自分愛してるくれる者のために死ぬのは容易しい。しかし、自分を愛してもくれず、自分を誤解している者のために身を捧げるのは辛い行為だった。英雄的な華々しい死に方をするのは容易しい。しかし誤解の中で人々から嘲られ、唾を吐きかけられながら死ぬのは最も辛い行為である。やがて自分におとずれる死は英雄的でなく、美しくもなく、人々の誤解と嘲と唾のなかで死んでいくことであり犬の死より惨めで醜悪な形をとることとイエスは知っていたのである

受難のイエスはやがて栄光のイエスに変わる。神はその栄光を与えるため、イエスにわざと十字架の苦しみを与えたと弟子たちは考えるに至った。栄光の光の座についたイエスは救い主としてこの地上にいつか姿をみせる、まもなくあの師を見る日が来る、というのが彼らの信仰となった。 彼らの意志によってイエスは人間を超えた存在に神格化されていった。イエスは人の子と言われ、神の子となり、救主と呼ばれそしてキリストになった。考えても頭脳でとらえることのできない神秘であり、そういう神秘の上に成立しているのがキリスト教である。

自分愛してるくれる者のために死ぬのは容易しい。しかし、自分を愛してもくれず、自分を誤解している者のために身を捧げるのは辛い行為だった。英雄的な華々しい死に方をするのは容易しい。しかし誤解の中で人々から嘲られ、唾を吐きかけられながら死ぬのは最も辛い行為である。やがて自分におとずれる死は英雄的でなく、美しくもなく、人々の誤解と嘲と唾のなかで死んでいくことであり犬の死より惨めで醜悪な形をとることとイエスは知っていたのである