いくら兄弟とはいえ人の資産を当てにするのは何か違うと思うの。それを当たり前だと思ってその遺産を受け継いだ未亡人を悪く思うなんて尚のこと。それがずーっと引っかかってしまった。解説を読んで、中期以降の作品がドラマ重視型だっていうのに納得。ただ、登場人物のキャラクターとしての厚みが出るのはいいのだけど、その反面ポアロの描写が少なくなって彼の言動を楽しむ余地が減ってしまうなあ、というところは少し寂しいところだった。

マリアと漣、そしてジョンをそれぞれ主役に据えた短編集。マリアも漣も学生時代から全く変わっていない。マリアはわかるとしても漣が警察、しかも異国における勤務を志望した理由は何なのだろう？そしていつの日か、マリアは過去と向き合うことになるのだろうか。