我が道を行く女子・成瀬とその周辺の人々の話。成瀬は事前情報で思っていたほど破天荒ではなく、論理的・理性的で意志が強いんだなという印象でした。変わっていると言われれば否定できないにせよ、それでも等身大の少女だなと思える話もあって、親近感も抱けて良かったです。理解者の存在は大きいなと思うので、成瀬もすごいけど島崎がすごい。視点人物によって印象が違うのもいい演出だと思いますが、島崎視点をもうちょっと読みたかった気もしました。

不倫の末に生まれた子供である主人公が、会ったこともないミステリ作家の父の遺稿を探すことになる話。遺稿がどういうものなのか、色々想像しながら読みましたが、これは予想外でした。知ってから思い返せばなるほどとなる謎解き的な気持ちよさに加えて、物語的な美しさもあって、色んな意味ですごい話だった……よく思いついたしよく実行したなと感嘆します。謎を追う話であると同時に、主人公の感情が静かに着地する話でもあるところが好きでした。

我が道を行く女子・成瀬とその周辺の人々の話。成瀬は事前情報で思っていたほど破天荒ではなく、論理的・理性的で意志が強いんだなという印象でした。変わっていると言われれば否定できないにせよ、それでも等身大の少女だなと思える話もあって、親近感も抱けて良かったです。理解者の存在は大きいなと思うので、成瀬もすごいけど島崎がすごい。視点人物によって印象が違うのもいい演出だと思いますが、島崎視点をもうちょっと読みたかった気もしました。

シリーズ第11弾。今回の新人は幽霊が見たいお嬢様・縫ちゃんですが、視点人物は再び太一郎で、太一郎の能力の限界を提示するための話だったようです。出てくると全部解決しちゃうレベルでも楽しかったですが、そのために猫で封じられるのは寂しいので、今後の登場増に期待。そんなわけであんまり幽霊話が本題ではない感じで、怖さはほとんどないです。伊平次が時々軽く活躍するのが好き。茂蔵の扱いが不憫でもありましたが、結構やらかしてもいるので、まぁ、ね……。

天才的な嗅覚を持つ調香師・朔が作る香りにまつわる話。香りと言えば綺麗だけど匂いとか臭いとか、そういう生々しいものも含むのに、タイトル通り静かで透明な雰囲気のあるお話でした。各章の依頼人のお話も、朔さんと主人公の一香の感情に少しずつ絡んでくるせいか、それぞれ深みが感じられてのめり込みやすかったです。冷たい感じもする澄んだ空気が見えるようで好きでしたし、変化が苦手という気持ちにはとても共感できるので、最後は暖かくも少し切なかった…。