生物や地質が特徴的な地方の町を舞台に、科学的な要素を背景として、人がどう生きるのかを模索する姿を描いた作品。 ノンフィクションかと勘違いしそうになるほど背景描写が緻密で、そこに行きたい見てみたいと思わせるのは流石だと思う。 各短編の登場人物がなんとなく行き詰まっているところにちょっとした道を示すような出来事が起こって少しだけ変わっていく様が心に響きます。 でも、この著者に関しては、個人的には短編よりも長編(連作短編)の方が好きです。本書の短編も、もっと深堀りしてほしいネタが沢山でした。

先に「まだ終わらないで、文化祭」を読んだのは大失敗でした。 本書を先に読んでいたら、「登場人物の描写が浅くて何がその考えや行動の動機になっているのかもわかりづらかった」という感想にならずに済んだと思う。 真実と真相は違うことに気付いて、自分の思いに従って考え行動している清瀬くんは決して凡人ではない。でも凡人である自分という立ち位置に居たいのだろう。 その清瀬を俯瞰しているような佐竹さん。どちらも魅力的である。この関係を踏まえたうえで、文化祭を再読したくなった。

生物や地質が特徴的な地方の町を舞台に、科学的な要素を背景として、人がどう生きるのかを模索する姿を描いた作品。 ノンフィクションかと勘違いしそうになるほど背景描写が緻密で、そこに行きたい見てみたいと思わせるのは流石だと思う。 各短編の登場人物がなんとなく行き詰まっているところにちょっとした道を示すような出来事が起こって少しだけ変わっていく様が心に響きます。 でも、この著者に関しては、個人的には短編よりも長編(連作短編)の方が好きです。本書の短編も、もっと深堀りしてほしいネタが沢山でした。