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2023年8月の読書メーターまとめ

nozomu
読んだ本
9
読んだページ
2796ページ
感想・レビュー
9
ナイス
154ナイス

2023年8月に読んだ本
9

2023年8月のお気に入られ登録
2

  • まこ
  • くまこ

2023年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

nozomu
17歳の花がバイトで稼いだお金を母の恋人に盗まれたことを機に家出、母の友人黃美子と暮らし、スナックれもんで働くも、お金のために出し子等の悪事に手を染めてしまう顛末が描かれる。ヴィヴさんの「金をもってるやつが、金をもってるやつのためにルールを作って、貧乏人はそのルールのなかでどんどん搾りとられていく」、影水の「金の成る木と思われるな」等の世相を反映した台詞が刺さる。花は洞察は深いが情に厚いので仕組みにはまりやすかったと想像。花が心細い時、冷蔵庫を満たしてくれた黄美子への恩を忘れなかったことがこの物語の救い。
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2023年8月にナイスが最も多かったつぶやき

nozomu

7月は初読み作家2名、大谷朝子『がらんどう』、くどうれいん『氷柱の声』を読めたことがよかった。本人からの発露なくては周囲が気付けない感覚や思いを題材にしている点に引き込まれた。くどうさんのエッセイも読んでみたい。夏休みにはたくさん読めるといいな… 2023年7月の読書メーター 読んだ本の数:7冊 読んだページ数:1606ページ ナイス数:135ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/537496/summary/monthly/2023/7

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2023年8月の感想・レビュー一覧
9

nozomu
ネタバレ表題は「せむし」の意。背骨が湾曲し、紙の本の読書にも相当な苦労が伴う障害を持つ車椅子生活の釈華が主人公。ネットにTL小説を納品し、時折「妊娠と中絶がしてみたい」と吐露する彼女が、命の危険を冒してまで欲求を満たそうとした顛末が描かれる。結末は釈華の死と解釈したが、田中は健常女性との取引だったら殺めなかったのかもしれないとも考えた。無駄のない短い文章ながら、同情を引くためではなく障害者の持つ現状を知らしめる圧を著者から直接喰らうような読書だった。同じテーマで同時並行で進めていたという卒論も読んでみたい。
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nozomu
33名の作家、詩人、歌人らによる老いに纏わるエッセイや詩などが収められたアンソロジー。老いの兆候を列挙した嘆き節や、老いを受け入れた鷹揚とした語りなど著者の個性が存分に表現されている。中村稔が紹介する、斎藤茂吉と加藤楸邨の句の対比も味わい深い。中井久夫氏の『老年期認知症への対応と生活支援』は実学的で、認知症初期に発見されるのはゴルフのパットと車庫入れであること、新しいことを教え込むのは挫折体験の積み重ねに終わる場合が多いなど、興味深く読んだ。河野多恵子氏のように、私も逝く時の音楽は準備しておきたいと思う。
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nozomu
手軽に読めるものをと翻訳書コーナーから手に取った。主人公「僕」のところに現れた人差し指大の王様が、人間の人生について問いかける5章立ての物語。王様の世界では生まれた時は大きくて知恵もあるが、次第に身体が小さくなり実務ができなくなるという。その自由になった時間を遊びや空想で埋めることが楽しみで、小さくなることを良しとする考え方が目からウロコだった。章のタイトルも「存在しないものが存在する 」「忘れていても覚えている」等、児童書のような平易な文章でありながら哲学的。HARIBOを見るたびに王様を思い出しそう。
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17歳の花がバイトで稼いだお金を母の恋人に盗まれたことを機に家出、母の友人黃美子と暮らし、スナックれもんで働くも、お金のために出し子等の悪事に手を染めてしまう顛末が描かれる。ヴィヴさんの「金をもってるやつが、金をもってるやつのためにルールを作って、貧乏人はそのルールのなかでどんどん搾りとられていく」、影水の「金の成る木と思われるな」等の世相を反映した台詞が刺さる。花は洞察は深いが情に厚いので仕組みにはまりやすかったと想像。花が心細い時、冷蔵庫を満たしてくれた黄美子への恩を忘れなかったことがこの物語の救い。
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祖父の葬式のために帰省した若いアーティストである主人公が、遺品や叔母の話から、祖父が幼少期に戦前の台湾で暮らしていたことを知る冒頭。台湾人の知人、梅さんに話したことを機に、梅さんの父の葬式に台湾へ赴くことになる。主人公は合成した顔を作品のモチーフとし、梅さんの父は肖像画を生業とし、友人カスミは顔の露出を嫌がることや、戦時中の日本が台湾で報酬と引き換えにした「出草」。祖父とカスミの死因などリンクするものが多く、読み進めるほどに主人公の行動動機の裏付けが強まる構成、生死の概念と向き合っていく姿勢を感じられた。
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柚木さんの母校、恵泉女学園の創始者河井道の人生、女子教育、女性運動の誕生と変遷を描いた大河小説。不勉強ゆえ河井道を知らず、本作に登場する津田梅子、平塚らいてう、村岡花子ら歴史的ビッグネームの描写にやや翻弄されてしまったが、新渡戸稲造の愛弟子ともいえる立場で、女子学校創立の信念を貫くバイタリティには目を見張るものがあった。柚木さんのパーティやスクラップブック好き、シスターフッドの考え方は恵泉イズムを受け継いでいるように感じた。未だ女性が耐え忍ぶことを美徳とする傾向にある日本、河井道氏が見たらがっかりしそう。
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ネタバレ母親の重い更年期障害のため実家に戻り、アウトレットのアパレルショップで契約社員として働く32歳の都が主人公。第一印象が最悪だった中卒の回転寿司店員貫一との紆余曲折、セクハラやパワハラが横行する職場環境、一進一退する母の状態に影響される家族関係が都を通して丁寧に描かれる。同僚や上司、非正規社員、親世代の苦悩の描写もリアル。都に正論で向き合うそよかの存在もよかった。周囲の状況に合わせてがんばる都だから、鷹揚な貫一がお似合い、立ち食い寿司屋での場面にはホッとした。遅ればせながら山本さんの作品をもっと読みたい。
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nozomu
四姉妹各々と母親の関係性が三女以外の目線で描かれた連作短編集。美しくちやほやされて育つも受け身で生きる長女、幼少期から聡く潔癖で独立心の強い次女、上二人のどちらにも引け目があり内向的で自意識の強い三女、1人だけ年齢が離れ、言いたい事を口にするが多様性の時代を重く感じる四女。 長女以外には姉妹間マウントや嫉妬感情もあり、家庭内で立ち位置を確立できなかった三女の闇が深いことも頷ける。彼女達の母親にそれほど毒親感はなく、自身の人生をほぼ娘達に捧げたことには敬服。家族だからこそ、可能な限り適度な距離感は必要かも。
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nozomu
ネタバレ父親と同い年のCEO碧と暮らす16歳の高校生ふうかが主人公。ふうかがプレイしているホラーゲームの進捗で時間の推移を、ふうかの父親からの安否を気遣うメールや、碧が料理を振る舞う描写でふうかの存在を感じられるが、ふうか自身はホラーゲームの主人公よりも感情の動きや能動的な行動力が薄く、まさに浮遊しているかのよう。社会的には未成年誘拐案件だが、実家は離婚家庭で積極的に娘を取り戻す様子もなく、ふうかにも帰宅の意思は見られず、碧は主張しないふうかを楽に囲っている。誰も困らず絶妙なバランスで浮遊は続いていきそう。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/01/05(3602日経過)
記録初日
2014/12/10(3628日経過)
読んだ本
1588冊(1日平均0.44冊)
読んだページ
395219ページ(1日平均108ページ)
感想・レビュー
1587件(投稿率99.9%)
本棚
12棚
性別
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