タイトルの「ぬか漬けスナック」から想像したよりまったり暖かい感じではなかったけれど、主人公の槙生の辛辣だけどサバサバとした物言いも心地よかった。友達になった梨依沙も槙生も母親との関係に囚われていたけれど、前に突き進む強さもしなやかさも備えつつあり、これからの島での生活もぬか漬けの美味しさもより深みを増していきそうで良かった。

「私、人間関係一から全てリハビリなんで」45歳にして、見事に何もないと波風のたたない生活を送っていた主人公の浜野さん。平木直理やまさかさんと出会ってルーティンが変わっていく。まさかさんが無条件で浜野さんを好き過ぎる気もしたが、信念なくても普通じゃなくても夢でも、また新しい世界が見られて、満たされると感じられる事ができるのなら、それだけでいいのだ。

宮殿のような豪邸に住むご高齢の香坂姉妹。戦災孤児であった２人が、親戚の家をたらい回しにされ「2人の理想の家」に住むために、姉は勉学に勤しみ強くあらねばと闘いながら、妹は「誰も悪くない」と優しく慎ましやかに生きていく。教師である姉の桐子さんが、ＤＶ夫から千絵親子を助ける様も淡々としつつ的確で、生徒にもそっけないがその時に必要な情報や意見を真摯に提示していく。そんな桐子さんが夢の目前で「一緒に住むの、やめようか」と言ってしまった状況に涙が止まらなかった。自分の幸せとは、と考えさせられる良い物語でした。

タイトルの「ぬか漬けスナック」から想像したよりまったり暖かい感じではなかったけれど、主人公の槙生の辛辣だけどサバサバとした物言いも心地よかった。友達になった梨依沙も槙生も母親との関係に囚われていたけれど、前に突き進む強さもしなやかさも備えつつあり、これからの島での生活もぬか漬けの美味しさもより深みを増していきそうで良かった。