ネタバレ〈「聴覚障害者・健常者」ではなく「ろう者・聴者」〉の言及があり、大きく深く何回も何回も首肯する。「コーダ」と言う知らなかったことへぐっと引きつけられ、（ミステリ読みなのに、ミステリ読みだからか）真犯人について考えているうちに、（すんごく伏線あったのに）彼のことをそんなに悪い人じゃないかも位に読んでいたので、最後に泣かされた。と言う小説として素晴らしい作品。

ネタバレ不図〈黒澤明の箪笥〉の話を思いだした。『デフ・ヴォイス』シリーズのスピンオフ。ここで美和ちゃんは考え動き、生きている。本編では描かれなかった、時間や思いや場面、が実は既に『デフ・ヴォイス』シリーズを書いている時から存在して世界を支えていたのかも、そんなことを思い、開けない抽斗も空っぽにはしていなかったクロサワの話を思いだした。全ての人人にそれぞれの物語があると思いださせる。温かい。

ネタバレ優しい。美和と英知、の手話の使い道が優しい。2人の謎の解き方が優しい。謎に係わる人人が優しい。お母さんとアラチャン、の立ち位置が優しい。優しい物語を読んでいる読み手も優しい気持ちになる。この実現はミステリが成立しているから。通学路も図書館も生きているから。そしてこの終わり方。以前読んだ小説でも感じた。本を閉じても世界は終わらない。この著者の終わり方がすき。優しくなりたくなったら読みたい本。

ネタバレシリーズを追いかけていると、瞳美大きくなったねーとか美和ちゃん頑張れーとか、既に荒井一家が親戚のように感じられて来る。今回は感染症流行の中の日日が綴られている形をとっており、更に身近に感じられた。汚れなきひーちゃんの言動がかわいいので一層、特別悪い人がいるわけでもないのに、悪い事や悲しい事が起きる事があるな、などなどと考え、正解はないかもれないが間違いはしないように、と改めて思った。そして最後の場面の所為、本を閉じた後もあれこれ思いこの本から離れられなくてよい。

ネタバレ何森稔刑事との関係が何か、いい。手話通訳士荒井尚人シリーズ。入間、飯能、所沢、土地勘のある場所が出て来るのは嬉しいものだ。日本手話で貪るように語り合う様を読みながら、思い切り喋ることへの渇望に打たれながら、心許せる人と心のままに話すことへの切望は恐らくろう者・聴者関係なく、こんなにも共感して感動したのは、その普遍故なのだと思う。

ネタバレ手話通訳士荒井尚人の連作３編。「一人では二列になれない」に悲しい位共感する。

ネタバレ〈「聴覚障害者・健常者」ではなく「ろう者・聴者」〉の言及があり、大きく深く何回も何回も首肯する。「コーダ」と言う知らなかったことへぐっと引きつけられ、（ミステリ読みなのに、ミステリ読みだからか）真犯人について考えているうちに、（すんごく伏線あったのに）彼のことをそんなに悪い人じゃないかも位に読んでいたので、最後に泣かされた。と言う小説として素晴らしい作品。

ネタバレめいめいが迷宮入り事件を一つずつ話して、みんなで解答を出すという趣向の〈火曜の夜のクラブ〉の６話とバントリー夫妻の晩餐会の６話と村の溺死事件、の短篇13話。「たいていの人は悪人でも善人でもなくて、ただとてもおばかさんだってことですよ」と言えるミス・マープルがすてきにかっこいい。特に面白く読んだのは、ミセス・バントリーの語った「毒草」と画家のジョイス・ランプリエールが語った「バンガロー事件」。