雪で閉ざされた山荘とか絶海の孤島とか、逃げも隠れも助けも呼べない密室レギュレーション系ミステリは昔からあったが、みんながスマホ持つ時代になって、山奥の岩盤くり抜いたかつて新興宗教が修行で使ってたかという地下アジトに探検に来てみたら、偶然地震が起きて閉じめられちゃった、というレギュレーション。そこの中でごく普通の殺人が起きて、ごく普通の探偵が謎を解き明かしてからの、とんでもないケツマツだ。探偵も進行役もまんまと罠におちたぞ。しゃあ、誰がこのストーリー、生き残った人が語り伝えたのでなければ、誰が記憶して伝えた

芥川賞は時になんじゃこりゃという怪作があるのだが、まさしくこれがそのなんじゃこりゃの怪作。タイトルからして怪しいが、犬婿の話は古今東西あちこちに伝承として残されているテーマらしい。イザナミの黄泉の国帰りの伝承と同じだ。なんでなんだろうね。もう一編ペルソナのラスト。街角を主人公が能面を被ってフラフラ歩くシーン。ドイツの人たち、ギョッとしたと思う。般若の面なら逃げ出してたかもしれないが、深井の面ならなんじゃこの人？と受け入れた。作戦成功だ。能面を被って街角を歩く私は、今確かに存在している

雪で閉ざされた山荘とか絶海の孤島とか、逃げも隠れも助けも呼べない密室レギュレーション系ミステリは昔からあったが、みんながスマホ持つ時代になって、山奥の岩盤くり抜いたかつて新興宗教が修行で使ってたかという地下アジトに探検に来てみたら、偶然地震が起きて閉じめられちゃった、というレギュレーション。そこの中でごく普通の殺人が起きて、ごく普通の探偵が謎を解き明かしてからの、とんでもないケツマツだ。探偵も進行役もまんまと罠におちたぞ。しゃあ、誰がこのストーリー、生き残った人が語り伝えたのでなければ、誰が記憶して伝えた

荒野に一輪の花が咲いていたとしても、それを見てキレイだとか感じる客体がいない限り、一輪の花は存在しているとは言えない。といったのは誰だっけ。フッサールだっけ？むらさきのスカートの女をいつも見ている黄色のカーディガンの女がいて、はじめてむらさきスカートの女は存在していると言いえる。こんな哲学的思索が必要なのか？わからんけど他に類のない快作だ。どうしてこんなの思いついたんだろう？

容姿とか景色とか、文字で表現するよりも絵画や写真で見たほうがそれは絶対的に正しく伝えることができる。小説なんかは文字で表現された容姿や風景、また感情や情緒なんかを読者側が想像をめぐらせてある意味勝手きままに理解するものだ。本作は匂い、香り、臭気が課題だ。こいつは難しい。蜜蜂と遠雷では音だったりしたのだが、こういった読者の解釈の余地広すぎ系、結構好きかも！