本書を読む前に本屋大賞の予想に投票したことを絶賛後悔中です。本書を１位に訂正したい。 人生色々なことがあり、辛いことがあり、どうしようもなくて自分のことですら出来なくなる。そんな自分が嫌いで自分を見放して負のスパイラルを刻みながら堕ちていく。そんなときにほんの少し手を差し出してくれる人がいるだけで、人生は変る、蘇ることができる。カフネ、愛する人の髪にそっと指を通す、これ以上ないくらい本作に合ったタイトルだと感じる。人の数だけ生き方があり、それに寄り添う人も居る。そう思うと、生きるのが少し楽になる。

皇族として生まれ育ち、単身オックスフォードに留学してPh.Dの学位を取得された彬子女王が自身の体験を語られた一冊。 自分自身は体験してこなかった世界の話で興味深く、語り口も爽やかで読みやすく、実に面白い一冊でした。 何と言っても覚悟の決まり方が常人と違う。凄まじい努力と執念だと思うのだけど、それを強く感じさせない人柄だというのも見えてきます。 他の著作もぜひ読んでみたいと思います。

何にも興味を示さないような聾者の女子高生が競技かるたを 通じて手を差し伸べてくれる人やライバルと出会い自身の生きる道を切り開いていく物語。とは言え、章ごとに主人公の変わる群像劇として描かれている。 彼らの前に開ける道を力強く進む様や試合の緊迫感や、得られる達成感などが面白くて引き込まれる熱い小説で、読んで良かったと思う一冊でした。 ただし、話の構成や視点がやや複雑で、また各登場人物に色々と面倒なことが起こりすぎていて、情報過多で読みづらく感じたのが残念です。個人的には単純に聾者とかるたに絞った方が好みかな

本書を読む前に本屋大賞の予想に投票したことを絶賛後悔中です。本書を１位に訂正したい。 人生色々なことがあり、辛いことがあり、どうしようもなくて自分のことですら出来なくなる。そんな自分が嫌いで自分を見放して負のスパイラルを刻みながら堕ちていく。そんなときにほんの少し手を差し出してくれる人がいるだけで、人生は変る、蘇ることができる。カフネ、愛する人の髪にそっと指を通す、これ以上ないくらい本作に合ったタイトルだと感じる。人の数だけ生き方があり、それに寄り添う人も居る。そう思うと、生きるのが少し楽になる。

親亡きあとに引き取ってくれた叔母が認知症になり、高校時代を過ごした家がゴミ屋敷と化していた。というところから話が始まる。 主人公は結婚先では姑の世話で不自由な思いをして過ごしているので家を離れる大義名分が出来て嬉しく思っている感じ。介護や家族の闇が(いつもの)嫌な感じで展開するのかと思えば、さにあらず。叔母の日記を読み、かつての恋人の家を訪ねてその母と話をすることで、昔起こった事件の謎が解かれていく。話の展開が素晴らしく、極上の上手さです。が、面白いけど好きではないという不思議な読後感なのでした。