久しぶりの小説。今日のバイトの往復で読めた。ムラのオス、メスとしての"人間"を無自覚に全うする人だらけの中で、細胞レベルで同期してるようなコンビニへの熱だけを例外に、周りが望む、自分を"治す"方法を淡々と実行していく古倉さんには意外と人間味(という表現をここで使うとややこしいけど…)があったし好ましかった。白羽さんに関してはいちキャラクターだろうと存在が結構ほんとに不快だった。笑

殺し屋なのに、惹かれてしまう。特に、鯨と槿。

留学中のインドネシアでテロが相次いで、緊急帰国した翌日に買った。ここで危険に身を晒し怯えながら精神を蝕まれることは私の本来の"境遇"ではないんだ、と逃げた恐怖、一方で誰かの"境遇"から身一つで脱出できてしまった自分の罪の意識、それとは全然関係なく昔から自分の中にあった"理解できた気になんてなったらいけない他人の傷"への後ろめたさ、そういうものが詰まってて、今のバラバラな心の言語化の助けになった気がする。一方で、アイがどこまでも自分を追い詰め苦しめることから抜けてほしくなかった自分がいるのはどうしてだろう。

中学生にして、これだけ、多くの人生に憑依するレベルで想像力が及んで、それを背負ってしまう力を持つのがどれほど苦しいことかと思ってしまうけれど、それを軽やかに作品に昇華してしまう、天才。切なくて、突拍子なく出てくる文中の一言に救ってもらって、本当に大切にしたい一冊。本当に応援しています。