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2024年8月の読書メーターまとめ

Foufou
読んだ本
4
読んだページ
985ページ
感想・レビュー
4
ナイス
52ナイス

2024年8月に読んだ本
4

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Foufou
『顔面考』はいまいちでしたが、本書は楽しめました。この人の著作が肌に合わないのは文体の問題ではなく、学者という肩書きを傍に置いて、一人の好事家として滔々と私見を述べるスタンスにあるとこのたび判明。本書では少なからず小説が引用されるが、余程の読書家なんでしょうね、古今東西のミステリーばかりか古井由吉や高井有一まで射程が伸びるあたりがまず新鮮。この人の小説や映画の評価=感想が始まると、また読者の私は往々にして置いてかれるんですけどね。フォビアの私的分類は示唆に富んでいる。
が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
4

Foufou
「我々には実はこれしか、この『増大』、生命が生命を愛するというこの一事しかないのだ」。この一節が全て。マキューアン研究者なら本作を最重要作と目すだろう。シナリオを2本制作した長い潜伏期間を経て、背景として現代を諷刺する背反的な近未来を構築し、プルーストばりの緻密な描写によって眼前に映画のようにありありと場面を展開させる。特筆すべきはユーモアと豊穣さ。自分は四十からの作家だという堂々たるマニフェスト。終章のおおらかなこと! 幸福に満ち足りていること! 永遠の悪戯な子ども時代の擁護者が覚醒する瞬間を刮目せよ!
が「ナイス!」と言っています。
Foufou
ゾウは老いない? 井之頭動物園の花子は肉体的な劣化は明らかだったけど。どうも老いと老齢期を混同している。ヒトは長い老齢期を進化的に獲得したというのだが江戸時代の平均寿命は50前後でなかったか。閉経までを非老後期間とするとヒトも300年ほど前はほかの哺乳類と同じく老後を持たなかったことになる。医療の発達により寿命が伸びたのも進化の選択の一つだと筆者は言いそうだが、議論の余地はあろう。後半のあるべき老後像は社会通念を越えず、なんだかおめでたい。少なくとも進化という長いスパンで議論することではないのではないか。
が「ナイス!」と言っています。
Foufou
長編第一作。サクッと読めるのはそれまでの短編に散見されたモチーフのある意味寄せ集めだから。ファンからすればその変奏ぶりが将来の作品を予告していて楽しい。第一話で心臓の弱いお父さんが息子と庭でコンクリートの舗装路を作っている最中に亡くなるんですけど、のちに息子が現場に戻ってきて、倒れた父親の顔の跡のついたコンクリートをそっと金鏝で均すという描写がある。こういう細部が描けるようになっている。作品としても、ミステリーというカテゴリーなんか全然逸脱してしまっている。荒削りではあれ、格調高い佳品に仕上がっている。
が「ナイス!」と言っています。
Foufou
『顔面考』はいまいちでしたが、本書は楽しめました。この人の著作が肌に合わないのは文体の問題ではなく、学者という肩書きを傍に置いて、一人の好事家として滔々と私見を述べるスタンスにあるとこのたび判明。本書では少なからず小説が引用されるが、余程の読書家なんでしょうね、古今東西のミステリーばかりか古井由吉や高井有一まで射程が伸びるあたりがまず新鮮。この人の小説や映画の評価=感想が始まると、また読者の私は往々にして置いてかれるんですけどね。フォビアの私的分類は示唆に富んでいる。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/11/16(3578日経過)
記録初日
2015/01/18(3515日経過)
読んだ本
238冊(1日平均0.07冊)
読んだページ
74387ページ(1日平均21ページ)
感想・レビュー
237件(投稿率99.6%)
本棚
20棚
性別
職業
自営業
現住所
東京都
自己紹介

読書メーターを励みに知見を広げていきたいと思います!

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