維新から間もない明治の世。未だお白州的な感覚が残る上に薩長による強権的な法廷運営が行われる時代。自由民権運動家が東京を所払いとなり、新たな思想が大阪に集まっていく。そんな中起きた質屋一家の密室での皆殺し事件。家中で危うく難を逃れた少年が犯人として断罪されるが、東京から来た記者と若き代言人が、その疑いを晴らすべく奮闘する。大阪は明治の世でも反体制で、庶民たちがお上何するものぞと。所々ご都合主義的スーパーマンはいるものの、科学の新たな力も借りつつ、権力に対峙するさまは痛快。歴史的著名人も数多登場。

名探偵赤ずきん、今度はキツネが落としたピノキオの右腕を拾ったことから、ピノキオの身体集めに行くことに。もちろん、その過程で次々と事件に出会う。親指姫や白雪姫、三匹の子豚らの名作童話のキャラクターが存在する世界観（魔法もあったり）で、いわばメルヘン特殊設定ものの本格ミステリ。きちんと読み解けばトリックは見破れるけれど、そう簡単にはいかない。赤ずきんやピノキオのキャラも立って、唯一無二の存在感を放つ連作。次作も期待。

連作3話目の「乱歩の幻影」映画化を機に改訂完全版として文庫が復刊。4話からなる連作短編集。黒澤明「天国と地獄」を思わせる富裕層の街と庶民の街の間で起きた事件、都心の地下街を徘徊するピエロの正体、乱歩の写真に取り憑かれた女性、の3つの物語が、最後の表題作にて収斂する・・・と思ったらどうにもイマイチ。巻末の著者解説によると、最終話が先にあって、その前日譚を書き起こしていった由。なるほどそういうことかと。各話はそれぞれに読み応えはあるので、それで良しとしたほうが良かったかも。

唯一無二のグロ本格作家の短編集。思ったほどのグロさはなく（感じたのは慣れのせい？）、本格臭高め。いわゆる特殊設定ものばかりではあるが、設定の中では異世界転生ものの２作目がケッサク。なんせ尻と口が入れ替わった世界。尻の穴のコンニャクが鍵になる本格ミステリってそうそうないでしょ。読んでるときは（あまりのトンデモさに）意識してなかったけど、収録作は全て「食」をテーマにしたものらしいので、グルメな方は是非。フナムシも守備範囲の方は特に（笑）

二人のきたさん、文庫屋で岡っ引き見習いの北一と湯屋の釜焚きで謎多い喜多次の捕物帖の第二巻。ひとつ目の事件は、子宝に恵まれるという宝船の絵から弁財天が消えると子どもが亡くなるという怪奇、ふたつ目は北一の馴染みの弁当屋一家三人の皆殺しという凄惨なもの。まだまだ未熟な北一は周りのみんなの協力も得ながら事件に向き合い、成長していく。主に北一の成長譚で喜多次の出番が（まだ）少ないのは残念ポイントだけど、少しずつ、喜多次の来し方も見えてきつつある（のか？）。

巷で話題の「チ。」のアニメ化記念本。とはいえ、マンガやアニメの解説ではなく、各界著名人による感想、賛辞にチ。に触発された創作。加えて背景思想などの解説もあり。なので、あらかじめ原作を読み込んでおくことを推奨（当たり前）。様々な人たちのチ。の見え方を知ることで、また違ったチ。の世界が広がる。

維新から間もない明治の世。未だお白州的な感覚が残る上に薩長による強権的な法廷運営が行われる時代。自由民権運動家が東京を所払いとなり、新たな思想が大阪に集まっていく。そんな中起きた質屋一家の密室での皆殺し事件。家中で危うく難を逃れた少年が犯人として断罪されるが、東京から来た記者と若き代言人が、その疑いを晴らすべく奮闘する。大阪は明治の世でも反体制で、庶民たちがお上何するものぞと。所々ご都合主義的スーパーマンはいるものの、科学の新たな力も借りつつ、権力に対峙するさまは痛快。歴史的著名人も数多登場。