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誰しもが一度は心の奥底で思ったことがあるようなほの昏い感情を一気にぶちまけたような小説。ストーリーとしては、東京各地で次々に爆破テロが起こるかもというサスペンスフルな内容だが、著者はこの本を読者に向けた『爆弾』のつもりで書いたのではないだろうか。途中で『ちょっとコールドリーディングの手法っぽいな』と思ったが、ちゃんと登場人物にそのことを言及させていたので、あ、それも織り込み済みなんだなと。ただ、スズキタゴサクがあそこまで悪意を語りまくってくれたおかげで、なんとなく浄化されたような気分にもなったりで。

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以前、図書館で借りて読み、あまりにも感銘を受けたので、結局自分でも買ってしまった本。せっかく買ったので再読してみたけど、いやあ、やはり凄い本で凄い物語だった。結構クセのある文章なのだが、なぜだかスーッと心に入ってくる、この「かたり」の妙。しかし全くもって世知辛い世の中だよなあ、なんて思いつつ、少し力をもらえたような気がする読後感だった。

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いやもう登場する女性たちがいちいち危なっかしくて、ハラハラ・ドキドキしながらも一気に読んだ。男性目線の裏社会系ノワール小説って山ほどあるけれど、こういう若い女性目線って今まであんまりなかったんじゃないだろうか。あと、こういう小説でありがちな性描写はおろか、性的なエピソードでさえほとんどなかったのも新鮮だった（ドラッグやDVはあるけど）。書かれてる内容は重めでヒリつくところも多いけど、これ読んで楽になったり、元気になったりする女の子は結構多いんじゃないだろうか。なんかこう、生きる力がみなぎってくるというか。

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クメール・ルージュからポル・ポト政権時代のカンボジアを舞台にした重層的な歴史絵巻で、読み始めてすぐ引き込まれた。鉄板、輪ゴム、土喰いなどマジック・リアリズム的な奇怪な登場人物もまた素晴らしい効果を生んでいる。ただ、前に『地図と拳』を読んでいたせいか、今作はやや文章が荒いというか雑な印象を受けた。『ネタバレ』とか『オチがなく』『そういう設定』などの描写はちょっとこの時代にはそぐわないのではないか。しかし話自体は面白い。とんでもなく面白い。ただ、下巻はちょっと嫌な予感がする（笑）。

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本書の330ページで、ソリヤの父が『世の中のできごとをそのまま物語にしたら、本当はみんな、そんな感じなんだ。途中まで面白そうで、何か意味がありそうに見えるけど、最後はだいたい無意味に終わる』と語る場面があるのだが、この小説がまさにそんな感じだった。上巻の重厚で鮮烈な歴史絵巻はかなり面白く読めたのだが、下巻の脳科学SF的ゲーム展開はちょっと好みが分かれるところか。脳科学や哲学的などの著者の蘊蓄は結構楽しめたのだが。

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何気なく図書館で借りて読んだのだが、あまりの素晴らしさに驚愕した。特に『野生の呼び声』は自分の『海外文学ベスト10』にランクインしそうなほどの傑作。これは持っとかないとアカンやつだ。早速買いに行かないと。同じ柴田元幸氏訳の『火を熾す』ももちろん買って読みます。

犬物語 (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)柴田元幸,ジャック・ロンドン

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あらすじ・内容

ナイス ★7

コメント(0)2024/07/20

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漫才コンビの非常階段が当時のパンク・ニューウェーブに造詣が深く、アナーキーの追っかけをしていたというのにも驚いたが、コンビ名があのキングオブノイズの非常階段から取ってたというのにはさらに驚いた。マジかと（笑）。いやシルク姐さんカッコ良すぎ。

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『小説家の小川』という、明らかに著者自身と思われる人物によって書かれた、ちょっとエッセイ風味もある連作短編集。占いにハマる人や、承認欲求の奴隷となった人などを揶揄するような、良くありそうな内容かと思いきや、いや、でも自分も結局は同じ穴の狢かも、といった視点にちゃんと収束されていくので、読後感が非常に良かった。帯で麻布競馬場が書いているように、知的興奮も十分に楽しめる。色んな意味で巧みな小説だと思った。いや、それにしても良いところを突いてくる。