ネタバレ★★★★☆ 青山さんの本を何冊か続けて読んで、連作短編集の魅力にすっかり参ってしまっている。本作でも、「赤と青」、一つの「エスキース」をめぐっていくつかの愛の物語が交錯し、じんわりほっこりとした読後感。仕掛けのことを一旦置いておいても、各章それぞれ落語的なうまさを感じて大変よろしい。特に画廊チックな喫茶店で、漫画家の師弟愛がつづられる3章「トマトジュースとバタフライピー」が印象的。早く別の著書も読みたい！

ネタバレ★★★★☆ 青山さんの本を何冊か続けて読んで、連作短編集の魅力にすっかり参ってしまっている。本作でも、「赤と青」、一つの「エスキース」をめぐっていくつかの愛の物語が交錯し、じんわりほっこりとした読後感。仕掛けのことを一旦置いておいても、各章それぞれ落語的なうまさを感じて大変よろしい。特に画廊チックな喫茶店で、漫画家の師弟愛がつづられる3章「トマトジュースとバタフライピー」が印象的。早く別の著書も読みたい！

ネタバレ★★★★☆ 数年の積読と数回の挫折を経てついに読了ッ感慨深い…。第二部、ジュリアとの出会いから急激に面白くなったので頑張ってよかった。監視社会や洗脳、全体主義の怖さはもちろんだけど、それよりニュースピークを脅威に感じた自分に驚き。言葉を奪うことは思考と主体性と世界を奪うこと。「やばい」「やばいね」で会話が成立する現在はやばくないか？　ビッグブラザーもゴールドスタインも実態はわからず、主人公含め誰もが矛盾を抱えて虚構に踊らされている。ピンチョンの解説により、謎の付録が途端に希望あふれるものになってびっくり。

ネタバレ★★★★★　パパッと一気読み。もやもやを抱えた人々が、図書室のインパクト大な司書さんに本と付録をもらって前向きになる連作短編集。…とパターン化はできるんだけど、視点人物5人の悩みや造形にいちいち共感して、時折涙がこぼれるほど。特に出産でキャリアが狂った元女編集者の3章と、コンプレックスに揺らぐニートが奮起する4章にグッときた。章を超えてキャラたちの繋がりが見えるのも素敵（ご近所さんだもんね〜）。小町さんの端的な言葉はいつも核心をつく。普通エクセルの解説書を探している人にぐりとぐらは薦められないよ。すごい！

ネタバレ★★★★☆ 良識を持っていてはついていけない五つの短編集。辛抱強い主人公が、憎い取引先相手を懲らしめようとする1作目「そうだ、デスゲームを作ろう」では、大好きな「犯人たちの事件簿」を思い出して声だして笑った！　そうだよな、ギミック作るのも演出するのも絶対大変だよな…東大出ててよかった。他人と同じでありたい臆病心をえぐる「行列のできるクロワッサン」、今まで自分を守ってくれていたのは「膜」だったのか…と妙に納得する「ファーストが裏切った」など、どれも不穏でなぜか心地いい。花籠目線でイカゲーム見てみよう。