村上春樹作品における超常現象はすんなり受け入れるのに佐藤正午作品になると「ちょっと待って」となるのは、後者の方が現実との地続き感が強いからかもしれません。記憶とは何か。本作でも過去の作品同様、登場人物達の語りの語りという入れ子構造の中で何が物語上の事実なのかは一切分からず、示唆はあれど明言はなく、気づいてみれば何度も何度もページをめくり返してそれでも分かろうとする徒労が結果的に快感を呼び起こす読書体験となるという、私にとって佐藤正午は稀な作家です。『鳩撃』には及ばずとも『みちかけ』よりも好物でした。

イスラエルによるガザ空爆までをカバーしている最新版。WW1以降の世界における主な戦争をコンパクトに紹介しています。しかし近代以降は大国（特にアメリカ）のやることなすことがその思惑から大きく外れた逆効果を生み、容易に解決しえない禍根ばかりを世界中に残しまくっていることに唖然とします。アメリカの傘の下にいると思っている日本もその現在進行中の思惑の中にいるわけで、全人類が当事者に他ならないことを改めて実感しました。

村上春樹作品における超常現象はすんなり受け入れるのに佐藤正午作品になると「ちょっと待って」となるのは、後者の方が現実との地続き感が強いからかもしれません。記憶とは何か。本作でも過去の作品同様、登場人物達の語りの語りという入れ子構造の中で何が物語上の事実なのかは一切分からず、示唆はあれど明言はなく、気づいてみれば何度も何度もページをめくり返してそれでも分かろうとする徒労が結果的に快感を呼び起こす読書体験となるという、私にとって佐藤正午は稀な作家です。『鳩撃』には及ばずとも『みちかけ』よりも好物でした。