように散りばめられた短編集。ちょっとしたミステリー要素もあってそれぞれの話しを楽しめた。「星は、すばる」のコータが本当にいい子で、でもその胸の内を思うと辛くて泣けた。

たったひとりの少女の悪意と嘘が、周りの大人たちを巻き込んで振り回し、とうとう自分ばかりか人の命まで奪ってしまう。人って本当に愚かな生き物だと思う。誰もが怪しむ男のことを信じきり、結果的に無実を証明したアナベルの勇敢さはすばらしいけど、途中で読むのをやめたくなるほどハラハラした。この悲劇のもとが戦争の残酷さにあることもツラい。「この世界にはこりごりだったのかもしれない」、はぁ～、ツラい

久々に読む、池袋ウエストゲートパーク。「常盤台ヤングケアラー」や「魂マッチング」はなんとも悲しくてやるせない話だったった。表題作「ペットショップ無惨」もそうだけど、弱者を食いものにする集団は潰しても潰しても湧いてくるんだろうなあ。

本の中に出て来る親子関係すべてが「親ガチャに外れた」などというような生やさしいものではなかった。親から受け継ぐ血や因縁の、どうしようもなさ。この世に産まれてくる赤ん坊はすべてまっさらな魂を持っているんだと信じたい自分には、きつい作品だった。